二　私は神も仏も嫌いなんです

　ある日、熊みたいな親父から〈あなたは今日からここで暮らす事になりました〉と一方的に宣言された。
死んだ覚えがないのに、ここは〈あの世〉だと言うのだ。
新手の詐欺かと疑ったが、どうやら本当らしい——仕方がない、予定より少し早いが認めよう。誰でも一度は来る場所だしな。　
それに、いきなり若返るし病気は消えるしで至れり尽くせりの好待遇だ。
想像を上回ったな、そういう事なら〈楽しいあの世暮らし〉や〈あの世を楽しむ十か条〉みたいな適当な手引書でも探してみようかな、と思案していたのだが……　
とんでもない役目を押し付けられてしまったのだ。
不死身の身体を持ち、豪邸に住んで可愛い女の子を助手に魔物退治。あの町この街を魔法の乗り物〈ポチ〉で駆け回る充実した日々。
（〈カクヨム〉にも連載中）