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怪人最前線

大量発生させられた怪獣、怪人を倒し終えてアキトは報酬が入っていてオカルトガールに菓子折り買って帰る事を思い出しデパートへ行くことにするのであった。


(菓子折りって何持ってけばいいかな…)


取り敢えず女性が喜びそうな甘いものにしようと安直に購入してそれを持ち帰る。


アパートまで帰ってきてた御門の部屋を訪ねる。


「…はひ?!な、何か用ですか…?」


「掲示板で俺の事フォローしてくれたろ?そのお礼」


「あ…見てたんだ…」


小声でアキトに掲示板を見られてた事に恥ずかしそうに顔を(そむ)ける。

御門は菓子折りを受け取り「全部気付かれてた」と小さく呟く。

アキトは頭の上にハテナを浮かべるが御門は全てをぶっちゃける。


「監視カメラで見てた事や…役に立とうとヴィランの居場所探したのとか…」


(あー、だからボランティアしてる事知ってて…匿名のメッセージも彼女が…菓子折りじゃ足りねぇな)


御門はアワアワと慌てる様子を見せるがアキトは感謝の言葉を伝える。


「ありがとう。色々助かったよ」


「サード・アイに比べたら…」


「人と比べたらダメだぞ。君にだって出来ることと出来ないことあるだろうし」


アキトの深く考えていないフォローに御門は恥ずかしそうにして扉を閉めてしまう。

アキトはやっちまったかなと頭を掻くのであった。


ーーーーー


自室に戻ったアキトは布団の中でぬくぬくしながら掲示板やネットの海を彷徨(さまよ)い知識を身につけていく。


(名前と顔を一致させる必要あるし無理してヒーローは覚えなくてもいいか。それより怪人やヴィランのデータと過去の怪獣なんかの攻略法とか調べた方が有意義だな)


最新のデータも漁りつつ過去のデータもしっかり余念なく学ぶ。


(ヴィランって活動が不安定なんだな。怪人は多発区域と別で結構差があるし怪獣は滅多に出ないのか…)


現在指名手配されているヴィランの量と活動範囲データを見てアキトは目を丸くする。ヴィランは予測出来ない為、別の視点から傾向と対策を練る。


(ヴィランの行動予測は無理そうだな。明日は多発区域で怪人退治に注力するか。サード・アイが手伝ってくれればすぐにでも見つかりそうだな)


よし決めたとアキトはPDAを置いて布団を被り寝ることにするのであった。


ーーーーー


翌朝、今回の作戦をサード・アイに伝えて活動を開始する。

怪人出没頻度の多い区域へ向かい一応ボランティア活動から開始する。


(何はなくともボランティアで時間を潰す。ヒーローの鉄則だな)


勝手に鉄則を作り人々との交流をしつつ怪人達が活動するのを待つ。

街行く人々と挨拶をしていると早速挑戦者が現れる。


「カーニカニカニ!」


蟹の身体に人の手足が生えた怪人が現れる。


「皆早くこの場を離れるんだ!」


人々を逃がしてアキトは刀を引き抜く。


「ボランティアヒーロー如きが毛蟹王様に敵うと思ってるのカニ?」


「直前の活動だけみて油断してると茹で蟹にして食っちまうぞ!」


「おー、こわ。刀如きでこの甲羅が貫けると思ってるのカニ?」


アキトは無表情のまま崩打を毛蟹王に放ち文字通り一泡吹かせる。


「カニ!?」


「貫けないかどうかその身でじっくり味わいな!」


爪波刃でわざわざ相手の硬い所をメッタ切りにしてガリガリと削っていく。


「ががが!」


「カニ味噌ぶちまけろ!」


「そ、それだけはー!」


怪人にだって生きる権利はあるとアキトはトドメの一撃は放たずに足払いしてひっくり返し御縄につける。


「死にたくなきゃ大人しくするんだな」


「ヒィィィ、分かったカニ」


「その語尾やめれないかに?」


脅しかけると毛蟹王はウンウン頷くのであった。


毛蟹王を捕縛班に引き渡してアキトはゴミ拾いボランティアを開始するとサード・アイから連絡が入る。


『怪人の出没が多いね。通報する以前にヒーローと戦う為だけに出没してるのもいるよ…』


『待ってれば向こうから来てくれるなら楽だな』


『通報する仕事が無くて商売上がったりだよ。暫く他の地区を観させてもらうよ』


残念ながらサード・アイからの協力は得られないようでアキトは仕方ないと一人で仕事をすることとする。

ゴミ拾いを続けていると色々な物が見えてくる。


(区域によって捨てられるゴミに違いがあるなぁ…割と大きなゴミもあるな)


