森の奥には…
新しく出来た道を使いアキトとレインは森の更に奥へ進む。
調査としていつも通り先頭を歩かされるアキト、余裕の表情でワクワクしているのに比べてレインは気が重そうであった。
「何が出るか分からないのに凄い余裕そうですね…」
「出たとこ勝負、何が出るか想像するのも楽しみの一つだぞ?」
アキトの快楽的な生き方が出来そうにないレインはアキトの背中に隠れながら嫌な想像を立てる。
「何が出るかを…って虫とか嫌なもの出るのはどうなんですか?アキトさまなら幽霊…」
「そん時は逃げる。ひたすら、ダサくても、勝てないなら逃げる」
苦手を勝てないと変換する辺りアキトらしいとレインは少し気が楽になる。
獣道に近い道を進むとレインの予想通り虫型が現れてアキトが手早く処理する。レインは深呼吸してやっぱり虫じゃないですかとツッコミされてアキトは苦笑いする。
「熊出てほしかったか?」
「出来れば新しい何かの方が思考に脳の処理増して気にしなくて済みそうですよ」
「お前も知的好奇心を刺激されたいタイプか?いいよな」
一緒にしないで欲しいとレインはアキトのガンガン進もうとする性格を非難する。アキトは後ろのレインを振り返り苦笑いして足をゆっくりにする。
「ちょっと早かったな、すまん」
「謝らないで下さい、なんか追い付けない私が悪いみたいじゃないですかー」
不機嫌そうにアキトにピッタリくっつくレイン。虫は嫌だと呟くのが聞こえてアキトは優しい顔になってハイハイと暫くくっつくのを許可するのだった。
暫く道なりに敵を倒しながら進むと少し開けた空間に出る。アキトはピタッと足を止める。
レインは不思議そうに何かあったのかと尋ねる。
「気配…一歩下がれ」
レインは言われた通り一歩下がり獣道に戻る。次の瞬間アキト目掛けて枯れ木型の魔物が森の奥から飛び出し襲い掛かってきてアキトは素早くカウンターを叩き込む。レインは腰を抜かし尻もちつく。
「立て!まだ来るぞ!」
ワラワラ湧いて出てきた魔物に対して過呼吸になりながらレインは立ち上がり如意棒を手にしてカフスから精霊を呼び出す。
「これ…魔物ですか!?」
「だな、行くぞ!」
魔族が近いかもしれないと警戒しながら二人は魔物の包囲網を突破しようと戦う。
「っち、魔法生物タイプか!攻撃の通りが悪い」
「私がやります!シルフ!」
木刀の効きが悪いとアキトは舌打ちするがレインの精霊の風魔法により事なきを得る。
敵の数およそ十体倒した所で敵が撤退を始める。
「逃げてきます…良かった…」
レインはホッとするがアキトは険しい顔をしつつ周囲を警戒する。アキトの緊張感にレインも懐の身代わり人形に指を掛ける。
「魔族ですか!?」
「逃げてくのは何かあると思ったが…魔物に危機感という本能はない…ならば」
「指示…?」
アキトは小さく頷き想像を語る。
「コイツらもしかして次の襲撃の準備か…?」
「次の襲撃…!逃がしちゃマズいのでは?!」
「この藪の中を?追うに追えないだろ…取り敢えず報告に戻ろう」
魔族からの襲撃の予感、それを一時的とはいえ未然に防ぐ事が出来たアキト達は拠点に急ぎ帰還する事にするのであった。
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森の奥に敵の前線基地のようなものがあると知らされて研究棟の幹部会はすぐに対策を求められる。
マックスは初の魔族と聞いて熱くなり自分の腕を叩いて戦いを所望する。
「道を作りながら潰す。当然だよなぁ!?」
タロスは迎え撃つのでも問題はないと冷静な判断を仰ぐ。
「森の中は視界が狭いし死角も多い、下手に犠牲者が出ては困る。まずは守りを固めて…」
「守りなんてダセェぞ」
「ダサいダサくないで語れる話しじゃない!」
水と油の二人は相容れないといった様子。
「僕達が行きます!」
一番の若頭のレックスは自分達が調査すると言い出してアキトは軽く溜め息をついて自分も参加しようと調査として道作りの護衛する事になる。
