偽神を暴く
偽神を能力で抑えつけている間にコアを取り外し偽神は消滅する。
何とか場を収めることが出来てアキトは悔しがっているヨロズを見つつ溜め息を吐く。
皆が無言のまま回収部隊と共に帰還する。
出迎えの神威はヨロズの作戦が失敗に終わって残念だったなと励ましのつもりの台詞で迎える。
「治癒能力がコア経由で発動しているとはな…」
「コードの調整が必要か…」
アスカは良くわからない会話に対して浅い知識で対処法を聞いてしまう。
「コアが悪いなら壊せば…」
エツコがアスカの頭を軽くチョップして何故そうしないのか答える。
「馬鹿ね壊したら増えるからチマチマ回収しているんでしょうが!」
「増えてるのかなぁ?まぁリスクは背負えないか…」
確証は無いじゃないかとコアの破壊についてアスカは反論しようとするが周りの目線を受けて押し黙る。
とりあえず偽神対策は神威もヨロズも新たに考えると生徒達に教えて去っていく。
残されたアキトは報告書作るからと生徒達の分も作ると話して帰すのであった。
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報告書を書きながら背後で相談している神威とヨロズの会話に耳を傾けるアキト。
「やはりコアとの接続方法を考えて切り離しを…」
「コアバーストすら封じなければならないのか…」
「ナノマシンが奴らの身体にも?いや、可能性が無い訳では…」
全ての機能を捨ててでも無力化するシステムに書き換える必要があると語り合っていた。
アキトは報告書を人数分適当に書き上げながら内心考える。
(コアとの接続を無力化か…可能なら確かに神を封殺出来るんだろうが…)
現状では機能が足りないと二人は『箱』を調整する手法をこの世界で作ることを模索し始める。
アキトはとりあえずヨロズに話しかける。
「報告書どーする?書いておこうか?」
「頼む、すまない。もう少し打ち合わせしたい」
「もう少し…ねぇ…」
アキトはヨロズの分も報告書を書いて『もう少し』という絶対に少しじゃない言い訳を受け入れるのであった。
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翌日、やはり工房に引きこもる二人の為にK班のホームルームもアキトが担当して忙しい日常になる。
あっちこっちと行ったり来たりで大きく肩を落とす。
(やっぱり引きこもったか…せめて自分の仕事はやって欲しいものだ…)
今更どうしようもない事にアキトは辟易としつつ仕事に従事するのであった。
工房、『箱』の更なるチューニングに精を出す神威とヨロズはキーボードをカタカタとセッションするように叩き合っていた。パソコンに向かう二人は口数少なく新機能をプログラムを組む。
一区切りついたのか二人同時に伸びをする。
「ナノマシンとコアとの接続方法を元にシステムを構築してみたが…」
「バーストを無力化するだけだったら困るのだがな…」
二人して同じ事を考えて溜め息をつく。
「やはりデータが欲しいな…その為のプログラムだが…」
「では…行くか!」
ガタッと席を立つヨロズに神威は苦笑いするのだった。
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アキトは放課後呼び出されてデータ採取について色々と相談される。
「なにぃ?!偽神と真面目に闘ってくれだぁ!?無茶言うなよ?!」
「偽神の能力封じにはデータが必要なのだ。兎に角どの様に魔力供給が成されているのか…そこがネックなのだ」
「相手次第じゃ死ぬかもしれないのにハイそうですかなんて言えるかよ!」
アキトは大真面目に拒絶するがどうしても必要なのだと頭を下げられ果ては土下座までされてしまい頭を掻く。
「あーもう、分かったよ…道中は任せるからな…?」
道中はK班とヨロズに任せる事でなんだかんだ言って同意するアキトなのであった。
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中略、雑魚と恐竜を退治し終えて駅のホームへ到達した一行を出迎えた精霊モドキは弓を構えたアルテミス。
「アルテミス、見ての通りだ。射抜かれれば重症は避けられんぞ」
気合の入る一行、ミニオンを大量に呼び出して壁にしながらアルテミスを囲んで攻撃を始める。
武器は弓矢だけだと接近さえしてしまえば勝ちと高を括る生徒達だったが矢の雨に阻まれて数を半数減らされる。
仕方なく各自バーストを吐いてアルテミスに接近し一撃をぶつけていく。
K班生徒達五人の連携が上手く行きアルテミスは大きく隙を見せトドメをケンタが叩き込む。
「精霊モドキは余裕か、ヨロズ博士、データは?」
「問題ない。安定して取れている。あとは…」
「偽神だけか…はぁ…気が重い」
誰が来ようが文句は言わないと誓ったアキト、瞬殺は禁止、データを取れるようにそれなりに交戦する必要が出てくる。
「生徒達は少し下がってろ?まじで危ないからな」
アキトの警告に相当後ろの方に退避する一行、ヨロズはデータを取るために相変わらずの位置に付く。
アキトは深呼吸して偽神を呼び出す。
(こういう時だけくじ運悪いのだけはやめてくれよ!?)