ちり紙だけでなく飲み物の空容器などもあってどんどん拾っていく。

とある路地の近くまで作業していると路地から怪人と狼女が飛び出してくる。


「ウルルァ!」


怪人にマウントポジションを取って一方的に文字通り引っ掻き回し再起不能にする。

ウルフレディが怪人をボコボコにしスッキリしたと人の姿に戻る。


「へぇ、それが獣化の能力か」


「む!なんじゃいブラックコートか。見るのは初めてか?どうじゃ?華麗じゃったろ?」


「華麗…というよりパワフルだったな」


「パワフル…確かにそうじゃ!ハッハッハ」


アキトは野蛮と言う言葉を飲み込みパワフルと言い換える事でウルフレディは満足し事なきを得るのだった。がしかし。


「この辺りは怪人が多くて稼ぎが良さそうだな」


「稼ぎか…ヒーローたるもの金には執着するんじゃない!人を救ってこそのヒーローじゃ!」


ちょっとした地雷だったのか結局叱られるアキトであった。


ーーーーー


アキトはボランティアを再開する。

蟹だけじゃ戦い足りない満足できないアキトの元に怪人が現れる。

鳥の頭をしたスーツ姿の怪人は掃除しているアキトを見て哀れむ。


「ホケキョ、ヒーローしてるのにゴミ拾いとは可哀想ですねぇ」


「なんだよ?喧嘩売ってるのか?鳥頭」


「ホケ!何という無礼な!このウグイースヘッドを馬鹿に!」


互いに分かり合えないと構え合う。


「ケキョケキョ!やはり人は愚か!進化した怪人を相手にできるわけ無いではないか!」


「それはどうかな?」


アキトはにやりとほくそ笑み刀を抜く。


「ホケ?」


「そりゃ!」


呆ける怪人に対してアキトはスパッと一撃加えるがサッと避けられる。


「ケーキョキョキョ!遅い遅い!」


「へぇ、やるじゃん」


アキトは感心して別の手を使う事にする。崩打を飛ばすと怪人は軽く吹っ飛ぶ。


「ホゲェ!」


「お、流石に当たった」


怪人はよろめきながら立ち上がり卑怯だの何だのと喚く。


「貴様ァ!見えない攻撃などという卑怯な手を打つなど!ヒーローではないな!」


「勝手に悪人扱いしやがって。どんな技でもいいだろ結構苦労して習得したんだぞ?」


「知るかホケ!」


怪人は目にも止まらぬスピードを出してアキトを翻弄し殴り掛かる。そんなものとアキトは動きを読んで回避し素早く斬り掛かる。


「当たらないホー」


アキトの刃をスイーッと回避する怪人、避けるだけなら余裕だとでも言いたげなニヤケ顔をする鳥頭にアキトはイラッとする。


「ニヤケ顔出来る柔らかいクチバシだこと」


「ホケキョ!悔し紛れの嫌味が心地よい!」


悔し紛れと言われてアキトはまた攻め方を変えようと居合いの構えを取る。


「何を狙っているのか見え見えだキョキョ。まーた見えない攻撃だろう?ホケキョ!」


「サービスだ。ちょっと本気見せてやるよ」


「ホー?」


避けてやると身構える怪人だったがアキトの次の一撃は絶空、逃げ場などなく怪人は一撃で仕留められて血煙と化す。


「ホーケーキョー!」


「遊びは終わりだ…」


何とか原形を留めている怪人は虫の息でアキトに手を伸ばす。


「と、とんでもない技を…」


「生きてたか。怪人はデッドオアアライブだからな…生き残りたければ大人しく御縄につくんだな」


「バケモノめ…」


お前らに言われたくないなとアキトは怪人を後ろ手に縛るのであった。

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