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思わぬ苦戦

オフィス街の魔窟に入った二人、第一層は森の中に出てミクは少し残念そうにする。


「オフィス街だから特殊な地形期待したんだけどなぁ」


「シンプルが一番だよ。攻略するならな」


アキトはそういうが再生数を求めるなら目新しさが欲しいと願うミクだが出現するモンスターも普通の一言でミクは残念がるのだった。


「ゴブリンやコボルトですね…」


「残念がるなー!俺だけが頑張ってるんだからさー」


アキトは木刀でゴブリンをホームランしながら文句を言うミクにツッコミを入れるのであった。


「まぁでも頑張ってるアキトさんのウケはいいですよ?黒コート頑張れー」


「その略称もやめてくれ、そろそろ名前広まってくれ!アキトだ!俺はアキト!」


「だそうです。みなさんはちゃんと名前を覚えてあげてください」


コントの収録もしっかり欠かさないミクなのであった。


第二層に入りやっとオフィス街の魔窟らしいオフィスの迷宮に入る。


「それっぽい通路とオフィス…パソコンは…無いですね」


「そこまで再現出来ないんだろうな…ほら、先行くぞ?」


カメラで周囲の様子を映すのに躍起になっていたミクに声をかけて進行を開始する。

二人は警戒しながら進むと正面からフヨフヨと八面ダイスのようなものが飛んできてアキトは木刀を握る。


「伏せろ、物陰に隠れるんだ」


「えっ、なんですかアレ…」


「分からない…だが俺の本能がモンスターかその攻撃だと告げてる」


オフィスを巡回するように浮遊し移動するその物体をアキトが奇襲して攻撃する。

攻撃を食らった物体は機械音のようなものがして何かピカっと光りを放ってレーザーを見当違いの場所に放つ。


「ヒャ!レーザー!?」


ミクは光が当たった所が焦げたのを見てビックリする。アキトは額に汗をかいて回避出来た事をホッとする。


「な?普通の敵の方が安全だろ?」


アキトの言葉にミクは激しく頷くのであった。


二人はオフィスを抜け通路を抜けまた別のオフィスに出る。


「迷宮ですね…」


「上下移動は無いから分かりやすいかと思ったが…敵が厄介だな」


机を盾にしながら移動する二人の前には先程と同じ八面ダイスが浮いていてアキトが溜め息を付く。


「武器がマトモなら楽に突破するんだがな」


「ご機嫌ナナメ?」


「まぁな、あとでちゃんとご機嫌取りしないとな…」


神鳴の事を悪く言うのはやめて二人はコソコソ移動して背後からアキトが一撃入れて破壊するの繰り返し先へ進む。


「アキトさんの勘が冴えてなかったら今頃私達レーザーで真っ二つでしたね…」


「言うな、想像するから…それに警戒心は常に持つのは探検家の常識な?」


「探検家ときましたか…まぁ魔窟の探索者は探検家と同義みたいなものですか」


二人はそんな話をしながら先へとゆっくり着実に歩みを進める。非常口と光が灯った扉の先に階段がありそれを上ることで第二層を突破するのであった。


ボス部屋はビルの屋上、ヘリポートであった。


「うひゃあ高い!」


作られた空間だろうが落ちれば死ぬだろうとアキトは注意する。高所恐怖症になりそうなミクはあまり踏み出せず隠れるようにカメラをアキトに向ける。

アキトも敵は何かと緊張した面持ちで周囲を見渡すと半人半鳥のハーピィが飛んできてアキトを強襲する。


「アキトさん!」


「大丈夫だ!そのまま隠れてろ!」


なんとかアキトも弾き返しミクはホッとする。

アキトは斬撃波で空中のハーピィを撃墜しようとする。


「飛べる相手とか卑怯だろ!」


ビルの陰に隠れてしまい次はどこから来るかとアキトは身構えるしか出来ない。


「アキトさん!右です!」


視野を広く見れるミクが飛び出したハーピィの位置をいち早く伝える。指示のおかげでアキトは素早く斬撃波を放ちハーピィを撃墜する事に成功する。


「やりましたね!」


「いや、まだだ、手応えが軽い」


アキトの言う通りハーピィは再浮上してきて羽根を飛ばしてくる。コンクリートに突き刺さる威力の羽根をアキトは咄嗟に回避しカウンターの斬撃波を放つ。ハーピィもサッと回避し睨み合いになる。


