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どちらが強い?

生徒達だけでもコアの回収がある程度可能と判断されてアキトは多少のヤキモキを感じつつも受け入れていく。

神威とヨロズの存在が確実に世界に良い影響を与えていてアキトの役目も終わりが近い気がしてくる。


自室で大の字になってベッドに寝転びそんな事をボーっと考える。

ふと旅行鞄と雑談しようと思い呼び出す。神鳴としてはどデカいボスらしいボスを撃破して欲しいと願っているがそれっぽいのが出る前に安定化しそうだとアキトは笑う。


「魔王みたいなのがこの世界にも現れるってか?勘弁してくれ」


神鳴は面白いじゃないと大ボスとの邂逅を期待している様子だがそんなものは起こり得ないとアキトは予測する。

それでも何か言いたげな神鳴にアキトは余計な事はするなよと釘を差すのであった。


ーーーーー


翌日、浮足立つ生徒達を前にアキトは褒めるか喝を入れるか思い悩んでいた。

アキトの二律背反な感情を読み取ったエツコが仲間に喝を入れる。


「勝って兜の緒を締めよ!…ですよね!」


「む、ああ。浮かれるのも程々にしろよ?次もある」


次と言われて生徒達は顔を見合わせて強敵だった精霊モドキに次は勝てるのかと不安になりアキトは喝を入れる。


「だからこそ日頃の鍛錬が必要なんだ。覚悟してけ!」


アキトはすっかり生徒達に後を託している様子であった。しかし習った言葉を使いたい盛りなのかハジメがニコニコしながら軽口を叩く。


「先生も後塵を拝してる場合じゃないですよ?」


「上から目線に生意気なぁ…」


アキトは怒りマークを頭に浮かべるような引きつった笑顔をするのであった。


同じ頃、K班では生徒達が比較にならない程に浮かれていた。合同チームだが生徒達だけで攻略出来たのが相当嬉しかったらしい。


「シャア!ワイらの底力見せてやったわ!」


ケンタがわざわざ声に出してヨロズにアピールするとヨロズは細い目を少し険しくして生徒達を挑発する。


「まだまだ甘いな、次はK班単独攻略と言えなくてはならない。だろう」


「せやせや、まだ浮かれるには早かったわ」


ヒナコが冷静になるように仲間達をやんわりと注意する。


「アーシ達も負けらんない!早く鍛えなきゃ!」


マヒロの言葉にヨロズは鍛えるなら教えてやると何時もの糸目のキツネ顔になるのであった。


「センセがその顔しとるとトレーニングゴッツいの来るんやわー」


「せ、先生?日暮れまでに終わるのにしてくださいよ?」


ケンタの怯える声に続いてワタルも泣き言を言いだしてニコニコするヨロズはどうしてやろうかと品定めするのであった。


ーーーーー


放課後、自主トレに精を出す生徒達をアキトが面倒を見ることになりヨロズと神威はシステムの更なる進化を求めてあーだこーだとする。

アキトのトレーニングは筋肉というより基礎体力のスタミナと体力を鍛えるのが主でF班もK班も慣れた様子でトレーニングに当たる。


「アッキーはホンマエエ感じのメニューで助かるわー」


ヒナコが走り込みしながら笑う。

面々の中でナオだけが息切れしていてススムが心配する。


「タノナカさん。大丈夫ですか」


「大丈夫、じゃないけど…私だけ遅れるわけにはいかないから…ゼェゼェ」


仲間の足は引っ張れないと根性で走る。

そんなナオをアキトが声を出して注意する。


「無理する方が迷惑だ、キリの良いとこで休め」


休めと言われて悔しそうに頷き列から外れる。

なんで休ませるのかと文句が出るが無理しても結果は変わらないとアキトは説明する。


「根性で身体をイジメても根性しか育たない、限界値はゆっくり計画的に上げるものだ。筋肉の育て方と違うからな」


「なるほど…?走り込みで筋肉を育てても体力に影響が少ないと」


「むしろ悪影響すらある。筋肉は重りにもなる…使い方に合わせないと無意味なものになる」


