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激突、ヴィラン

アキトは朝から張り切っていた。


(今日こそは強いヴィランと戦いたい!)


という訳でサード・アイに監視と優先連絡をお願いする。


『分かった。任せてくれ』


アキトはコート内の準備を整えて街へと出発するのであった。


パトロールついでに挨拶運動といつもより軽めな作業でお茶を濁す。ヴィランと遭遇するかどうかは運であり期待値は低いが今日は何か起きる気がしていた。

街の人々と挨拶して歩き回るアキト、ちゃんと返答を貰えると嬉しいもので元気を分けてもらった気分になるのであった。


宛もなく歩き回ってパトロールしているとPDAに連絡が入りサード・アイからサモナーの情報が入る。


『以前逃したヤツらしきパーカーが見つかった。座標を送る』


アキトは事件が起きる前に対処してやると急ぎ向かう。


(いた!色は違うが似たパーカーサモナー!)


わざとらしくアキトはそのパーカーの少年の視界に入って反応を確かめる。口笛だって吹いて気付いていないフリもしておく。

ピクリと反応を示して少年はポケットからカードを取り出す。アキトは来たと現行犯で確保、捕縛しようとする。


「っち、出てこい!下僕(しもべ)達!」


様々な怪獣達が溢れ出てきて交差点はパニックになる。


「今日こそは逃さねぇぞ!あらよっと!」


アキトは怪獣より先に投げ縄をコート内から取り出してサモナーを捕縛する。


「なにぃ!?」


グイッと縄を引っ張り締め上げた上で羅刹を呼び出して怪獣達の相手をさせる。


「年貢の納め時だぜクソガキ!」


「っぐ!解けな…い」


縄で捕まえたはいいものの邪魔されないようにアキトは周囲の怪獣達を相手取る。怪獣達はサマナーでも制御出来ていないようで縄を攻撃して欲しいサマナーの願いは聞き入れていないようであった。

しかし縄片手に戦うアキトも数の多い怪獣に苦戦する。


(ちぃ、羅刹と俺だけじゃ手数が足りない!)


そう思って戦っていると怪獣の爪が偶然捕縛縄に引っ掛かり引き千切られる。


「しまった!」


投げ縄に手を封じられつつもサマナーは逃げ出す。

アキトは急ぎPDAでサード・アイに連絡を入れる。


「すまない捕縛を解かれた!追跡を頼む」


『任されよう!』


追跡を頼んだ事で気が楽になってアキトは大暴れして怪獣退治に勤しむのであった。


殲滅し終わってサード・アイの追跡データを貰いアキトはサマナーを追い掛ける。


(よし、まだ追える!)


アキトは微妙に加速しつつターゲットとの距離を詰める。


「もう来たのか!」


縄から脱出して手が自由になったサマナーはポケットからカードケースを取り出して適当に掴んで召喚する。

アキトは面倒くさそうに手裏剣をコートから取り出してサマナーの足目掛けて投げつける。


「ぐぁ!…痛ぇ!畜生畜生!」


「もう優しくしてやれねぇからな」


アキトは刀を抜いて召喚された怪人、怪獣を相手取り無双する。刀一本のはずだが技で複数を相手取って敵を近付けさせなかった。

サマナーはアキトの戦う姿に呆気にとられる。


「馬鹿な、とっておきも全滅…」


「これがとっておき?残念だな…もう少しやると思ったが…」


アキトの言葉にサマナーは怒りに打ち震えるが足の痛みで立ち上がれず地面を殴る。


「畜生!畜生ー!」


サマナーの逃げられなくなった所をアキトがもう一度縄で縛り直す。


「便利そうな能力なんだがなぁ、なんで街で暴れさせちまうんだ…?」


「五月蝿い!お前には関係ない!」


ぶっきらぼうに突き放されてアキトはやれやれと捕縛班に報告を入れる。

サード・アイからは(ねぎら)いの言葉が届く。


『お疲れ様。お見事だね』


アキトはほくそ笑みつつ伸びをしてサマナーを見張るのであった。


ヴィランを一人捕まえたとしてアキトはまた名前を上げる。しかし未だアキトは満足しておらず戦闘狂の欲求を満たせずにいた。


(やっぱり強い奴と戦いたいな…)