フラグ立てながらコアに近付いていく。ちゃんと今回も点滅して偽神が呼び出される。
出てきたのは神斎、長期戦は危険なハズレ寄りの偽神でアキトは肩を落とす。
「時間は十分だけだ。それ以上は俺が許さん」
「任せておけ、隈無くデータを取る」
アキトはブレードを構えて神斎の呼び出してくる雑魚を対処しながら飛ばされてくる瓦礫を回避する。
ヨロズも狙われているタイミングだけしっかり回避して神斎の魔力供給方法についてログを採取していく。
雑魚の出現位置が四方八方で生徒達も絡まれていてアキトはしまったと余所見してしまう。そこに瓦礫が飛んできて軽く負傷する。
「ちぃ、覚えてろよクソガキ!」
後できっちりお返ししてやるとヒュンヒュン神通力で飛び交う瓦礫を躱しながら悪態をつく。
まだ終わらないのかと向かってくる鬼と瓦礫に手間取りながらアキトは腕時計を確認する。
(三分経ってねぇ!クソッ!ジリ貧でイライラする!)
「アキト、もう少し耐えてくれ」
「だろうな、やれるだけはやってやるよ」
負傷を感じさせない動きでアキトはバッチリ雑魚の処理をする。
背後の生徒達も雑魚だけならどうにかなっているようであり後顧の憂いは断つ事にする。
暫くアキト戦っていてアキトは単調な動きに違和感を感じる。
(真面目に戦って分かる、コイツはやっぱり偽物だ…技の流れに感情、アドリブ力を感じない…機械的過ぎる)
神通力の動き、モンスターの出し方、どちらにしても短気な神斎らしさを感じない単調な戦い方にアキトは偽神の弱点を導き出す。
(こいつらは所詮機械のようなものか…慣れてしまえば余裕だな)
アキトが必要最小限の動きで対処するようになってヨロズも何かに気付く。
(アキトのやつ何か掴んだのか!無駄が無くなっている!)
データも大分採取出来てきてヨロズは瓦礫を回避してそろそろいいかとアキトに声を掛ける。
「アキト、やってくれ!データは大体取れた!」
「待ってたぜ、さっきの礼しっかりお返ししてやるよ!」
アキトは全てを見切っているかのように動き当てられた瓦礫の分しっかりブレードで偽神を斬り刻む。
ダメージを負う偽神からのデータもしっかり『箱』で記録して作戦を完了させるのであった。
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コアの回収中、アキトは負傷した肩の埃を軽く払ってヨロズにデータは足りるか尋ねる。
「問題ない、コアとの接続のタネ明かしも済んだ。次は完全に無効化してみせる」
「そうか、まぁ頑張ってくれ」
生徒達も寄って来て「余裕」と親指立てる。
「まぁでも?ちょい疲れた」
ヒナコが口にすると全員軽く頷く。そっちまでモンスター湧くのは想定外だったとアキトは謝るが生徒達はいい運動になったと笑って許すのであった。




