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空に立つ翼 ― 天翼族の少女は殴り倒す ―  作者: てん


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第47話 雲上迷宮・第五層――世界の裏側

 第五層に降りた瞬間、

 空気が“静かすぎた”。


 風がない。

 音が反響しない。

 足音だけが、やけに大きく響く。


《ステータス・オーバールック》

雲上迷宮・第五層

特性:

・情報開示

・敵性反応なし

・観測優先



「……敵、いない?」


 リィアが、周囲を警戒しながら言う。


「罠も、感じない」


 ミラが、影を走らせる。


 レオンが、低く息を吐いた。


「戦場じゃないな」


「うん」


 アリエスは、すでに分かっていた。


「ここ、見せるための層だ」


 第五層は、回廊だった。


 壁一面に、映像のような光が流れている。


 最初に映ったのは――

 地上の大陸。


 山が生まれ、

 海が広がり、

 都市が築かれていく。


「……世界の成り立ち?」


 セリスが、息を呑む。


 映像は、続く。


 次に現れたのは、

 巨大な存在。


 山よりも大きく、

 海を覆い、

 空を裂くもの。


「……破滅級」


 カイが、静かに言った。


「いや」


 アリエスが、首を振る。


「もっと前」


 映像の中で、

 世界は何度も壊れかけていた。


 そのたびに――

 どこからともなく、

 ダンジョンが現れる。


 地上。

 地下。

 空。


「……迷宮は」


 エルナが、震える声で言う。


「災厄を受け止める器……?」


 壁に、新たな文字が浮かび上がる。


【世界は、強すぎる力を内包できない】

【ゆえに、力を“分散”する場所が必要だった】


「ダンジョンは……」


 レオンが、言葉を継ぐ。


「力の逃がし場」


「うん」


 アリエスは、壁を見つめる。


「破滅級も、

 迷宮も、

 全部、同じ系統」


 次の映像。


 人が現れ、

 魔力を扱い、

 世界が発展する。


 同時に、

 迷宮の数が増えていく。


「人が強くなるほど、

 迷宮が増える」


 カイが、冷静に整理する。


「つまり……」


 セリスが、ゆっくり言う。


「世界が壊れないための、

 安全弁」


 その言葉に、

 全員が黙り込んだ。


 最後の映像。


 空のさらに上。


 雲より高く、

 星より低い場所。


 そこに、

 雲上迷宮が固定されている。


【空の迷宮は、最後の層】

【世界が限界に近づいた時にのみ、現れる】


「……じゃあ、ここは」


 リィアが、唾を飲み込む。


「世界の裏側」


 アリエスは、拳を握った。


 胸の奥が、

 少しだけ、重くなる。


「……私たちが来た理由、

 分かった気がする」


 その時。


 回廊の奥で、

 何かが、動いた。


 敵ではない。

 罠でもない。


 意志だ。


「到達者よ」


 声が、響く。


 姿は、ない。


「汝らは、

 世界の均衡を崩しうる力を持つ」


 アリエスは、前に出た。


「それで?」


「選択を与える」


 床に、

 二つの光が現れる。


【進め】

【戻れ】


 短い。

 だが、重い。


「進めば」


 声が続く。


「世界の修復者となる」


「戻れば」


「自由な戦力であり続ける」


 沈黙。


 誰も、すぐには口を開かない。


 アリエスは、仲間を見る。


 全員、彼女を見ている。


「……ねえ」


 アリエスが、笑った。


「修復者って、

 殴るよね?」


 一瞬の沈黙。


 そして――


「多分な」


 レオンが、即答した。


 全員が、笑った。


「じゃあ」


 アリエスは、

 進む方へ歩いた。


「壊れそうなら、

 殴って直す」


 それが、彼女たちのやり方だ。


 光が、強くなる。


選択確定:

【進め】


称号準備:

・世界干渉資格(仮)



 第五層が、ゆっくりと消えていく。


 その先にあるのは――

 最終層。


 雲上迷宮は、

 ついに核心を明かした。


 ここは、

 世界が壊れないための最後の装置。


 そして――

 それに手を伸ばしたのは、


 《セブン・ブラッド》だった。

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