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F班が成果を出さずに帰ってきた事に関して嘲笑と全滅しなかった事への皮肉が飛び交う。

生徒達は悔しそうにするがススムは自分が足を引っ張ったからと落ち込む。そんな事は無いと皆はフォローするがススムはまだ自分には足りないものが多すぎるとアキトの技を見て思ってしまっていた。


「鍛えるなら体幹トレーニングするか?」


「そ、そうだね!」


アスカがトレーニングに誘いススムは頷き生徒達が自主的に強くなろうとする姿にアキトは満足そうに頷く。男子二人に触発されて女子もコンビネーション技をと付け焼き刃な事を話していて少し気掛かりではあった。


「ちゃんと授業は受けろよ?勉強の仕方を学ぶのも大事ってやつだ」


遠回しに授業は退屈とアキトは言っているがエツコがウンウンと同意するくらいで他はポカンとしているのであった。


ーーーーー


授業の合間、暇なアキトは他の班がどういうトレーニングをしているのかと観察をする。基礎体力付けや身内でチャンバラしていたり体育の授業のように見える。


「成る程、基礎トレーニングと軽い実技か…人数多いとやれること多くていいなぁ…」


四人がそれぞれの役割を持っていると被りもなくトレーニングの幅が少ないとアキトは唸る。すると先生の一人がアキトを見付けて声を掛けてくる。


「もしかしてF班の新任の方ですか?D班担当のサイトウです。よろしければもう少し見やすい位置で見学します?」


アキトは是非ともと答えてグラウンド内に入りチャンバラの風景を眺める。


(腰の入りが甘いな…あれじゃあ硬い敵と対面した時弾き返されて隙が出来ちまう…あっちは…我流か?今のアスカならどっちにも勝てるな)


次にグラウンドをヒイヒイ言いながら走る生徒を見てアキトは内心溜め息をつく。


(緩急が大事だ、スタミナ切れして走り続けても強くはなれない。俺が口出せる立場じゃないから可哀想だが走り続けてもらうしかないな)


更に魔法の訓練を見てみる。


(魔法は専門外だが…んー的あてか?)


精密な狙いのトレーニングとして土嚢(どのう)にシンプルな魔法の矢を放っていた。


(シンプルな小技だな、実戦でも使うつもりか?小技で精度を高めても高威力のコントロールに繋がるとは思えないな)


どこに対しても辛口評価が浮かんできて他人の批評ばかりはいかんとアキトは踏まえた上で自分達が何を出来るか考える。


(チャンバラの相手をするなら俺がやった方がいいな、体力作りも同時に見て的あてに関しては実践級の魔法で試したい。ま、贅沢だな。グラウンドを四人で占有できる事はないだろうからな)


指導者のサイトウ先生は監視だけしているようでアキトは少し身体が(うず)いて屈伸運動だけ自然と始めてしまう。


「血気盛んな先生という噂は本当でしたか、準備運動なんか始めて…」


背後からサイトウ先生に言われてアキトはハッとして苦笑いする。


「どうです生徒達と手合わせしますか?」


「勝っちゃいますよ?いいんですか?」


大した自信だと生徒達から睨まれてアキトは笑うのを辞める。


「よーし、年季の違いを教えてやろう」


生徒が一人前に出て木刀を構える。アキトも自前の木刀を腰から抜いて悠々と構える。合図はいらないと打ち込んでこいとアキトが手を挑発的に動かす。

対する生徒は少し青筋立てて声を張り上げ打ち込んでくる。


「しぇえい!」


アキトはそれを軽く弾いて生徒が脚をもつれさせてアキトの前に転んで首を差し出す形になる。ざわざわと困惑の輪が広がりサイトウ先生も目を鋭くさせて他に挑戦する者はと叫ぶ。

