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逸る思い

『箱』のテストを完了させコアの回収も無事完了する。

無事に帰還したK班一行をアキトと神威が出迎える。


ヨロズは得意気にどうだったか尋ねて『箱』の調整は不要だなと笑う。

アキトはヨロズの言葉に一応注意は入れておく。


「精霊や魔法使えないこと事前に伝えておけ」


「おっと、自分の事ばかりで忘れていた。すまないみんな」


言葉だけの謝罪でヨロズは済ませてしまうがアキトは語気を強めて「頭も下げる」と注意し直しヨロズはペコリと頭を下げる。

神威はその様子をゲラゲラ笑う。


「頭が上がらないとはこの事か!」


「殴るぞ神威…」


冗談の言い合いだが喧嘩されては困るとアキトが間に立つ。


「まあまあ、殴ってもいいが後でな…とりあえず報告書作るぞ」


報告書と聞いて嫌な顔する生徒達、簡潔でもいいから書けとアキトは笑い六人は別室へ向かわせる。


「さてと、どう思う神威、『箱』は使えると思うか?」


「バーストを見たろう?あれがあれば片手のハンデも覆せるだろう」


「勝負は十秒か…竜すら封じれるなら…」


地下鉄ダンジョンをヨロズが攻略する日も近いと神威は語りアキトはいよいよ自分は引き時なんじゃないかと考えるのであった。


ーーーーー


自室に戻り早速神鳴と語らう。


「システム的に完結するなら俺は撤退しても問題ないと思うんだが…?」


『生徒達がまだ育ってない』


「なるほど、生徒達だけで完結して初めて自己完結か…」


言われてみればヨロズも『箱』も外の力、まだ世界は自分の力で浄化の機能を完結していない。アキトはその最後の一穴を見落としていた。


「生徒達か…神に勝てると思うか?」


『翔達は勝てた』


「そりゃ一部は勝てるだろうよ…お前や竜はどうだよ?」


アキトの正論に返事が遅れる。やっぱり難しいよなとアキトは苦笑いする。


『スケールダウンするなら可能性はある』


「やっぱりそこに目を付けるよな…希望はコアの容量か…」


バーストと精霊の力を合わせる事で神を凌駕する、それしか道はないと神鳴も判断する。

脅威とされる竜と神鳴、神螺のイミテーションをどう超えるかが鍵なのは変わらないとなる。


「神螺的な復活系はコアの回収さえしてしまえば消せるんだが神鳴は周りの命吸うからなぁ…」


下手に殺せないがコアからの供給になるなら話は別かとアキトは唸る。勝手に自分の攻略を考えられて神鳴は複雑そうなくしゃくしゃの紙を送ってくるがアキトは苦笑いしてフォローを入れる。


「まあ本人とは違う偽物だし気にするな」


返事はない。アキトはやっぱり土壇場でアドリブした方がやりやすいなと考えるのをやめて大の字になってベッドに寝転ぶ。

旅行鞄は不服そうに身体を捻ってそのまま姿を消してしまうのであった。


ーーーーー


ヨロズが地下鉄攻略に踏み出すのはそれからすぐの事であった。

当然アキトは反対するが『箱』の力を過信している状態のヨロズを止めることは出来ずアキトはサポートという形で一緒に向かう事にする。

F班とK班はジャンケンして何故か負けた方が同行となって代表としてエツコがヒナコに負けてF班が地下鉄攻略に同行となる。

何故負けた方かなのは面倒臭いかららしい…


総勢七名で地下鉄ダンジョンへ出向く事になる。


全員が懐中電灯を持つことで大分灯りを確保できている。


「電飾はあった方が良いが…この人数なら懐中電灯でもいいな」


アキトはしっかり辺りを照らし敵を確実に撃破していく面々に頼もしさを感じていた。

ヨロズは微妙な顔をしてアキトに戦わないのかと質問する。


「今日はサポートだからな!『箱』が偽神に効かなかった時のバックアップ要員」


「やれやれ、じゃあちゃんとサポートらしく電灯の仕事はしてくれよ?」


アキトは調子よくハイハイと返事して六人の進む道を照らすのだった。


ーーーーー


改札が見えてきて天井にも灯りが付いていて暗闇に終わりが告げられる。

アキトはここからが本番と全員の気を引き締める台詞を吐いて改札の外で後ろは任せろと笑う。

ヨロズを戦闘に機能しない改札機を通り抜けると階下が騒がしくなって恐竜がドタドタと階段を駆け上がってくる。


「うわ出た!」


アスカが面倒臭そうに叫ぶ。恐竜という男心をくすぐられる存在も今やタダの(わずら)わしい存在である。

一同散り散りにならないように固まって対処に当たる。バーストは温存しミニオンと共に敵を近付かせないように戦線を維持する。


アキトの方も恐竜が空気ダクトを伝ってやって来て単独で対処に当たっていた。


(あの人数にミニオンが居れば楽は出来るみたいだな)


