表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/335

更なる力と共に

神威が腕輪を生徒達に渡して回ること数日で学び舎の中はミニオンまみれになる。

新たな力を得たは良いが便利な小間使いという扱いに精霊の第一人者としてアキトは少々頭を痛めていた。


(そういう使い方の為に力を貸した訳じゃないんだがなぁ)


暫くすれば落ち着くとは思うがとアキトは考えたがダンジョン攻略が中断されている今、生徒達の興味関心は精霊というオモチャに向き続けるのは当たり前であった。


「いやー作った我が思ってた以上に大流行で我満足!」


プレゼントした神威は役立っていると調子に乗っているが生徒達を(ぎょ)せなくなった先生一同からは大不評であった。


ーーーーー


先生達からの苦情に学長は深刻そうな顔をしてダンジョンの再解放を決定する。

アビスコアの情報は生徒達にも伝わっていて渋る中でF班に白羽の矢が立つ。


「という訳で行ってきてくれ」


「まーた話が前略されてる!…まぁ精霊のお披露目ってのもあるか」


アキトは仕方ないとF班に出撃命令を飛ばす。勿論生徒達の返事は快諾。

早速放課後出撃の用意を整えて新たな港エリアへ生徒達のみで出撃するのであった。


アスカが陣頭に立って音頭を取る。


「よし、行こう!新しい力も見せつけてやろう!」


全員が無意識に腕輪に軽く手を触れて力をどう使っていこうかと考えていた。

色々な色したコンテナの横を抜けていくとコボルトとゴブリンの小型の混成部隊が出現する。


「出たわね!ここは任せて!」


エツコが騎士型ミニオンを大量に呼び出して一斉にぶつける。ワーッと敵に向かっていくゴブリンと同じくらいのミニオン達。実力は拮抗しているように見えてエツコは魔法で援護する事により一気に形勢が傾いて次々と敵を蹴散らしていく。


「やるぅ、やっぱり小型ミニオン達は相応のパワーしかないな」


ハジメは戦闘を分析して自分やアスカでは一時しのぎの壁にしか出来ないなと判断する。

敵を一掃して一同コンテナの間で休憩してエツコの感想を聞いていた。


「沢山呼び出すと魔法との併用が難しくなるし…少し疲れるわね」


精霊の取り扱いについての注意点を語る。

中型相手にどう使うかを相談する前に海からサハギンが飛び出して来て戦闘が始まる。

いち早く反応したカスミが中型の弓隊ミニオンを呼び出して一斉射撃を行い地上に登ってきたサハギンを撃ち抜き撃破する。自身は魔法を使わなくても精霊に魔法を使わせることによる負担に少し息苦しそうにする。

おかわりのサハギンもすぐに撃ち抜き周囲の一掃が完了する。


「自分が動かなくても精霊に魔力を注力し過ぎると少し息苦しくなる…」


戦闘で真面目に精霊を使うのは初めてだからというのもあるが二人がその調子だとアスカやハジメは全然使えないんじゃないかと不安になってくる。

ススムは次は自分の番かと深呼吸する。中型相手にどう立ち回れば良いのかと考えるが特に思い当たる使い方もなく微妙な顔をしながら先に進むのであった。


中型のハーピィと海から出てきたリザードマンが一行の前に立ち塞がる。

ススムは槍を持った自身と同じ背丈のミニオンを三体呼び出し槍を構えて一斉に飛び掛かる。分身の術のような動きに皆そういうのもアリなのかと面食らう。

見事な動きでリザードマン達を翻弄し撃破するが中空のハーピィには手が出せず仲間達の援護が必要になり出番だとアスカとハジメが小型の遠距離攻撃の鉄砲ミニオンを呼び出して豆鉄砲で狙撃する。

