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中央へ

中央を目指す事にしたアキト達、旅支度をしようとアキトはニーナに告げる。

その為に一応軍資金を用意しようといつも通り依頼を探す。


「アニキー」


仕事を探しているとカインがアキトを呼ぶ声がする。


「追ってきちゃった」


気軽にそういうカインとサラが申し訳無さそうに頭を下げる。

カインはニーナを見て首を傾げてアキトは仲間だと説明する。


「なるほどアニキも一人だと辛いことあるんですねー」


「まぁ実際助かった場面もある」


対幽霊には絶大に貢献してくれたこともあって邪険には出来ないなと苦笑いする。


「一緒に仕事行きましょうよ」


気さくに誘ってくるカインにアキトは少し考えてまぁいいかと誘いに乗りヒスィの街周辺のモンスター狩りに繰り出す。


門を出て四人でフラフラと外地を警邏(けいら)しながら見つけたモンスターを倒していく。


「大きな都市でもモンスターが近くまで来ちゃうもんなんですね」


「ルールや道理なんて通用しないだろうからな」


四人になると途端に狩る量も増えるとアキトは計算をしつつモンスターを倒していくがやはり足りない。


「んー、割に合わない仕事だな」


「ダメでしたか…?」


カインは自分にあった難易度で選んだと説明する。


「難易度よりも人数かな?モンスターの数と報酬と生活費、そのバランスが大事なんだ」


「た、確かに…」


アキトの説明を聞いてカインは報酬を考えて確かに割に合わないと気付かされる。


「今回は俺の分はいらないから好きに暴れてくれ」


「わ、分かりました!」


(後輩が頑張る姿ってのはいつ見てもいいものだ)


