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砂漠の暴君

デスワームを撃破し地上へ何とか戻って来たアキトをニーナとヤマトが出迎える。ニーナはホッとしたように胸を撫で下ろしヤマトはアキトが無傷な事に信じられないと目を丸くしていた。


「アキト!良かった、これで消えずに済むー」


「アキトさん!?無傷?嘘?!あ、いや無事で良かった」


アキトは親指立てて「余裕だった」と戻ってこれた事は偶然だが強がって見せる。ヤマトはデスワームの姿を見ていないが強敵なのは感じ取っていてアキトの規格外の強さに開いた口が塞がらないようだった。


「よ、余裕…?」


「デスワームと遭遇したが倒して這い上がってきました」


「這い上がっ…えぇ…」


困惑か広がるヤマトを置いてニーナはアキトの手を取りやったやったと大ボス撃破を喜ぶ。


「任務完了だね!」


「…あ、素材剥ぎ取り忘れた…」


「えー、じゃあ報告できない?」


ダメは元々に取り敢えず倒したと報告する事にする。

街まで歩きながらヤマトは頬を掻いて呑気している二人に自分の方の報告を行う。


「流浪の民についての情報を得たよ。取り敢えず聞いて欲しい」


「入手できたか!どうだった?」


「彼らはデスワームの出現で荒野を旅しているそうで探すなら荒野側だそうだ、ワイルドボアとの関係性も見えてきた気もするよ」


情報を精査する必要はあるが聞いての通りなら確実に影響はありそうだとヤマトは睨んでいた。アキトも可能性は高いなとデスワームの危険性を理解して頷く。


街まで戻って来て酒場にて報告を行う一行だったが受付嬢は難色を示す。


「倒したと言われても証拠が無いと困りますね…それに一匹ですか」


「まて、一匹って…まさかまだ居るのか!?」


アキトはあんなのがそこら中にいるのかと目を丸くする。受付嬢は頷き砂漠なら結構な数いると答える。


「ええ、お陰様でオアシス以外は危険地帯ですよ」


一匹程度じゃ話にならないとアキトは依頼書を再確認して討伐数に下限も上限も書かれていないのを見て頭を掻く。


「どれだけ倒してもいいタイプか…」


「ただお話によると地下空洞に落ちてそのまま生き埋め…いえ、倒したから死体が埋まった感じですか…一応一匹分の報酬は出しますね」


「地下空洞が奴らの掘った物なら下手に動けなくなったな…」


帰れるかどうかも怪しいとアキトが口にしてヤマトがあたふたし始める。


「帰れないんですか!?」


「砂漠を横断するか?ラクダがいても意外と危ない感じがするぞ?来れたのは運が良かっただけかもしれない」


「そんなぁ」


とにかく倒し続けるしか無いと報酬の銀貨を受け取りアキトは覚悟を決めたほうがいいと呟く。裏で報酬の受け取りを見てニーナは思い出したかのようにデスストーカーの素材を提出する。

