表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の白狐  作者: にゃふ
18/52

第18章、小さなご褒美

朝、蒼の家にはすでに6人全員が集合していた。

リビングには、プリントやノート、教科書が一面に広がり、カリカリと鉛筆の音が静かに響いていた。


「えーと、この問題って……あっ、わかった!」

結愛が嬉しそうに手を打つと、美音が「それ解けたの!? わかんない~!」と隣で騒ぐ。


「美音、そこは公式を入れ替えて……はい、これ」

こはくがすかさずメモに式を書いて渡す。

「さすがこはく先生……!」と感嘆の声があがる。


そして、午前10時を回った頃――


「よしっ……とりあえず、午前の部はここまでにしようか」

蒼が時計を見ながら声をかけると、みんなが一斉に鉛筆を置いた。


「ふぇぇぇぇ、つ、疲れた……」

結愛が倒れこむようにソファに沈み、美音もぐったりと寄りかかる。


「ねえ、これだけ頑張ったんだし……なんか甘いものとか食べたくない?」


美音がポツリと提案すると、全員が食いついた。


「お菓子パーティー!?」 「それ、いいじゃん!」 「もう勉強だけじゃやってられないしね」


「じゃあさ、昼までに買い出し行って、午後はパーティーしようよ!」

結愛が両手を上げてテンション高く叫ぶ。


「決まりだな。……ジャンケンで買い出し組、決めよっか」

蒼がニヤリと笑い、全員でジャンケン大会が始まる。


結果――

買い出し組:美音・理玖・結愛

留守番組:蒼・こはく・凪


「やった~! スーパー行ってくる! お菓子いっぱい買ってくるからねー!」


美音たちは元気に玄関を飛び出し、残された3人は一瞬だけ静寂に包まれた。


「……さて。私たちは準備だね」


こはくがにこやかに言い、蒼も「だな」と頷く。


キッチンでは、紙皿やコップ、コースターなどを探しながら、静かに会話が始まった。


「……ねえ、蒼くん」

「ん?」


「今日、すごく頑張ってたね。ちゃんと予習してきたんだね」


「まあ……昨日は寝る前にこはくの顔が浮かんで、勉強も捗ったってだけ」


「またそういうこと言うー」

こはくが少し赤くなって、照れ笑いを浮かべた。


その横では、凪が無言でお菓子用の皿を並べていた。

2人のやりとりに気づいているのか、いないのか……その表情からは読み取れない。


そして――買い出し組が帰宅。

テーブルの上には、大量のお菓子が並び始めた。


「じゃ~ん! チョコにポテチにグミに、プリンまで買ってきたよ!」


「甘いのとしょっぱいののバランス、完璧っしょ」


「美音、また自分の好きなものばっかり……」


「うっ、それは否定できない……!」


和気あいあいとした雰囲気の中、テーブルには色とりどりのスナックが並び、

ペットボトルのジュースもキンキンに冷えていた。


「じゃあ、午後の部――

お菓子パーティー、スタートーっ!!」


みんなの歓声が、蒼の家に広がっていった。


こはくは、ふと蒼の隣に座りながら、小さな声で言った。


「こういう時間、幸せだね」


「うん……俺も、そう思う」


そっと、テーブルの下で手が触れ合いそうになったけど――

誰にも気づかれないように、そっと引っ込めた。


二人だけの秘密は、甘いお菓子の香りと一緒に、静かに部屋に溶けていった。

第18章でした。勉強終わって、お菓子パーティーが始まった!みんなでお疲れ様会だな

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