強くなる為には戦うしかないとカインは頑張って剣を振り回す。サラは自分も生活には余裕があると答えてカインとニーナの生活費の足しにされることとなるのだった。


夕刻まで狩りを続けて帰ってきた四人、報酬を取り敢えず受け取り分配する。やっぱり足りてない感じでカインは申し訳無さそうにする。


「まぁ気にするな。数日ぶりの再会で一緒に仕事出来て楽しかった」


「そ、そうですか?なら良かったんですが…」


「俺は金を目指す。だから今度は中央へ行こうと思うんだ」


金を目指すと聞いてカインは目を見張りアキトは銀の証を見せる。


「流石アニキ、ドラゴンスレイヤーは伊達じゃ無いです」


「あんまり大声ではしゃぐなよ?俺が狙われちまう」


色々と周りから目を付けられてしまうとアキトは苦笑いする。

ニーナは「ドラゴンスレイヤー?」と興味深そうにアキトを見つめてくるが説明していなかったとアキトも頬を掻く。


「特に凄い事を自慢気に話す性格じゃないから教えてなかったな…」


サラはアキトを小突く。


「嫌味は良くない」


「嫌味だなんて…嫌味なのか?」


アキトは自分の性格を省みるがそこまで嫌味な雰囲気で話している気はしていなく困り眉になる。

話しは中央へ向かう事に戻りカインは少し寂しそうにする。


「せっかく追いかけてきたのにまた遠くへ行っちまうんですね」


「俺は金証の為、ニーナは食道楽の為。強くなったらお前も来い」


「故郷を離れるのは少し怖いですが…頑張ります!」


サラは軽く溜め息をついてカインに何処までもついて行くと答えるのであった。


酒場を出たアキトとニーナは夜店で干し肉や乾燥ベリーを購入する。

ニーナは不思議そうにアキトの買う物を見つめる。


「いざという時の非常食だ。まぁ腹の足しになればいいなってやつ」


「食べてみたい」


「おい!非常食っつたろ!?今食べたら意味無いの!」


店先で話すから店主が気を利かせて「少し味見するかい」と勧めてきてニーナはベリーを口に含み酸っぱい顔をする。


「ピャー酸っぱい!」


「その酸味で涎を出して我慢する。酸味は苦手か?」


「甘いの想像してた…」


甘かったらもっと水が欲しくなるだろとアキトも店主も笑ってしまうのであった。


ーーーーー


翌日、中央行きの馬車を求めてアキトは一足先に厩舎へやって来ていた。


「中央までは五日、宿場町経由ならありますぜ。護衛もしてくれるなら割安にしときます」


「よし、乗った二人分頼む」


「あいよ、お連れさんはまだ?」


アキトは連れは買い物してると笑う。

ニーナは馬車内で食べる予定のご飯を持って現れる。

その量に少しアキトも呆れつつ馬車に乗り込む。


「そんなに食うつもりなのか?」


「非常食です」


「日持ちしない物を非常食扱いするな」


アキトのマネをしたかったのか非常食と称するそれらはどう見ても日持ちしない食料であってアキトは軽いチョップを入れるのであった。


「初日の宿場町での夕食は無しだな」


「そんなぁー」


二人のコントに御者は早く乗れと最速するのであった。


ーーーーー


モンスターとの遭遇戦はあっても大きな襲撃は無く暫くは平和な旅が続き、最初にアキトが訪れたルリドーの街から中央へ向かう道中に入る。


(ここからは俺にとっては未知の道中だな)


少し外を眺めるアキトにニーナは不思議そうにする。


「そんなに警戒してどうかしたの?」


「知らない土地や場所ってのには…警戒しがちなんだよ俺」


難儀な性格してますねとニーナは軽い調子でルリドーで購入した干してないベリーを口に含み幸せそうにする。

御者はニコニコ笑ってあと少しの我慢ですよと笑う。


「中央の土地に入れば警戒なんていらなくなりますよ?賊が湧いたらすぐに退治されちまうような場所ですからね」


それはそれで賊も苦労が多いなとアキトは苦笑いする。


「ハハッ真っ当な道を選ばないのが悪いんですよ」


(生まれや育ちで仕方なくってのもあるんだろうが…まぁそんな事に同情してたら何時までも悪は無くならないな)


馬がぴくっと反応して御者はアキト達を呼び付ける。


「旦那、仕事ッス」


アキトとニーナは馬車を降りて馬車を狙って現れた賊を相手にする。


「中央ギリギリなら悪さしてもいいってか?」


「悪い人倒します!」


賊達は冒険者が降りてきたのをみて舌打ちしながら荷物と金目の物置いていけと定型文を語る。当然拒否、戦闘開始と相成る。

アキトとニーナは馬車に被害が出ないように立ち回る。賊達はそんな二人を見て余裕を持って展開してくる。


「ヒャア!どうせ皆殺しだ、馬車に多少被害出ようが構わねぇ!」


「やっちまえ!」


一斉に襲い掛かってくる賊にアキトはニーナに馬車の援護をするように指示する。


「背中は任せろ、そっちは馬車を守れ」


「分かった!」


ニーナは直ぐ様魔法で火の壁を作り出して賊の行く手を阻み足止めされた賊を雷の矢で撃ち抜いていく。

アキトも攻めてくる賊を素早く木刀で打ちのめし足りない手数は投げナイフを放ち仕留める。

手練れの二人に賊達は勝てないと察して逃げ始める。


「追いかけたいとこだが依頼は受けてないからな…命拾いしたな」


アキトは仕留めた賊からナイフを引き抜き逃げ出した連中に伝わらないセリフを吐く。


「それなりに倒した」


ニーナは地面に倒れている賊を指差す。アキトは殺したのか確認する。


「わからない、電撃でビリっとさせたけど…」


「まぁ放っておけ、さっさと中央に入ってしまおう」


賊に情けは不要とアキトはニーナを連れて馬車に戻る。御者は感謝の言葉を述べる。


「助かりましたぜ旦那、モンスターの時も思いましたがお強いですね…」


「まぁ鍛え方が違うって言うか…?」


アキトはケラケラ笑いニーナも「人とは違うから」と幽霊ジョークを飛ばすのであった。

暫く走ると国境なのか関所のような物が見えて来て御者だけでなく二人は身分証として冒険者証を確認される。


「皮と…銀…だと!?」


関所の人々も珍しいものを見たとアキトの肩を叩いて金目指して頑張れよと応援してくれるのであった。

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