表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空に立つ翼 ― 天翼族の少女は殴り倒す ―  作者: てん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/58

第17話 試合? じゃあ全力でいいね

 招待状は、封蝋付きで届いた。


 赤でも、王都のものでもない。

 深い蒼色の紋章。


「……西方魔導国家ルミナリア?」


 アリエスは、封を切りながら首を傾げた。


「国名、かっこいいね」


 中身は、やたら丁寧だった。


王国間の友好と均衡のため、

公式模擬戦デュエルを提案する。


対象:国家専属戦力 アリエス

相手:ルミナリア代表戦力


形式:一対一

規則:殺害禁止

場所:中立競技都市グラン・アレナ


「……試合?」


 読み終えた瞬間、

 胸の奥が、少しだけ騒いだ。


(殴っていい、ってことだよね)


 細かい理屈は、どうでもいい。



 中立競技都市グラン・アレナは、

 国家がぶつからないための“箱庭”だった。


 巨大な円形闘技場。

 結界、観客席、魔導カメラ。


 世界が見ている。


 王国側の随行員が、小声で言う。


「相手は、ルミナリア最強格です。

 魔導特化……油断は――」


「大丈夫」


 アリエスは、翼を軽く広げた。


「試合でしょ?」


 随行員は、言葉を失った。



 対戦相手が、入場する。


 白銀のローブ。

 空中に浮かぶ魔導陣。


 女性。

 年齢は二十代前半。


 観客が、ざわめく。


「《星導のセレス》だ……!」


「国家筆頭魔導士……!」


 視界が、切り替わる。



《ステータス・オーバールック》

名前:セレス

所属:ルミナリア

職業:大魔導士

Lv:48

HP:420

MP:1,200

STR:24

DEX:46

VIT:38

INT:160

LUK:52

スキル:

・多重詠唱 Lv5

・結界展開 Lv4

・重力魔法 Lv3

・魔力加速 Lv3



(……紙装甲)


 アリエスは、即座に理解した。


(殴れたら勝ち)


 司会が、声を張り上げる。


「――試合開始!」



 開始と同時に、空が歪んだ。


 無数の魔法陣。

 光弾、重力場、拘束結界。


「逃げ場はないわよ!」


 セレスの声が、空間に響く。


 だが――


「うん。逃げない」


 アリエスは、真っ直ぐ前へ。


 翼で加速。


 ――ドンッ!!


 重力魔法を、力で突破。


 拘束結界を、拳で破壊。


「なっ……!?」


 セレスの詠唱が、止まる。



警告:

・詠唱妨害成功

・結界破壊



「近いって」


 アリエスは、間合いに入った。


 ――ゴンッ!!


 一撃。


 防護結界ごと、吹き飛ばす。


 セレスが、地面に転がる。


 観客席が、静まり返った。


 司会が、慌てて叫ぶ。


「勝者――アリエス!!

 試合時間、12秒!!」



 結界内で、セレスが呆然と呟く。


「……理不尽……」


 アリエスは、翼を畳み、手を差し出した。


「試合楽しかったよ」


 セレスは、その手を見て苦笑した。


「……戦争しなくて、良かったわね」


「うん」


 それが、試合の目的だった。



 観客席の上、

 各国の代表が、同じ結論に辿り着く。


 ――この少女とは、戦争できない。


 その日の夜、

 各国に通達が走った。


ルミナリア代表、完敗。

試合は成立した。


結論:

アリエスに対し、敵対行動を取るべからず。


 アリエス本人は、控室で伸びをしていた。


「……もう一回、殴りたいな」


 理由は分からない。

 でも、胸の奥が、少しだけ物足りない。


 試合は終わった。

 だが、世界は――


 彼女を“基準”に動き始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