キャンプしよう
食の問題は解決したことでアキトはさっさと探索、探検を進めろと注意を受ける。確かにその通りとアキトも食材に浮かれていた自分を戒める。
とりあえず今は平野での採取は仲間に任せてタロスからアキトは荒野を目指すことを指示される。
「確かに美味い飯を君はたくさん知っている様だがそこまで重要ではない。それは分かっているだろう?だから君には荒野とその先まで調査を進めて欲しい」
「敵の実力を測れって事か。俺の仲間への知見が正しいか分からないが行くことには賛成だ」
「明日にでも行ってくれ、当日帰れないくらい深く切り込んでも構わない」
流石に飯は食いたいと日帰りを所望するアキトにタロスは好きにサバイバルしろと単純に邪魔と言われてちょっとだけショックを受けるのだった。
「使わなくなったテント等も持っていっていいぞ?」
「そんな荷物運ばるかよ!」
「確か生きてるアイテムボックスあるのだろう?」
あれはワガママで使い勝手が悪いとアキトは苦笑いすると背後に旅行鞄が現れてキックする様に後頭部に体当たりされてアキトはずっこける。
「ぐぇ!クソッ、テントでも何でも食わせてやるからな!?覚悟しろよ!」
「仲が良いな。では頼んだぞ?」
「仲良くは無い!」
ーーーーー
夜、言われた通り荷物を無理やり旅行鞄にテントと寝袋を詰め込み長旅の支度を始める。
「なーにしてるんですかね?」
レインはアキトの忙しそうな様子を他人事の様に尋ねる。
「長期の探索だよ。タロスの指示だ。まぁ俺もそろそろ旅に戻るべきかなって」
「へぇ…え?私も行かないとダメな空気です?せっかくベッド手に入れたのに?!」
ポンポンと自分のフカフカベッドを失うなんてとレインは激しく首を横に振る。
アキトは残るのは自由意志と背中を向けたままレインの考えを尊重しようとすると泣きついてくる。
「こんなギラついた男達の群れに残す気ですか!?嫌ですよ私!アキトさまのがマシです!」
「マシってなんだよ!…まぁ好きにしろ」
野宿を覚悟しろと言われてレインはサヨナラベッドちゃんと枕を濡らす。
「別にサヨナラじゃねえよ、一泊二日」
「あ、そうなんですね!じゃあ安心!」
「でも貴重品は持っとけよ?」
そんなものは無いとレインは無駄に誇らしげな顔をするのであった。
ーーーーー道程
翌朝の朝食後、荷物を詰め込まれて不機嫌な旅行鞄を手にアキトとレインは荒野に向けて出発しようとする。
二人だけで大丈夫かとレックス達も行こうという意思を見せるが寝袋の用意が二つしか無いからと同行を断り元気に出発する。
一泊二日の荒野の旅、まずは丘から平野を直進し十数キロの道程を歩く。
サバイバルという訳で道具袋の中は調理器具と少しの食材のアキトは文字通り道草を食うつもりで採取もする。
レインは何故迷いなく採取出来るのかと不思議そうに尋ねる。
「適当に採取して毒草掴まないでくださいね…?」
「安心しろ、研究者から採取可能な草の調書を貰ってる」
ハンドブックにある食用可の草をちゃんと挿絵と特徴を確認して選んでいるとアキトは語る。
用意がいいと呆れるレインだったが数日間ずっと食料について研究者と語り合ってたと笑うアキト。
「知見を広げるのは良いことだぞー」
「サバイバルなんて普通の人はしません!」
「でもグルメ目指すなら頭には入れとけ」
香草と書かれた草を実際にアキトは口に含み味見までし始めてレインは難しい顔になる。
「一から作るグルメではなく食べる専門になろうかな」
「こういうのも楽しみ方の一つなのになぁ、勿体ない」
自分は理解出来ないとレインはアキトのそれは奇行の類いだと否定的であった。
「まあ直接食わなくても夜には食べる事になる。楽しみにしてろ」
「アキトさまの料理は美味しいですがちょっと行動含めて奇抜過ぎます。お腹壊しても知りませんよ?」
