第44話 雲上迷宮・第二層――重力の罠
第二層へ踏み込んだ瞬間、
足元の感覚が、消えた。
床は、ある。
見える。
だが――踏んでいない。
「……浮いてる?」
リィアが、慎重に足を出す。
次の瞬間、
身体が、横に引っ張られた。
「――っ!」
全員が、同時に体勢を崩す。
《ステータス・オーバールック》
雲上迷宮・第二層
特性:
・重力偏向(可変)
・方向重力(上下左右ランダム)
・局所重力圧縮
「上下が、意味を持たない」
カイが、即座に判断する。
「重力が、通路ごとに違う」
言い終わる前に、
天井だったはずの方向へ、床が現れた。
「来る!」
敵が、重力に乗って現れる。
敵:グラヴィ・レイダー
Lv:50
特性:
・重力順応
・引き寄せ
敵は、歩かない。
落ちてくる。
アリエスは、翼を広げ――
「……飛べない」
重力が、翼を押し潰す。
警告:
・飛行制限(強)
・揚力低下
「前に出る!」
レオンが、逆重力方向へ踏み込む。
――ゴンッ!!
盾が、敵の落下を受け止める。
だが、衝撃が重い。
「……圧、やばい」
「今、軽くする!」
セリスが、重力干渉魔法を展開。
――パァン!
一瞬、空間が“緩む”。
「今だ!」
アリエスが、
地面を殴った。
――ドンッ!!
衝撃波が、重力場を乱す。
敵が、軌道を外す。
「落とす!」
リィアが、
重力に逆らって跳び、
叩き落とす。
撃破
光が、走る。
《経験値獲得》
アリエス:Lv31 → Lv32
STR:276 → 282
レオン:Lv47 → Lv48
VIT:342 → 350
リィア:Lv43 → Lv44
STR:235 → 241
「……殴ると、重力も乱れるのか」
レオンが、低く呟く。
「概念干渉だな」
セリスが、即座に理解する。
進むたび、重力が変わる。
上が、下になり、
前が、壁になる。
「足場、信用するな」
カイが、指示を出す。
「固定具、常時使用」
ミラが、影杭を打ち込む。
エルナが、
全員に軽減バフを回す。
全員が、役割を広げている。
第二層の奥。
空間が、一点に潰れた。
重力が、集束。
敵:グラヴィティ・コア
Lv:52
特性:
・重力圧縮
・引き裂き
「……潰す気だ」
アリエスが、歯を食いしばる。
身体が、軋む。
「アリエス!」
エルナの声。
「耐える!」
レオンが、
盾で全員を覆う。
だが、限界が近い。
「圧縮の中心、ここ!」
カイが、叫ぶ。
「一点突破!」
アリエスが、
拳を握る。
「行くよ!」
重力に逆らい、
一歩、踏み出す。
――ズガァァンッ!!!
拳が、重力の核を叩き割る。
圧が、解ける。
空間が、元に戻った。
撃破
最後の光。
《経験値獲得》
アリエス:Lv32 → Lv33
STR:282 → 289
セリス:Lv46 → Lv47
INT:380 → 386
ミラ:Lv43 → Lv44
DEX:346 → 354
エルナ:Lv44 → Lv45
支援持続時間上昇
カイ:Lv38 → Lv39
重力解析習熟
第二層、制圧。
全員、肩で息をしている。
「……地上より、疲れる」
リィアが、率直に言う。
「落ちないって、
こんなに神経使うんだな」
アリエスは、空を見上げた。
胸の奥が、
じわじわと熱い。
「……でもさ」
笑う。
「楽しくなってきた」
誰も、否定しなかった。
雲上迷宮は、
第二層にして、
すでに“容赦”を捨てている。
だが――
《セブン・ブラッド》は、
まだ、折れていない。
次は、
さらに上。