戦いたいマックスであったが危険だから一回待てとアキトに言われて口を尖らせながら渋々引き下がるのであった。
ーーーーー
翌日、何時もの六人と工事関係者で森へ出向く。道を作って貰う間六人で周囲を警戒する。
レックスはアキトに何型の魔物が出たのかと尋ねる。
「あー、言ってなかったな。植物タイプだ」
「以前来たのとは別ですね…前のは獣型でしたから」
森の中で火は使うなよとアキトは苦笑いしながら精霊のツッコミを入れる。
「え?!あ、あはは…使おうだなんて思ってませんでしたよ?ええ!本当です!」
完全に忘れていたとレックスはわかりやすい反応をするのであった。
獣道の先に向かったアリスとレインは森林浴しながら感覚を研ぎ澄ませる練習をしていた。
「アキトさまは鋭く感じ取っていましたが…どのような空気感なのでしょうか」
「張り詰めた空気、肌にピリッとくる…えーっと…」
言葉にするのは難しいが狩人としてアリスは必死に伝えようとしていた。丁度虫のモンスターが出現して威嚇してきてアリスはモンスターを指差す。
「分かります?威嚇されて感じるこれ…」
「イヤー!虫ー!来ないでー!」
グシャッと感覚を理解する前に即殺してしまうレインにアリスは呆れてしまうのであった。
シシーとミラベルは後ろから工事を見守りながら直前に相手をしたアクアサーペントについて語り合う。
「あのオッサンが倒せなかったモンスターを倒したの凄く気持ちいい話よね」
「またその話、シシーはアキトに勝てて嬉しいのは分かるけどちょっとしつこい」
「いいじゃない!減るもんじゃないし暇だし?」
自慢話のように語りたくてウズウズするシシーだが当事者に語ってどうするとミラベルは溜め息をつく。
聞こえるように話せばいいとシシーは笑って語りだす。
「やっぱり時代は魔法よね。雷をドーンと一撃、怯ませれるし?そのまま追撃!」
「ボクが敵の視覚を隠さなかったらちょっと危なかったクセに…」
どうやら魔法の準備でミラベルの揺動を行った事で何とかなっていたらしく聞こえたアキトは小声で課題点だなと呟く。
「私の偉大な一撃を悪く言うなー」
「悪く言ってない。ちょっと遅いだけ」
「ぐぬぬ、何かトゲある…その通りだけど…」
仲間からの指摘には大人しく聞き入れるシシーなのであった。
先行していたレイン達が昨日魔物と遭遇した開けた場所に辿り着いて警戒しながら休憩を取る。
アキトとレックスも合流して食事をアキトが作ろうと工事の人の分も含めて軽い食事を作成しようとする。レックスは警戒しなくていいのかと不安そうにするがアキトは敵意が遠いから大丈夫とカマドを作り始める。敵意が遠いとはと疑問に思いつつ警戒に当たるレックス。
「僕にはちょっと分からないですね、遠いのは…」
アリスも頷いて分からないとアピールする。それに対してアキトは謝りながら違う違うと笑う。
「反応が無いから遠いって意味。俺も数キロ先の反応を理解できるもんか」
ですよねとホッとした様子でレックスは胸を撫で下ろす。レインは騙されたかのように目を見開く。
「信じちゃったじゃないですかー」
「煩くするな…寝てるだけかもしれない」
アキトから注意を受けてレインは口に手を当てる。素直で可愛いものだとアキトは鼻で笑うのであった。
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調査するものの襲撃者の影は無く暫く様子見ということで一旦は要警戒で森の探索をアキトは進めることになる。
人数が減れば姿を見せるかもしれないと焦るマックスを説得してのことであった。
「取り敢えず反応は無かったが数が多いと逃げる可能性があるな」
「君だからじゃないのか?」
「いや、まだその可能性は…」
タロスの言葉にギクッとするも一度は襲われてるからとアキトは自信アリげに言うしか無かった。