ヤマトは暫く帰れないかもしれない事に愕然としてアキトに何とかデスワームの討伐を頑張るように伝える。


「やるだけやってみるさ」


アキトは焦ることはないと笑いつつ早速動き始めるのであった。


街から少し離れた砂漠の上に三人で立って周囲を見渡す。ヤマトはなんで自分までと戦闘経験が無いのにと呟く。


「魔法も使えないのか?」


「ちょっとだけなら…」


「じゃあ戦力だ」


アキトに軽く戦力扱いされて「そんなぁー」と冒険者じゃないのにと嘆くヤマトであった。


ゴゴゴと地鳴りがして砂が渦を巻く箇所が出来てアキトが指差す。


「近寄るなよ?落ちるぞ」


「さっきアキトはアレに飲まれたの?」


「そうだ、デスワームが作る穴だな」


ニーナとヤマトはゴクリと生唾を飲み込み身構える。

デスワームがその穴から姿を表し三人を睨み付けてくる。


「コイツがデスワーム!?」


「足下に気をつけて戦うぞ!」


グワッと口を開けるデスワームにヤマトは腰を抜かしそうになる。アキトとニーナは素早く反応し斬撃波とファイアボールをその口に放り込む。

炸裂した攻撃にデスワームは大きくのたうつ。ヤマトは目を見張り効いていると喜ぶ。

二人は追撃を放ち更にデスワームを弱らせる。ニーナがヤマトの肩を叩く。


「ヤマトも攻撃!」


「そ、そうたった!アクアスプレッド!」


水の弾丸をデスワームの根本に放つ。砂を固める様にしデスワームの身動きを制限する。ニーナもその手があったかと水の魔法を放ち砂漠に水を撒く。


「トドメだ!」


アキトは絶空を放ちデスワームの顔面をズタズタにする。

また一匹デスワームを退治した一行はホッとしつつアキトは気をつけつつデスワームから牙を採取する。

デスワームはそのまま地中へと飲まれていくのであった。


「流砂ですか…危ないですね…」


「殆どはコイツラが空けた穴のせいなんだがな」


街に戻りつつ語り合い酒場で牙を納品する。


「流砂があって流石に頭は持って帰れなかった」


「分かりました。ご苦労さまです」


街の近くで二匹目の討伐となるとそれなりに不安も広がるというもので受付嬢はアキト達に気を付けるように注意するのであった。


酒場を出て夕刻、一応御者を探してみる。

今朝共に到着した御者がまだ残っていてデスワームの噂に困り顔になっていた。


「おう、あんたらか…聞いたか?砂漠に出る暴君…」


「デスワームですね…」


「全く…遭遇せずにここまで来たのは運が良かった…が帰れなくもなった…どうしたもんか…」


ヤマトは御者を励ましつつ自分達が今周りの奴らを退治して帰りの道を確保すると力説する。


「今周辺のをアキトさん達と倒してますから!」


「冒険者ってすげぇんだな…デカいだろ」


「ええ、ですが勝てます!」


実際に戦ったヤマトはアキト達の実力を認めて語る。御者も信じて帰りの準備をするよと答えてその時は三人も乗せてやると返すのであった。


ーーーーー


次の日、朝から忙しそうにアキト達は雑魚とデスワーム狩りに(いそ)しむ事になる。

砂漠を注意して歩きながらデスワームの痕跡を探しつつ戦闘することでデスワームを地上に呼び出し撃破する。この繰り返しであった。


「…いつの間にか戦うことに慣れてる自分が怖いです」


ヤマトは愚痴を呟きニーナはそんなヤマトを励ます。


「強くなれるから!」


「別に強くなりたいなんて思ってませんよ!?」


アキトは無意識に仲間扱いして一緒に行動してしまっているが中央の仕事の依頼人なんだよなと今更ながら自分の大事な依頼の依頼人ということを思い出し冷や汗を垂らしながら戦っていた。

そうはいっても人手は多いほうが実際楽でデスワームをまた一匹撃破する。

ヤマトは三匹目を倒してホッとしながらも本当に多いですねと呟く。


「放牧民が砂漠から退去したのも頷ける」


「…それで中央に迷惑掛けたのなら…」


「どうする?これも自然の摂理だとしたら?」


ヤマトは困り顔になりそれを判断するのは自分ではないと悔しそうに顔を背けるのであった。

ニーナは自然の摂理とはと首を(かし)げるがアキトは難しい事は考える必要はないとニーナには甘く接する。


「取り敢えずはデスワームを減らし帰りの安全を確保する…だろ?」


「そうですね…帰れないのは困ります」


そうこうしていると雑魚が地中から湧いてきて三人はまた戦闘に身を投じるのであった。


ーーーーー


本日の釣果(ちょうか)はデスワーム三匹、これで五匹となりオアシス周りの安全は確保されたんじゃないかと語り合う。

帰りの道中に出会ったとしても倒せばいいとヤマトは少し勇み足な事を口にする。夜通し歩く事になる砂漠でそれはどうなのかとアキトはもう少し狩りをするべきかもと慎重な意見を述べる。

たまたま酒場で飲んでいた御者はラクダが大事だと三人に話しもう少し狩りをしてみて決めようとなるのであった。

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