流石に生で食べるなと注意されるのであった。
ーーーーー
数時間道なき道を歩いて荒野との境界線辺りに近付く。
急に草木が減り地面も乾いた感じになり多少ひび割れも起こしている。
「よし、目的地に入ったな」
「ふぅ、歩き疲れてお腹もすきました…」
レインの言葉にアキトも空腹を自覚させられる。軽く食事にするかとアキトは道具袋を漁る。
また干しベリーかとレインは少しうがった目をするがちゃんとした飯にすると飯盒を取り出す。
「あ、お米のやつですね」
「ああ、干し肉と香草と合わせて食おう。手伝ってくれ」
焚き火の準備をレインは手伝う。
ササッと香草を軽く下茹でして干し肉と合わせて一品のオカズを作り米を持ってレインに差し出す。
昼ご飯には十分な量で二人は満足し「さぁ探検」とアキトは意気込むのであった。
「まずは生態調査だな」
「…『食べる』を基準にしないで下さいね?」
「わ、分かってるって…実力基準、分かってる」
アキトは自分に言い聞かせるように復唱する。レインは疑いの眼でハンドブックにメモしろと囁きアキトは一つ返事で書き加えてから周囲を見渡し直す。
「うーむ、川の水がどこかに流入しているはずだが…乾燥地帯が続くな…」
「テント張れますかね…?目立って危険な気がします」
「確かに、まずはどこか岩陰を探すとしようか」
アキトは目印を作りながら進もうと近くの枯れ木に目印の紐を結び付ける。
「動かない目印を探すのは大変だな、方位磁針あると良いんだが贅沢は言えないな」
アキトは次の目印になりそうなものを探りそこへ向かってメモを取りながら歩く。道中の雑魚処理をしなかまら暫くそんな行動を繰り返してテントを張れそうな岩陰を見つける。
「無事休めそうですね」
「一応見張りは交代でやるか…」
モンスターが生息している地帯となれば夜襲もあり得ると警戒するに越したことはないとアキトは説明しレインは渋々承諾する。
「付いてきたこと後悔してるか?」
「いえ、まあ…はい。深夜のノリで色々恥ずかしい事を言っちゃいました」
「素直でよろしい。じゃあ適当に狩ってくるから」
アキトはテント設営よろしくと立ち上がる。
ド素人なレインは旅行鞄から吐き出されたテントセットに白目になりながら岩陰に頑張って寝床を作成するのであった。
アキトは更に遠くに見える山を眺めながら軽く深呼吸し登るのは何時になるのかと気難しい顔をする。
自分が元の世界へ帰るための討滅すべき敵が魔族だとしてボスは果たしてどこにいるのか、新大陸に来た途端パタリと途絶えたその道筋を霊峰と呼べそうな荘厳な山に求める。
(雲が頂上を見えなくしている…3000メートルはゆうに超える山か…)
今拠点にいる面々と道具じゃ登山はまだ危険過ぎるなと苦笑いになる。
それよりも目下の課題である道を作る作業が必要かとアキトは肩を鳴らして食べられそうな獣型を探す。しかし現れるのは小型の虫型ばかり、レインが今頃悲鳴を上げていないかと心配になる。
取り敢えず持ち込んでいる食料でも何とかなるのだがとアキトは実力を測ることを忘れて倒し続ける。
手ぶらのまま夕刻になってからその事を思い出して重い足取りでキャンプ地まで戻る。
「あ、戻って来た」
まったり休んでいたレインは何も食料を取れなかったアキトを笑う。
「まさかアキトさまでも苦戦するだなんて…クスクス」
「いや、虫ばっかりで…食うか?」
「嫌ですよ!」
即答、アキトも食べられそうになさそうな虫だったしと恐ろしい事を呟きながらキャンプ道具を用意する。
「で、どうでした?敵の実力は?」
「大した事ないな、熊や大蜘蛛に比べたら雑魚だ」
「ほっ、よかったー」
見張り番の時にその虫達に出てこられても勝てるか不安だったとレインは笑いながら調理の手伝いをするのであった。




