表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空に立つ翼 ― 天翼族の少女は殴り倒す ―  作者: てん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/58

第19話 反発は、影から始まる

 同盟の通達は、早かった。


 王国とルミナリアの連名。

 形式は簡潔、内容は重い。


特別同盟締結。

軸戦力:アリエス。

敵対行動は高リスク。


 それを読んで、頷いた国もあれば、

 顔をしかめた国もあった。



 南方交易国家ヴァルケン


 会議室は、閉ざされている。


「ふざけるな」


 机を叩く音。


「十五歳の小娘一人で、世界の均衡だと?」


「同盟? 脅迫の間違いだ」


 集まっているのは、軍務大臣、諜報長、商会代表。

 共通するのは――恐怖だ。


「彼女が“軸”になれば、

 我々は常に“殴られる側”になる」


 諜報長が、低く言った。


「なら、確かめるしかない」


 視線が、集まる。


「本当に、噂通りなのか」



 動きは、静かだった。


 夜。

 王都近郊の街道。


 月明かりの下、

 空気がわずかに歪む。


 ――転移。


 黒装束の集団が、音もなく現れた。



所属:ヴァルケン非公式部隊

人数:8

平均Lv:40

目的:拘束/拉致



「……やっぱ来た」


 アリエスは、屋根の上でそれを見下ろしていた。


 同盟成立から、まだ半日。

 早すぎる。


(話し合い、嫌いなんだ)


 胸の奥が、少しだけ騒ぐ。


 殴る理由としては、十分だった。



 黒装束の一人が、魔具を展開する。


 結界。

 遮断。

 逃走路の確保。


 だが――


 次の瞬間、

 結界の上に影が落ちた。


「――なっ」


 影の正体は、翼。


 アリエスは、結界の外から拳を振り下ろした。


 ――ドンッ!!


 結界が、紙のように砕け散る。


「……は?」


 理解する暇は、ない。


 アリエスは、着地と同時に踏み込む。


 ――ガッ!

 ――ゴンッ!


 二人が、地面に沈む。


 他の者が、陣形を組もうとする。


「囲め! 数で――」


「数?」


 アリエスは、首を傾げた。


「見えてるよ」



《ステータス・オーバールック》


対象:ヴァルケン非公式部隊

最高Lv:44

脅威度:低



「足りない」


 翼で加速。


 一瞬で距離を詰める。


 ――ズドンッ!!


 前列が、まとめて吹き飛ぶ。


 背後へ回った一人が、拘束魔法を放つ。


 ――バシュッ!


 だが、

 当たらない。


「遅い」


 振り向きざまに、拳。


 ――ゴシャッ!!


 最後の一人が、壁に叩きつけられ、動かなくなる。


 全員、無力化。


 時間にして、十数秒。



 アリエスは、倒れた集団を見下ろした。


 殺していない。

 だが、十分に恐怖は刻んだ。


 通信魔具を拾い上げ、

 軽く覗く。


「……国名、出てるね」


 そのまま、空へ放り投げた。


 ――バキン。


 粉砕。


「隠す気ないなら、

 堂々と来ればいいのに」


 独り言。



 翌朝。


 ヴァルケンに、報告が届く。


非公式部隊、壊滅。

対象、抵抗不能。

戦闘時間、短すぎて測定不可。


 会議室が、凍りついた。


「……もう一度、行くか?」


 誰も、答えない。


 諜報長が、静かに言った。


「やめろ。

 次は、国が殴られる」



 一方その頃。


 アリエスは、屋根の上で伸びをしていた。


「……同盟、正解だったね」


 殴る前に、

 守る理由ができた。


 それだけで、

 世界の見え方が、少し変わる。


 だが、次に動く国は――

 もっと、しつこいかもしれない。


 アリエスは、空を見上げた。


「次は、どんな手で来るんだろ」


 怖くはない。


 殴れる限り、問題ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