よそ見しながらでも相手にできる雑魚だと余裕の表情をするアキト。

一方ミニオンに魔力を食われて少し疲れ気味の一同であった。


数分後、ようやっと階下からの敵が収まり全員休憩が取れると溜め息をつく。

バーストを残す為にミニオンに任せた結果相当数の魔力を消耗したようで二の足を踏むことになる。


「五人も…いや六人いるからバースト吐いてでも少し早めに対処も必要だな」


アキトの率直な意見に全員「そうですね…」と疲れた返答をするのであった。


ーーーーー


休憩を挟んで階下へ降りて精霊モドキを捜索する。

すぐに見つかり大盾の騎士が鎮座していた。


「イージス、固い防御と攻性防壁を展開するカウンタータイプの精霊だ!」


アキトの解説に全員が攻撃しなければ無害なのではとツッコミを入れる。


「…シールドバッシュもしてくるぞ!」


とりあえず付け加える情報で通常攻撃もあると注意する。


「あの大盾を突破する必要がある訳だな?…砕いてくれよう!」


ヨロズは相手が精霊モドキというのを忘れているかのようにタダの壁を破壊する感覚で悠々と闘気を(まと)い騎士に近付いていく。

イージスもその闘気に何かを感じたのかガッチリ身構える。


「砕いてくれよう…秘拳、ダブルインパクト!」


ヨロズの拳が衝撃波を放つように盾にぶつかる。イージスの巨体が揺れ盾にヒビが入る。


(馬鹿な!それはフィクションだろ!)


アキトは唖然としてその光景を白目になりつつ眺める。瞬間で拳を二度当てするヨロズにありえないと震えるのであった。

ワンインチパンチよりも狭い感覚で放たれたそれは正しく破壊的でありヒビの入った盾に対してヨロズは不服そうに見つめてもう一度軽くジャブを放つ。

盾は砕け散りイージスも消滅していく。盾が本体であったようだ。


「さて、神様とご対面といこうか…」


無茶苦茶するヨロズに生徒達も呆然としていた。


コアはヨロズの言葉に従うように近付く前に点滅し神を呼び出す。

一度見た神螺が姿を見せて腕を広げてファイティングポーズを取る。


「フフ、やはり無敵の貴様を倒してこそか…」


勝手に盛り上がるヨロズだがアキトは注意する。


「イミテーションでも相手は神だ!油断するな!」


既に出現して秒数も経っていて『箱』の機能を使っていない今相手が悪ければ死んでいる間合いである。

神螺の偽神だからと慢心しているのは良くないと叫ぶが闘いに昂るヨロズには届いていない様子だった。


「コード『偽』!行くぞ肉弾戦だ!」


生徒達は完全に置いてけぼりでヨロズと偽神との戦いが始まる。

拳がぶつかり合い衝撃波が放たれる。殴打の合戦、バーストはまだ使わないで偽神と渡り合うヨロズ。しかし片腕なのを見切られて偽神に対応される。


「バーストを切る!行くぞ神螺!」


ヨロズが赤く輝き超加速し偽神を圧倒し顔面に拳を叩き込み首をへし折る。

当然コードで回復しないはずだがコアと繋がっているのか神螺は回復し立ち上がってくる。


「イレギュラー発生だ。ヨロズ、俺が交代する!」


アキトが素早くサポートに周りヨロズを止める。


「ッく、もう少し楽しみたかったものだが致し方あるまいコード解除!」


アキトは直ぐ様神螺を切り捨てて手を(かざ)して時を止める。


「やれやれ、対策の立て直しだな…回収部隊、よろしく頼むぞ」


偽神を無力化している間に回収部隊を呼ぶのであった。

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