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モニタリング

また日付が空いて学長からの提案でアキトは管理部隊のモニタリングに参加してF班の地上攻略をモニタリングする事になる。

本人はどうしても付いて行きたがるのだがそれでは意味がないと言われてしょんぼりする。


「過保護だし少しは距離を取れ」


「はい…」


肩を落として大人しく従う姿に全員笑ってしまう。


準備の整ったF班を見送りアキトは管理部隊と共に普段は見ないモニタリングの様子を見て関心を寄せる。


「探索隊の現在地も見れるのか…今まで現在地送ってたのは無意味だったか」


「一応座標ズレが起こる事があるから再送信してもらえるのはありがたい。地下とかは安定しないしな」


なるほどとアキトは頷いてバイタルモニタもあって用意がいいなと驚く。


「生徒達はナノマシンを身体に打ち込んでいるからな。あなたは別です」


「ナノマシン…技術躍進は凄いな」


流石未来とアキトは舌を巻く。割とガチガチな管理システムに見る人が見たら興奮するんだろうなと地球に置いてきた仲間達に思いを馳せるのだった。


「ナノマシンもコアもとある博士の成果物ですからね…頭が上がりませんよホント」


コアもだなんてなんと凄い傍迷惑な博士なんだとアキトは頭を抱える。


「今その博士は…?」


「さぁ…コアの暴走で干されたか処されたか獄中か…下っ端には分かりませんよ」


なぜだか分からないがどうしても頭の片隅にチラチラする凄腕技術者の神が脳内を(よぎ)るのであった。


『配置に付きました。作戦開始します』


エツコの声が聞こえてきて管理部隊は作戦開始を指示する。

モニタリング班に緊張が伝わりアキトも見れる計器を確認する。


(計器の見方が分からねえ!)


取り敢えず仕事しているフリでその場をしのぐ。

現地では戦闘が開始したらしく心拍数が跳ね上がっていた。内容が確認出来ずアキトはやきもきした気持ちで報を待つ。雑魚に負けるような教え子達じゃないとわかっていても少し緊張した面持ちになる。

一時戦闘終了の報告が入ったのは数分後、怪我もなくアキトはホッとする。


「ふぅ、良かった…」


自然と漏れる心配の声に管理部隊は面白がってあの超人と言われる男も人の子なんだなと表情や感情の揺れ動きを笑うのだった。


「なんだよ?べ、別に変じゃないだろ」


価値観の問題を忘れてアキトはハラハラする気持ちを口にする。管理部隊はそれを過保護過ぎだと言われる。


「生徒達は道具だと言われただろ?」


「どうであろうと俺の価値観を通させてもらう」


「通すって…まぁ端から見たら面白いんですけどね先生の表情は」


面白いと言われてアキトはそんなにかと自分の顔を揉むのであった。


生徒達は中型と接敵したと報告を入れてくる。


『キマイラとハーピィです!特に問題はありません』


油断するなよとアキトは手に汗握る。


「報告されてるモンスターの相手は慣れてるでしょうに…」


「そ、それはそうだが…一瞬の隙を見せるだけで人は死ぬ…だからこそ油断大敵と口酸っぱく…」


「他の班じゃ絶対に聞けない台詞ですよ」


他の班はそんな事を言うよりも押せ押せの勢い任せの作戦ばかりだと言われてアキトはそれはそれでダメだろと苦い顔をする。

戦闘音は聞こえないし見えないがアキトは生徒達の戦闘パターンと敵のパターンを脳内で思い描きシミュレーションする。


(混成パターンとなると前衛がキマイラ、後衛がハーピィを相手取る形になる。数にもよるがエツコが行けると判断したのなら…)


