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偽神を封じろ

ヨロズと神威、二人は工房に籠もって『箱』を改良していた。

現状偽神の無効化だけでなくコアそのものを無力化する案まで考えていた。


「雑魚も無力化して完全に無敵になれれば…」


神威がボソッと語りヨロズも頷く。


「小物も面倒臭いものな…独立して動いている点を加味すると偽神とはまた別物だな…」


「データ採取で分析出来れば…まぁそこは後日にして今は眼の前の課題か」


ほとんど完成しているプログラムを『箱』に乗せて実地試験するだけだが地下鉄攻略に関しては学長もアキトも乗り気になってくれず少しもどかしい思いをしていた。

丁度噂をしていると生徒達の馬鹿な競争の反省文を書かせている間にアキトが様子を見に来る。


「おお、アキト、箱の調整は完了した。後は実地試験だ」


「出来ちまったか。技量は疑ってないが…想定はどの神も完封できるんだな?」


「うむ!魔力供給を断てば偽神も置物にすぎん」


アキトは良くわからないパソコンの画面を覗き込んで頬を掻いて自分も行く必要あるからなぁと日程を確認する。


「次の休み、時間をめいいっぱい使う。それでいいか?」


三日後とカレンダーを指さして神威達も採りたいデータあるから大歓迎とアキトの案に乗るのであった。


ーーーーー


静かに三日流れアキトとヨロズの二人で攻略に向かう事になる。


「神威は来ないのか?」


『モニタリングさせてもらう。我は自分の舞台を作って戦うタイプだし?わざわざ相手の舞台に乗るのはスマートじゃないわけだし?』


言い訳をする神威、その内容に苦笑いしてしまう二人はとりあえず進行すると懐中電灯片手に地下街へ入っていくのであった。


「雑魚についてもデータが欲しい、アキト、戦闘を頼む」


「はいはい、時間はたっぷりあるからな…お、いたいた」


ノームがツルハシを手に襲い掛かってきてアキトはブレードでサクサク倒していく。

本当にこんなのでデータが取れるのかと心配するがヨロズは問題ないと答えて引き続き雑魚掃除を続けるのであった。


「ふむ、独立して存在し消滅とともに魔素に変化しコアに吸われる…と」


「雑魚も消滅させようってか?ちょっと横着が過ぎるんじゃねぇか?」


「かもな、だが楽できるならした方が良い。そういうものだろう?」


アキトは何とも言えないと難しい顔をしてデータ採取の協力を続ける。

『箱』を使いデータ採取を悠々とするヨロズにちょっとは雑魚狩りの手伝いもしてくれとアキトは呆れる。


『ふーむ、モンスターは独立して偽神はコアと直結なのは何故なのだろうな』


「俺達に聞くなよ。土壇場のシステム実装ってやつで未完成なんじゃねぇの?」


『未完成…か…不穏だな』


お前が言い出したんだろうがとアキトはツッコミを入れつつ先へ進む。

改札口が見えてきて灯りもついていてアキトとヨロズは一旦休憩とこの後の連戦に備える。


『ヨロズ博士、根っこと灯りについてもデータ採取よろしく』


「ん?ああ、そうだったな…どれどれ」


『箱』を天井に翳して組成調査を開始する。


「ほう、興味深い、この根は植物よりも生物の有機体に近い…しかし血の通っていない有機体か…どのような細胞をして…」


うっかり調査で改札内に侵入してしまい敵の探知領域に足を踏み入れてしまう。アキトはやっぱりやりやがったと面倒臭そうに立ち上がる。


「なにやってんだか…」


「仕方ないだろう、中に入らねば確認出来ない事もある」


「開き直るな!来るぞ!」


『箱』で周囲を調査していて階下の反応が一気に強まりヨロズは感嘆の声を漏らす。


「なるほど踏み入れると反応しモンスターを生成するのか」


「調べてないで構えてくれ!」


恐竜が四方八方から出現してアキト達を狙ってくる。単純な物量の問題で二人は完全に足止めを食らう。

