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頭がわるい!

「なにがいけなかったんだ?」


翌朝,外は快晴にも関わらず私は一人宿のベッドに寝転んで,一人反省会をしていた。


二回目の失敗だ。前回はワームワームという芋虫を数十匹狩って,同様に使役しようとしていた。

結果はご察しの通りだ。ただ前回と違うのは。


「今回一応召喚には成功していたんだ。素材を増やしたのは正解だったな」


そこまで考えてうつ伏せになる。


「となるとなんだ・・・?鮮度・・?いや,アイテムボックス内に時間概念はない」


いつも腰に付けていた袋を疑ったがやはりあり得ない。

昨日は狩るたびにアイテムボックスに入れていたし,儀式まで一度も外に出していない。


「・・・・飯でも食うか」


このまま考えても埒が明かない。一度休憩を兼ねて腹ごしらえでもしよう。

とぼとぼと街にくりだす。

いつもの冒険者向けの食堂に向かっていると,甲冑を着た二人の男が目に付いた。騎士団だろうか。

何事か話しているようだ。


「おい,聞いたかよ?」

「ああ,街中でゴブリンが出たんだって?しかも変異種」


心当たりしかない。二人にバレないように少し離れた位置で聞き耳を立てた。


「うわさだと,近所でめっちゃでかいゴブリンの巣ができてて,今回は侵略のための偵察だとか・・・」

「それは冗談だろう??あいつら中央通りのど真ん中で見つかったんだぞ?偵察のくせに,そんな目立つことするのか?」


ずっこけそうになる。


「はは,だよな。俺もそんなことだろうと思ったぜ」

「ああ,それに変異種と言っても滅茶苦茶弱かったらしいぜ」

「なら,なおさら何故そんなバカみたいなことしたんだ??」


そこまで聞いて私はその場を離れようとした。

よし。発生源が宿であることはバレてないなら問題ない。

と,その場を離れようとしたその時。


「ほんと,あいつら頭わりぃよな」


・・・・・あ。

なぜ気付かなかったんだ。あいつらは言語を扱えるほどの知能もないんだ。

私の命令を理解することすらできなかったんじゃないのか?

いやしかし,ネクロマンサーの『命令』は言語の壁を超える。魂に直接訴えかけるからだ。

その効力も,相手の知能が影響するとしたら?

そうだとすると,欲望のままに行動するような低能な奴らなら私の命令よりも本能に従うということもありえるかもしれない。

こうしてはいられない。


私はすぐ目の前にあった焼き鳥屋で三本注文し,口に押し込んだ。

その足ですぐ冒険者ギルドに向かう。


着くとすぐにクエスト提示版に向かう。

そこにはいつものようにたくさんの羊皮紙が糊で張り付けられていた。

冒険者はここでクエストを選び,カウンターに持っていくことでクエストを受注する。

今も数人の冒険者がクエストを吟味していた。

しかし,私の狙いはすでにもう決まっている。


何枚も上に塗り重ねられている羊皮紙をめくっていく。たしかこの辺に・・・


「あった!」


私は一枚の羊皮紙をはがし,カウンターに持って行った。

そこにはいつも通りミヤハがいた。


「ラミュアさん,こんにちは。今日は・・」


言い終わらないうちに私はドン,と手に持っていたものを突き付けた。


「ダイアウルフの討伐ですね?・・・大丈夫ですか?ダイアウルフは動きが非常に素早く群れで行動するうえ,このクエストの討伐数は30・・・ラミュアさんの身体能力では厳しいのでは?」


「問題ない」


ダイアウルフはそういう理由で討伐しにくい。この30という数字だって元々60だったのが,誰もやりたがらないのでかなり引き下げられている。それでも余っているということは,難易度はお察しだろう。

しかし,私には秘策があるのだ。


「まあ,たしかに,討伐証明の素材は毛皮なので,幾分か持ち込みやすいとは思いますが・・」

「ラミュアちゃん,大丈夫でちゅかー??毛皮はぎとれまちゅかーーー?」


周りにいた冒険者からヤジが飛ぶ。でもそれはソロで活動している彼女を気遣ってのことであり,ミヤハもそれは重々承知しているので止めはしない。


「ダイヤウルフは群れで行動します。ここはパーティーを組んだ方がよろしいかと」

「・・・お気遣いありがとう。だけど問題ない」


丁重にお断りする。隠し事が多いので,面倒事はごめんだ。


「・・・・まあラミュアさんはCランク冒険者で魔法剣士なので,問題はないでしょう」


ミヤハは諦め半分で手続きを進める。

ギルドカードを提出し,手続きを終えた。


「それではご武運を。・・・危険を感じたらすぐに引き返してくださいね?」


ミヤハは受付嬢として振舞いつつも,私情が多分に漏れ出ていた。


「ありがとう。夜には戻る」


調教祭りだ!!














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