第29話 それぞれの場所、同じ未
高原の屋敷は、いつもより賑やかだった。
食卓には人が増え、笑い声が重なり、
子どもたちが行き交う気配が絶えない。
アリエスは、縁側で空を見上げていた。
その横に、セラフィナが腰を下ろす。
「……ここに、残るの?」
「ええ」
短い返事。
けれど、迷いはなかった。
ユウの元には、すでに多くの家族がいる。
生活の場も、守るべきものも、ここに揃っている。
「あなたは、行くのよね」
「うん」
アリエスは、即答した。
「やること、あるし」
拳を軽く握る。
最難関ダンジョン――《奈落回廊》。
胸の奥が、自然と高鳴った。
ふと、アリエスは思いついたように言う。
「……ねえ」
「なに?」
「弟がいいな!!」
言い切りだった。
セラフィナの肩が、ぴくりと跳ねる。
「……っ」
一瞬、言葉を失い、
次の瞬間、顔が赤くなる。
「……そ、それは……」
視線を逸らし、咳払い。
「まかせて!」
力強い一言。
縁側の向こうで、
誰かが盛大に噴き出した。
ユウだった。
「……聞こえてるぞ」
「聞こえてていいの!」
セラフィナは、ぴしっと言い切る。
家族の空気が、少しだけ柔らかくなった。
⸻
旅立ちの準備は、手早かった。
アリエス、レオン、セリス、ミラ、リィア、エルナ、カイ。
血縁パーティが、屋敷の前に揃う。
「改めて、自己紹介しとく?」
カイが言い出した。
「戦場で混乱しないためにも」
「いいね」
アリエスが頷く。
⸻
「レオン。前に出る。
殴られ役は任せろ」
年齢:24
役割:重曹前衛/タンク
特徴:防御とカウンターの鬼
Lv:38
HP:2400
MP:320
STR:185
DEX:90
VIT:310
INT:60
LUK:40
能力・スキル
鋼殻体質(常時ダメージ軽減)
反撃特化(被弾時カウンター)
パーティ被ダメ肩代わり
「了解」
「セリス。広域は抑えて。
私が突っ込む」
年齢:23
役割: 後衛魔導/殲滅支援
特徴:広域殲滅・属性制御
Lv:36
HP:980
MP:2100
STR:40
DEX:75
VIT:85
INT:320
LUK:60
能力・スキル
多属性魔導(火・雷・氷・闇)
詠唱短縮(極)
範囲殲滅魔法
「承知」
「ミラ、背後と奇襲。
影から行く」
年齢:20
役割:高速暗殺/斥候
特徴:見えない、当たらない
Lv:34
HP:820
MP:540
STR:140
DEX:290
VIT:95
INT:80
LUK:110
能力・スキル
影歩き
即死判定攻撃(条件付き)
気配完全遮断
「リィア、私に合わせて連撃」
年齢:18
役割:近接ラッシュ/追撃
特徴:本能戦闘・連撃特化
Lv:33
HP:1500
MP:420
STR:195
DEX:170
VIT:165
INT:55
LUK:70
能力・スキル
獣化(戦闘中ステ上昇)
連続攻撃補正
追撃特化(アリエスとの相性◎)
「任せて!」
「エルナ、回復と保険
全員、生かします」
年齢:22
役割:回復/バフ
特徴:死なせない
Lv:35
HP:1100
MP:1800
STR:55
DEX:90
VIT:120
INT:260
LUK:80
能力・スキル
即時全体回復
状態異常完全解除
一定時間死亡無効
「カイ、全体把握」
弱点、共有する」
年齢:17
役割:解析/戦術
特徴:敵の弱点を即共有
Lv:29
HP:900
MP:900
STR:70
DEX:120
VIT:95
INT:210
LUK:65
能力・スキル
戦場解析
敵行動予測
パーティ全体に弱点表示付与
「アリエス、殴るよ!」
年齢:15
役割:前衛アタッカー/破滅級担当
特徴:飛行・超火力・格上特化
Lv:21
HP:1120
MP:480
STR:218
DEX:118
VIT:190
INT:58
LUK:55
固有スキル
ステータス・オーバールック
最適破壊ルート
破滅耐性
多重破滅耐性
短い確認。
無駄はない。
だが、ぎこちなさもない。
「……いい感じじゃない?」
アリエスが笑う。
「血が合うって、こういうことか」
誰も否定しなかった。
⸻
道中、空気は軽かった。
冗談が飛び、
次に殴る相手の話で盛り上がる。
だが、
遠くに見えた影で、全員が口を閉じた。
奈落回廊。
地面に裂けた巨大な縦穴。
底が見えない、黒。
空気が、明らかに違う。
「……ここか」
アリエスは、縁を覗き込む。
《ステータス・オーバールック》
ダンジョン:奈落回廊
危険度:世界最高位
特性:
・階層可変
・再構築
・外部観測不可
「見えない部分、多いね」
それでも、怖くはない。
後ろを振り返る。
全員、目が合う。
頷き。
「行こ」
アリエスは、翼を広げた。
最強の血縁パーティ。
世界がまだ踏み込めていない場所へ、
彼らは、同時に踏み出す。
――最難関ダンジョン、突入。