アキトの意見を聞いて全員が一旦走り込みをストップする。


「じゃあ今の走り込みに意味は?」


「お前らはまだ体力の伸び代を使い切ってないだろ?筋肉もそこまで使い切ってない。つまりもうちょっと頑張ってくれ」


アキトの言葉にまた生徒達は走り始めるのであった。


「ちなみに終わったら筋トレと素振りが待ってるからな」


ナオにはボソッと筋トレもあると伝える。


「筋トレあるんですね」


「まぁそれは武器を使う為の筋肉だからな。だから無駄な筋肉だとかそういう話は…無しな?」


「アキト先生とヨロズ先生とでは意見がまるで違うと?」


アキトはヨロズの目指すマッスルとは違うと苦笑いする。


「あの人は…ほら、ボディビルダー的な一面あるからなぁ…」


魅せる筋肉も育ててる人だからとアキトが教えるとナオは意外そうに唸る。


「科学者なのにボディビルダーなんですねぇ、不思議」


「医学的な知見も含めての学びの一環なんじゃないか?知らないけど」


知りたかったら本人に聞けとアキトはやんわり伝えるのであった。


ーーーーー


仕上がり具合を確認しに来たヨロズは素振りしている面々を見てアキトを呼び出す。


「おい、ワタシの作ったメニューと違うが?」


「あー、ほら、管理するの大変だし俺のメニューでやらせてもらった」


アキトは少し考えてから言い訳をする。ヨロズは疑いの眼を向けるがそれはそうかと小さく頷く。


「しかし素振りか…どうせ走り込みをさせたのだろう?」


「そうだが。えーっと、ほら一応筋トレメニューもあるぞ」


アキトは自分のトレーニングメニューのメモを見せると腕立て腹筋の基本しかなく「ダイエットか!」とツッコまられる。


「なんだ、グラウンドで出来るのなんて減量くらいじゃないのか?」


「阿呆!足りないのはインナーマッスル!…グラウンドでは鍛えられるのは限られてるが筋肉の鎧が足りてないのだ」


「へぇ、筋肉の鎧か…避ける方が効率的じゃないか?」


眉間に皺が寄りヨロズは「なんだと?」と凄む。

瞬間的にジャブが飛んできてアキトはサッと避ける。


「キミほどの勘してなければ今のは入っていただろうな」


「おいおい、穏やかじゃないな…」


先生同士がバチバチと火花散らしていて生徒達がどっちが強いのかと話題にする。

それが聞こえたのかヨロズはファイティングポーズを取る。


「おい、やめとけって…」


「良いではないか、今一度どちらが上かハッキリさせよう」


シュッシュッとジャブを見せるヨロズにアキトは軽く溜め息をつく。


「人相手に技を見せるほど力に余裕は無い…」


「むぅ、流石に乗らぬか…残念だよ」


互いに怪我では済まないとアキトは再度注意する。


「『箱』持ってんだろ?それでお相子ってやつで」


「未だに生徒には見せていないが…『箱』の存在には気付いていたか」


「奥の手的なのだしな…あれあると五分五分、武器の分俺が有利…つまり怪我するって訳だろ?」


ヨロズは大笑いしてその通りだと答える。


「ハッハッハッ、木刀ならワタシが勝ちブレードならキミが勝つ。五分だな!」


どうやら互角なんだと生徒達に伝わり二人ともぶっ飛んでて驚異的だと理解される。


「あー、でも今はコアバーストあるから俺の負けか…箱込み十秒でケリがつきそうだ」


この世界ならヨロズの方が強いとアキトは一歩引いてヨロズに軍配を上げる。


「そういう持ち上げられ方好きではないが…まぁそれも事実か…」


「だろ?新システム恐るべしって感じだ。あ、でもナノマシンは打たないからな?」


ヨロズは鼻を鳴らしK班の生徒達からアキトはナノマシン無しで今までやって来たのかと少し驚かれる。

アキトの複雑な事情は伝えることはせずにぶっちぎりでイカれてる男と印象付けられるのであった。

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