ウザったいと思われたのか狙いがススムから二人に移り二人は待ってましたとカウンターでハーピィ達を仕留める。


「よし、狙い通りだ!」


「自分達で出来ない仕事をやらせる。技が広がって助かるよ」


二人の言う通り普段自分達ではなし得ない遠距離攻撃という手段が増えたと喜ぶのであった。


中型を退治し終えて一行はついにコアへと辿り着く。そこではデカい鶏が周囲を警戒しながら左右に往来していた。


「バジリスクですか…ミニオンが居るので少し気楽にいけますね」


バジリスクと分かり一行は一斉にミニオンを展開して攻撃を開始する。

圧倒的物量にバジリスクは反撃しようにも怯まされ続けて攻撃に対処出来ない様子で一方的にボコボコにされる。

必死の反撃の眼光からの石化ビームは盾持ちミニオンを文字通り盾にして防ぐ。

戦いは圧倒的手数だと言わんばかりの内容に本部でモニタリングしていた全員がミニオンの強さを改めて実感するのであった。

バジリスクは遂に力尽き地に横たわり消滅する。


「よっしゃ!後はアビスコアだな!」


アスカがガッツポーズを取り仲間達に再度の警戒をするように伝える。

ミニオンのお陰でコアバーストも温存出来ていると生徒達の表情には余裕さえあった。


「準備はいいか?行くぞ!」


アスカがゆっくり埠頭に根付いているコアに近付くとコアは激しく明滅して衝撃波を放つ。全員ガッシリと地に足ついて耐える。


『出たな!敵は…サハギン、名前で油断するなよ!そいつも精霊モドキだ!』


ガッチリとした鎧を身に纏った人間より一回り大きい翠の魚の半魚人、片手には大きな(もり)も携えている。


「エリートって感じですね…行きます!」


エツコの声でメンバーは散開、ミニオンを再展開し守りを固める。

サハギンは威嚇するように前のめりになり身体をブルブルと震わせる。すると背後の海から波が押し寄せてきて一気にメンバーの脚を捉える。

動きが鈍ったところをススム狙いで銛で一突き、ススムはコアバーストを使用してギリギリで銛を避けてミニオンを呼び出し反撃に移るがバーストか切れてミニオンはサハギンのカウンターで消されてしまう。


「っく、バーストの時間が足りない!」


バーストも精霊も一時的に失ったススムは下がり仲間に後を託す。

エツコはコアバーストと精霊の併用を試みる。


「魔力を最大限に!行くわよ!」


ミニオンを固めて巨人のミニオンを呼び出し拳でサハギンに一撃を浴びせる。押しつぶす勢いで振るわれたそれを何とかサハギンは耐えきる。しかし隙が大きく出来たところを逃すF班ではなかった。アスカとハジメがバーストして一気に距離を詰めてズバッとバツの字をサハギンの身体に刻み込み撃破するのであった。


『バーストとの併用か…考えたな』


「魔力を伸ばせるなら精霊にも魔力を回せると思って…土壇場でしたが成功して良かったです」


回収部隊が移動する間、感想戦をする生徒達。

もっと上手く扱えれるように努力しなければというひたむきに前向きな内容が聞こえてきてアキトは教えられる事はもう殆ど残っていないなと実感する。


(地上は生徒達に任せても問題なさそうだな。やはり地下の神様モドキこそなんとかしないといけなさそうだ)


地下鉄の神モドキの対策をアキトは一人考えるのであった。


ーーーーー


「で、生徒達のミニオンの管理はどうするつもりだ?」


ヨロズから詰められている神威は首を締められてギブギブとヨロズの手をタップする。


「す、好き勝手に呼び出すのがいけないのであるならばルールを設ければいい!それに訓練にもなるようグラウンドで競い合いなどさせればよかろう?」


「ほう、競い合いか。ルールで縛るだけじゃなく使い道を与える…少しは考えていたか」


「そ、そうだ!管理は最初にアキトに任せてそれなりに地盤が出来上がれば他の先生達でも面倒は見切れるであろう?必要なのはガス抜きというやつだ!」


生徒達を御するには使う場所、使い道を与える事で落ち着かせると言う算段で行くことになる。結局アキト頼りになる事にヨロズは多少の面倒さを感じつつもソレが一番と言われてそうするしか無いかと諦めるように頷くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