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力を合わせて

コアバーストの安定化を計った設計はまあまあな成功でボスまで安定感を高める事に寄与していた。


「ふむ、この調子ならボスは余裕だな。問題はやはりアビスコアの精霊モドキ…となるな」


ヨロズと神威はモニタリングの結果を呟いてアビスに挑む前に撤退をさせる。


「テストとしては上々、足りないのは知識と経験か…」


「問題の精霊モドキに挑めるかどうか我々には判断が出来んな…」


自分達も戦闘経験と知識が少し足りていないと険しい顔をしてやはりアキトが必要だとなる。

呼び出されたアキトは間抜けた声を漏らす。


「え?俺ぇ?モニタリングで敵を判断するのか?」


どうせなら前線で戦いたかったが生徒達の自主性の成長を促す為と頼まれて初回だけとF班とK班の合同チームを出撃させることになるのであった。


「なぁ合同にする必要あったか?」


「人数は多い方がいい」


アキトがツッコミを入れるが経験豊富なメンツを揃えたほうがいいと神威に言われる。

いざという時は自分も動くとアキトは伝えてジッとモニタリングを開始する。


ーーーーー


場所は先日挑戦したコンテナターミナル。

内容を覚えているK班の主導でダンジョンを進行する。


「ほな最初はセンセが相手しとった犬野郎やな。ワイが相手したる!」


前回消化不良気味だったケンタが拳をブンブンと振ってヨロズをリスペクトした戦いを見せようとする。敵が見えたのと同時にコアバーストを発動、十秒でケンタは物凄い速さと動きで仕留めて見せる。