アキトはウンウン頷いて情景を想像して問題ないと口にする。どんな事を想像しているんだと微妙な目を向けられるアキトだったが次のデータを要求する。


「ここのボスのデータはどうなっている?」


「ランドワームがコアを守護している。他の班では犠牲者も出ている」


丸呑みにしてくるワーム相手となるととアキトはシミュレーションを開始する。生徒達の実力、経験を元にエツコの指示が入って知識ブースト込みで戦闘開始。

初手地下潜りだろうとアキトは計算して誰が狙われても回避に集中していれば避けれると見込む。

その後の一気呵成に攻めた場合の無傷での勝利確率はおおよそ八割強とアキトは目を見開く。


「八割強かぁー…びっみょう」


「何が?」


「ボスを無傷討伐する可能性」


十分過ぎると管理部隊は目を丸くする。


「他の班は怪我人も普通に出ているのにその確率で無傷とはどれだけ鍛えられてるんですか…」


「俺の教え子だぞ、もう少しやってのけてもいいんだがランドワームは逃げが厄介だからな」


「少数精鋭か…他の班も教育してやって下さいよ」


アキトのやり方が必ずしも正解なのかは分からないが成長に高い期待値は持てると管理部隊も考える。


「他の先生の面目丸潰れだぞ?良くないって」


自分はあくまでもF班に居続けるとアキトは答えるのであった。


中型モンスターを突破しボスエリア目前と報が入り管理部隊はボスのデータを提供する。


「対象はランドワームに守られている。警戒してくれ」


『了解、ランドワームは知見があります!』


「ち、知見…?知見だけでそんなに自信満々になるか?」


管理部隊がチラッとアキトを見るがアキトはエツコの反応に「九割!」と確率を上げていて呆れられる。

戦いが始まってアキトは管理部隊に声を掛ける。


「回収行くぞ、勝確だ」


「何を根拠に!?」


「長年の勘だ!」


自信たっぷりなアキト、半信半疑で管理部隊はコア回収の準備を開始する。


出発すると道中は護衛するとアキトがブレードを構える。雑魚が出現するがアキトがブレードを振る前に銃で軽く制圧してしまう。

アキトは近代兵器の凄さに「あれー」っと振り返ると管理部隊は銃器を得意気な顔をしていた。


「鉄砲強いッスね」


「当たり前だ」


弾に限りがあるから当然と管理部隊は笑うがアキトは自分の見せ場がなくなったと軽く肩を落とすのだった。

小型は楽勝だが中型はどうだろうとアキトは疑問に思うがそこも問題ないと笑う。


「ボスだけは何故か銃器が通らなくてな…」


「ボスかぁ…ボスって特殊なんだな」


丁度インカム越しにボスの討伐報告が入りアキトの勘が正しかったとなりつつ一同急ぎ足になりながらコアを目指す。

泥だらけになって全員地下駐車場の地面に座り込んでいた。アキトを見るなり生徒達全員指でVサインを作ってやってやったと笑い合っていた。


(色々と杞憂ってやつだったか。いつだってこういう感じなら任せてもいいんだがなぁ…)


アキトは生徒達の頑張りを(ねぎら)ってやろうと今日の晩飯は奢りだと笑って言うと全員ニヤニヤしながらそんな余裕あるのかだのと言い始めて「生意気な奴らめ」とアキトは近かったアスカを小突くのだった。


コアの回収も無事終わり休憩も終えて一同拠点へと凱旋する。


ーーーーー


拠点に戻り約束通り食事を奢ることになり全員の意見を元にアスカのオススメで大衆食堂を選び皆それぞれの好きな物を頼む。

アスカはチーズオンハンバーグ定食ご飯大盛り。

ススムはしょうが焼き定食キャベツ大盛り。

ハジメはカレーライス(中辛)フライドガーリック入り。

カスミはミートスパゲティ、ゴロッと肉玉。

エツコはたまごたっぷりサンドとハムサラダ。


「なんでもあるなおい…」


「まぁ大衆食堂ですからね」


アキトは壁一面のお品書きと細かい調整の出来る調味料と店内ルールに目を見張る。


「カレーありますよ甘から激辛まで」


「なんでそんな用意出来るんだよ…」


「トッピングパワーです」


アキトは店内を見渡しながらどんな店だよとツッコミを入れつつ自分は激辛を頼んでみるのであった。

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