それでも慣れた様子で敵を撃破していく二人、当然恐竜のデータ採取も行っていく。


「ふむ、小物と同じで独立した存在だな」


「簡単には消せないって事か…やっぱりダルいな…」


迫る脳筋の怪物にアキトは辟易としながらズバッと斬り捨てる。

敵の侵攻が収まってデータ採取を再開するヨロズ。


「コアから伸びているとして…なぜこの様な有機体に…?」


『侵食、成長するにはタンパク質などを元にした生体に似た組成が便利だったのかもな…電気的信号等も伝える事が可能だしな』


地上のコアをアビス化させる知恵を与えたのは地下のコアだという仮説を元に色々と無線で語り合う二人を眺めつつアキトはホームの様子を確認する。


(精霊モドキは見えないか、話し終えて早く来てくれねえかな…)


「待たせたなすまない。さぁボスと御対面だ!」


多少興奮した様子で『箱』から出力されているデータを眺めているヨロズ、「きたきた」とデータの変化を嬉しそうにアキトに伝える。


「来るぞ!」


「無効化して消しちまうか?」


アキトの言葉にヨロズは試してみると『箱』を掲げてコードを叫ぶ。


「コード『偽』霧散しろ!」


変化はあまり無く精霊モドキは出現する。鳥の翼の腕をした半鳥の精霊モドキにアキトは舌打ちする。


「ガルーダ、疾風攻撃に注意だ」


「魔法は掻き消せる。物理的な面では?」


「鋭い爪とクチバシ…くらいか?」


アキトは首を傾げるとヨロズは任せておけとコードを起動しっぱなしの『箱』を片手にガルーダに殴りかかる。

地下の限られたスペースでは翼も満足に動かせず得意の疾風のカマイタチは『箱』によって掻き消されていく。ある種の同情をしそうになるほど相性が悪くヨロズは一方的に格闘術で殴る蹴るのコンボを見せつける。


「あーあ、一方的だな…」


ヨロズの敵の顎を狙った逆立ちする様な蹴りが見事に決まりガルーダは撃破されるのであった。


「ふむ、ボスも魔法を使うだけで実体はある精霊とは完全に別物なのだな、となると偽神も消滅には至らないか…」


「偽神を作り出すコアのアビス化を阻止出来ないか?」


「そこまでの機能は…データ採取する必要がある」


実質今回は偽神発生を防げないとなりヨロズは『箱』を構えつつコアに接近する。


「ふむふむ、ほうほう、なんというエネルギーの凝縮!」


「おーい、離れないと危ねぇぞ」


データ採取に夢中なヨロズにアキトは注意を促すが聞く耳持たずで呆れ返る。

案の定衝撃波を受けてヨロズは後方へふっとばされるが全然元気な様子で高らかに笑いながら再度コードを発動させる。


「偽神恐るるに足らず!コード『偽』断ち切る!」


姿を見せた神は竜、本来なら最低最悪の事態だがコードが発動した状況下、得意の『破壊の掌握』も効果を発揮せず正しく空を握る。アキトは狙われてヒヤッとしたが空振りに終わった敵の攻撃にホッとさせられる。


「ふぅ、危なかったコード効いてるな…」


「よし、第一関門は突破だ。アキト!決めろ!」


何か起こされる前に倒してしまえとヨロズから叫ばれてアキトは「了解」とブレードで偽神を斬り捨てる。

因縁のある相手と同じ姿を斬り捨てたアキトはちょっとスッキリした顔をする。


「やはり事前のコード発令は必要だが決まれば完封できるな!」


「対策されそうな点を除けば…だがな」


「いやぁしかし竜は驚いた。一瞬詰んだかと思ったぞ。握り潰されなくて良かったな!」


本当だよとアキトは油断していた事を半ば後悔し最悪の事態を回避できた事に安堵し直すのであった。


ーーーーー


回収部隊と共に夕刻には拠点に戻るとヨロズと神威は早速データの解析だとノリノリな様子で工房へ向かってしまう。

報告書の作成をやらされるアキトは勝手気ままな二人に振り回されて少し疲れた顔をするのであった。

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