速度もパワーも申し分なくタイムアウトと同時に残心もする余裕があるようだった。


「しゃあ!どないや!?」


討ち漏らしは無かったが増援がやってきて仲間がしっかり援護する。


「別にワイ一人でも何とかなったやろ…ま、ええわ」


やはり十秒では限界があるなと全員が理解し全て一人でやるものではないと感じるのであった。


次に進みサハギンが出現した地帯に侵入する。

海の水面(みなも)に近付かないようにと戦闘を回避する方向でヨロズは話し全員了解して無駄な戦闘は回避する。しかしそれでもやってくるサハギンはいて戦闘が開始される。


「えらく好戦的ですね…」


最速で反応したのはエツコで魔法による狙撃で陸に飛び上がってきた相手を撃ち落とす。


「えっちゃんやるぅ」


K班の面々からもえっちゃん呼びされてやれやれと頭を振りながら「えっちゃんは辞めて」と子供扱いのような言い方は嫌いと言って顔を背けてしまう。

そんな中でも敵は空気を読まずにどんどん上陸してくる。


「ああもう!ちゃっちゃとやりますよ!」


エツコがイライラした様子でバーストに入り上陸した敵を魔法で撃ち抜き海面の敵にも火の玉を降らせて撃破する。


「ふぅ、早く先に行きましょう」


魔法のコアバーストも十秒程がちょうど良さそうであった。


中型のモンスターのキマイラが出現し始め各員何時も通りの戦闘でコアバーストは温存した戦いをみせる。

アキトも面白い分析結果だと考える。


『雑魚は片付けに加速しておいて中型だと逆に温存するというのは心理的に面白い結果…だと思うな』


『安定して勝てる相手だからこそ普段通りなのかもな』


ヨロズが何となくその理由を分析した結果を語る。

地力がちょうど良さそうだと真面目に相手し合うものなのではないかという言葉にアキトはそういうものかと多少の納得を見せるのであった。


中型に安定して勝利を収める生徒達。

コアバーストのお陰でボスまでは余裕だなとアキトも神威達と同じ意見になる。


『むむむ、やはり問題は精霊モドキか…』


『だな、取り敢えず攻撃方法を予測して即席で対策を練る必要がある』


『回避にコアバーストを使うのも手だな』


神威とアキトの会話がオープンチャットで流れて来て生徒達もなるほどと色々と考えさせられる。


コアのある埠頭の先端までやって来ると生徒達も目視でコアを確認できて報告を入れてくる。


『周囲が海だ、敵は何処に潜んでいるかわからないぞ』


アキトの言葉に反応してか首長竜の頭が海面から現れて咆哮を上げる。


『コイツは…プレシオサウルスか?太古の生物恐竜っていってもモンスターだ。油断するなよ!』


恐竜が地下以外でも出るとはとアキトは目を見張る。

生徒達の間に油断は無いが海上への攻撃手段が限られていて半数は微妙な空気になる。

「任せといて」とK班の鎖鎌使いのマヒロが分銅を投げて恐竜の首に絡めて引っ張ろうとする。しかしそこは恐竜、踏ん張るどころか逆にマヒロを海へ引き釣り込もうと引っ張りはじめる。


「ヤッバ…なら!コア!バースト!」


マヒロは掛け声と共にコアバーストを発動恐竜に負けないパワーで相手の首を引っ張り地面に叩きつける。


「ハァハァ…(おっも)…」


フルパワーは流石に疲れるのか息が上がり追撃は仲間に任せるマヒロだった。

作ってもらった隙を逃すまいと近接武器一同で滅多打ちにして首長竜の首を討ち取るのであった。


「よし、残りは(くだん)のアビスコアですね!」


アスカの掛け声に全員一層気が引き締まる。

管理部隊もヒヤヒヤした様子で初の生徒達主導の精霊モドキとの戦闘を見守る。

ハジメが代表してコアにゆっくり近付くとコアが反応し赤々と、煌々と輝いて張り付いている根が脈動する。


「来るぞ皆!」


ハジメは逃げながら声掛けをする。直後、周囲に衝撃波が放たれハジメは軽く宙に浮いてひっくり返りそうになる。

衝撃波が収まるとそこには下半身が魚の半人半魚の男神が浮いていて(もり)を手にしていた。


『ネプチューン!全員気を引き締めろ!そこは奴のステージだ!海流と銛、両方が脅威だぞ!』


生徒達は一斉に合図と共に散開、各々の全力をぶつけようとコアバーストを試みる。


『そんな一斉にはコアの負担が大きい!一人一人頼むぞ!』


最初にバーストしたカスミが目にも止まらぬ早さで矢を放ち針の(むしろ)にする勢いを見せるが数本は刺さるが銛を振り回され七割程は防がれてしまう。

続いてK班ワタルとナオがバースト、両サイドから二人して魔法を放ち防がせまいとダメージを稼ぐ。

鬱陶しそうにネプチューンは銛を振り回し銛を掲げる。周囲の海面が急に上昇し波となって一同に襲いかかる。

波に押し流されつつも埠頭から落下は何とか間逃れる一同。


『皆無事か!ムリそうならなら俺が…!』


アキトが手に汗握りながら言うがソレは不要だと全員から拒否される。

まだバーストを残している生徒はアスカ、ススム、ハジメ、ヒナコの四人、全員近接武器でススムだけが辛うじて中距離も担えて地上に敵を引っ張り込むのに一役買う事を祈られる。


「ボクだってやる時は!」


ススムがバーストし槍を投擲、ネプチューンは銛を振ってガードしようとして絡まるように槍が不思議な力で引っ掛かる。


「そりゃ!堕ちろ!」


ススムは槍に繋がった魔法の糸を引っ張りマヒロが見せた鎖鎌のような応用技を見せつけネプチューンを地に落とす。

今だ!と近接の集団も順番にバースト、地に落ちたネプチューンを文字通り叩きのめし撃破に成功するのであった。


『状況終了、よし回収班!向かうぞ!』


神威が叫び生徒達も管理部隊も歓喜するのであった。


ーーーーー


近接部隊の技開発も必要となりながらも生徒達が力を合わせればアビスコアも攻略が可能と分かり今後は知識を蓄えながらバーストの効率化を目指して行こうと神威とヨロズはハイタッチをする。


「時間制限を短くして本当に瞬間的に馬鹿力を発揮したり長時間低性能で身体能力の効率的な向上だったり選べるタイプを作るのはどうだろうか?」


神威の案にヨロズも頷いて生徒達にあったコアバーストを調整するのも一考だとニヤリとするのであった。

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