次の生徒が前に出て木剣を構える。アキトは少し立ち位置を変えて木刀の持ち方も変える。


「先手はくれてやる、本気でいい。どこからでも来い」


生徒は口元を軽く隠してからゆらっと動く。


「術か、悪くない」


直後、背後からの一撃をスッと避けてから生徒の顎に軽く肘を当ててニコッと評価を出す。


「対人特化だな。最初の一人目に比べたら合格点だな」


「うぐっ…」


合格点と言われても生徒は顎をかち割られていたと落ち込む。

他の生徒達はアキトの実力に怖気付いて躊躇(ためら)うように後退りしてサイトウ先生は軽く溜め息をついてアキトに質問する。


「不満そうな顔をしていましたね、何が問題なのですか?」


「ダンジョンは対人じゃない。ゴブリンや小物なら通用するが中型からはこんなトレーニングじゃ通用しないって話」


アキトの言葉にダンジョンに真面目に挑むヤツなんて頭のおかしいヤツだけだと生徒達は語りアキトはイメージと違う反応に目を丸くする。


「確かにダンジョンを攻略すれば凄いって言われるかもしれないが自分の生命賭けてやる程の事じゃない!」


全員が死ぬのは怖い、戦うのは怖いと語り自分の班が異常だと言われる。


「成績さえ良ければ管理側の人間として安定した生活出来るのに馬鹿正直に死にに行くヤツなんて一握りだ!」


正論かもしれないがそんな意識でやっていけるのかとアキトはサイトウ先生をチラッと見る。先生も同じ意見のようでアキトみたいなバトルジャンキーを少し批難する。


「彼等は評価を上げる為、対抗戦の為にトレーニングしている。ダンジョンに潜るのも対抗戦の一貫なだけだ」


そんな(こころざし)じゃ世界は救えないとアキトは内心彼等のやる気の無さと対抗戦等という下らない競い合いの世界で終わるのかと学生の身であれど危機感の薄さと生徒達の努力の方向性を嘆くのだった。


ーーーーー


観察を終えて放課後、F班の面々は先生が他の班を指導したと批判してくる。それに関してアキトは弁明する事はなくハッキリと他の班を評価する。


「ハッキリ言ってガッカリした。対抗戦だの成績だのと言い出して世界の危機から目を背けているだけだった」


自分の中では落ちこぼれのF班以外はバリバリにダンジョンに挑み強くなろうとしているものだと思っていたと語る。アキトの言葉に生徒達は面食らう。


「お前らに比べて他はごちゃごちゃしててゴブリン相手に負傷者が出そうなレベルだ」


アキトは腕組して小言を呟き一人一人の顔を見る。


「アスカ、お前は実力上澄みだ。安心しろ。ススム、お前も間違いなくすぐに上澄みになれる。カスミ、弓の技量で既にトップクラスだろう。エツコ、悪い、魔法は専門外だからとやかく言う資格は無いが土嚢に魔法の矢撃つだけの馬鹿よりは真面目に強いだろうよ」


四人は既に学校内で高い地位を取れるはずだと言うと生徒達は顔を見合わせる。


「本当ですか?僕は先生見てるとまだ自信沸かないんですよね」


ススムの言葉にアキトは自分は例外中の例外だからと苦笑いしてちょっと戦闘狂(バーサーカー)で一般人とネジの外れ具合が違うだけだからと語る。

そして今日も今日とて特訓としてグラウンドへ出るのであった。


ーーーーー


武器に使われるのでは無く手足の様に使いこなす。アキトの指導を元に男子二人は一生懸命打ち合い身体を慣らしていく。

長い槍の方が当然身に感じる負担は大きくススムは左右に振り回され苦い顔をする。

芯のある立ち振る舞いを求められていたがススムの足捌きを見てアキトは一つの可能性を語る。


「ススム、ダンスは得意か?」


「だ、ダンス?!やった事無いですよ!」


「武器に左右に振られているがその流れに身を(ゆだ)ねて自分は立ち続けるイメージで動いてみろ」


立ち続けると言われてススムは弾かれてもステップを入れたり回転動作を組み込む事で隙の少ない立ち回りを覚える。


「たまに居るんだよなどっしりと構えるより蝶のように舞う方が安定するヤツ」


アスカと対象的なススムはその才があったとアキトは成長を褒めるのであった。

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