「も、もどかしい…遠距離攻撃じゃ決着付かないよ…」


ミクは縮こまりながら行く末を見守る。

先に動いたのはハーピィ、急降下しながら鋭い脚の爪を向けてアキトに突進する。

それを待っていたとアキトは構えを変えて居合い抜きで奥義を放つ。


「絶空!」


隠れているミクにも伝わる空気の振動、ハーピィはその圧にズタズタにされ地に堕ち絶命する。

ふぅとアキトは技が決まって一安心するが宝箱の出現にまた緊張した顔をする。


「ミミックなら面倒くさいな…」


「いつも通り蹴ってくださいよ」


アキトは言われた通り軽く蹴って宝箱がミミックでないことを確認し開ける。

中身はチャクラム、手裏剣タイプは使えるとアキトは喜び黒コート内に早速仕込むのであった。


「アキトさんの服の裏どうなってるんですか…?」


「投げナイフや苦無、手裏剣や試験管型薬瓶なんか仕込んでるぞ」


「暗器の見本市ですね…」


アキトはゲラゲラと笑って「見るか?」とコレクションをひけらかそうとする。


「いいです。見なくても…」


ミクはノリ悪く拒絶するのであった。


ーーーーー


協会に売却する必要が無いもので良かったとアキトは安堵しつつ次のショッピングモールの魔窟を目指す。また地下鉄に揺られて向かう。

ショッピングモールは人で賑わっていてその内側の一角に魔窟が開いているという情報で行ってみると確かに封鎖された一角に魔窟の入り口がポッカリと口を開いていた。


「人が多いからな…さっさと閉じよう」


「どんな世界でしょうか…」


「普通が一番だよ」


第一層、平原が広がっていてミクは出鼻が挫かれたかのような声を漏らす。


「ザ・普通!」


「良かったな」


「良くない!」


コントをしておいてさっさと次へ行こうと急ぎ足で駆け抜ける。

次への階段は走ればすぐに見つかり簡単に一層を抜ける。


期待不安の第二層、洞窟マップでミクは肩を落とす。


「また普通ですね」


「影響をあまり受けてない方が難易度は易しい。だが油断しないで進むぞ?」


ミクは不服そうに「はーい」と答えるのであった。

真っ直ぐな一本道に雑魚が奥からやってくる簡単なフロア。

ゴブリンやホブゴブリンをアキトは軽々と打倒していき早々に第三層まで到達する。


ボス戦はようやっとそれらしい誰もいないモールの吹き抜け、アキト達の前には巨大な木が生えていて初手ツルのムチが飛んできてアキトは咄嗟にミクを庇い木刀でガードして弾き飛ばされる。


「アキトさん!」


「っぐ、大丈夫だ!隠れてろ!」


「隠れろって言われても!」


周囲は根で覆われていて逃げ場など無くミクは困惑する。


「早期決着を付ける!なんとか耐えろ!」


「そんなぁ!」


アキトは手に入れたチャクラムなどの投擲物をめいいっぱい木に投げつける。


(炎の精霊がいれば!…致し方ないか)


殆ど投げ終わり木刀を手にし絶空の構えを取る。

背後ではナイフ片手に根から伸びるツルを必死に切り落とすミク、次の一撃で決めないとミクが危ないとアキトは今出せる全力を木にぶつける。


「絶空!」


グワッと空気が振動し周囲の根にも振動が伝わりビリビリと音が聞こえる気がする。

木は風の刃でズタズタにされるが原型は残る。


「っく、耐えられたか!?」


悔し紛れの木刀の一撃を力いっぱい放つと大きく軋む音が響き破裂するように木は崩れ始め周囲の根も動きを止める。


「や、やりました!アキトさん!」


「はぁはぁ…木刀じゃ厳しいって…神鳴のご機嫌取りしないとマズいな…」


「ショッピングモールですし甘い物いっぱい買ってあげましょう?」


それがいいとアキトも頷くのであった。

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