やる事やってボーっと街を探索していたアキト。

ヒーローとは偶にすれ違うが流石にヴィランとは出会わなかった。

暇を持て余しコンビニでドリンクを買って街行く人々を眺めながら流し込む。


(ヒーローとも挨拶程度だし…何か物足りないな)


サード・アイから連絡待ちをしていると待望の連絡が入る。


『ヴィラン『ダークナイト』らしき人物がいた。人物詳細は調べといてくれ。座標を送る』


(ダークナイト…どれどれ、俺と同じ黒ずくめの武闘派ヴィラン、戦闘能力が高くヒーロー数人がやられてる…か。期待していいんだな?)


アキトはウッキウキで座標の地点に向かうのだった。

ヴィラン、ダークナイトは黒いボディアーマーを装着し黒いマスクで顔を覆っていた。その出で立ちはまさにダークヒーローな黒騎士。

アキトが現場に到着すると待っていたかのようにスーパーヒーロー着地をして地面に軽いクレーターを作る。アキトは強そうなオーラにゾクッとする。


「ヴィラン、ダークヒーローだな…?」


「ダークナイトだ。ヒーロー、ブラックコート…間違いないな」


向こうは何処かと通信しているのか耳に手を当てて互いに素性を確認し合う。


「強いんだって?期待するぜ」


「貴様から俺と同じ臭いがする…相当な好き者だな?」


アキトは刀の柄に手を当てるとダークナイトはナイフを逆手に持って構えを取る。周囲の人々はダークナイトか降り立ったことで逃げ出して人払いが完了し二人は激突する。

アキトの崩打を物ともせずダークナイトは攻めて来る。刀とナイフがかち合い火花が散る。


(小技は通用しない…か)


アキトは狡い小技など使う必要はないなと何度もダークナイトと斬り結ぶ。周囲に虚しく火花散らすぶつかり合いの金属音が響き渡る。


「他のヒーローとは一線を画す…か、事実のようだな」


ダークナイトはアキトの情報を得ていて嬉しそうに口元が緩んでいた。アキトも強敵に燃える。

ガキンと武器がぶつかり合い弾き合い距離を取る。


「いいね、能力解放させてもらうぜ?」


アキトは指を鳴らして旅行鞄を呼び出して武器を吐き出させる。トールハンマーを手にする。


「武器を呼び出したか…!それが能力か」


「ライトニングパイル!」


バリバリと電撃を纏った一撃を放ちダークナイトはナイフで受け止めてビリビリと痺れる。


「ぐぁっ!電撃だと!?」


「悪いが説明はしないぜ」


属性技が使えるようになる事は伝えず戦いを継続する。

ダークナイトも能力を解放する。ナイフが黒い剣に変化して間合いが伸びる。


(剣が伸びただけ…な訳ないよな。まだ何かある、様子見で距離を取るか)


臨戦態勢を取ったまま間合いを取り雷魔法で牽制する。それを躱しつつジリジリ間合いを詰めてくるダークナイトの威圧感は凄まじかった。


(っく、手の内が見えないのに…いや、受け身なのはらしくないな…攻めるか!)


アキトは指を鳴らし武器を新しく取り寄せる。氷雨を手に取る。


「また刀か」


「別の刀だが…これが俺の本気だ」


氷柱飛ばしをしながら刀身を氷でコーティングし斬り掛かる。


「今度は氷か!」


アキトの苛烈な攻めに闇の剣で防ぐダークナイト、金属音とはまた違う音が響き渡る。

このままでは押し負けるとダークナイトは咆哮を上げる。


「ウオオォォ!」


闇の剣が闇の大剣になりアキトの攻撃間合いを超える。


「む、デカい…」


「アアァ!!」


理性を失っているのかダークナイトは喚くだけになり大暴れするように大剣を振り回す。


(理性を犠牲に剣を大きく…コスパ悪そうだ)


アキトは自分の能力の高さを棚に上げて相手のパフォーマンスの悪さをツッコミながら戦いそろそろ決めるかと距離を取り居合いの構えを取る。


「絶空!」


突っ込んできた敵を吹き飛ばす一撃を放ちダークナイトはビルに叩きつけられ意識を失うのだった。

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