Let's 衣食住
「チョウさーん」
ヒビキがチョウに手を振ってた。
「ヒビキ、あんまり離れないね、この辺迷子になったらなかなか見つけれないあるよ、最初に仕事場へ行くよ」
チョウがヒビキ達を連れて市場へ向かう、さすがは中華、人の数がやかましい。リフトが置いてある場所まで行くと、
「ヤンさんこいつら二人が黄さんの紹介で来週から働く二人ね。朝5時から9時までね宜しく」
「チョウさん、ジャパンじゃねーか。大丈夫か?うちは軟弱者は必要ねーぞ」
ちょっときつめの応対のヤン、中堅のいびりとはいつの時代もあるものスラム出身二人に挨拶みたいなものだった。
「ヤンさん宜しくっす俺はヒビキでこっちがGT朝しか働かないけど宜しく、バシバシ運ぶからまかせてねー」
軽口を叩くのは仕返しである、いちいちイビりに反応してたら生きてけないと思ってるヒビキ。
「じゃ寮に行くあるよ」
歩きながらチョウさんは上海の市場にヒビキ達を紹介していた。市場を通りすぎ正面右側には飲食店やスーパー、左側には生活用品の店や金物屋などがあった。
チョウは右側のスーパーの路地の裏側へ向かい200mぐらい離れた所に古びた雑居ビルがあった。どうやらここの2階と3階が黄財団で所有する寮らしい。
「ここね、2階の奥がヒビキ達の部屋ある、鍵はこれね電気と水はもう使えるあるよ。あと水飲んじゃだめあるよ中華腹下すね、一回煮沸するか、買わないとダメね。あと家賃は天引きよ、日当2500円ね二人とも」
この発言に二人は固まった。2500円?上海の物価はわからんが住む家を手に入れたと同時に生活苦に陥った。
チョウは忙しいと言いあとは何かあればヤンに取り次いでもらえと言われた。
「とりあえず中に入るか」
GTが鍵をヒビキから横取りしドアを開ける、目の前は15畳はあるかもしれない事務所のような殺風景な作りに奥にはシャワールームと向かえにトイレ。物は何もなく電気で動くキッチンが玄関横にある。窓はキッチンの逆方向にベランダ付の窓が唯一あり出入りできた。
GTは部屋を見た後に取り敢えずはスーパーに行こうとヒビキを誘う。
スーパーまでの道のり
「まずは今日はタオルとトイレットペーパー、雑巾と飲み物、シャンプーあとは引っ越しビールか」
GTが言う
「引っ越しビールってなんだよ、引っ越し蕎麦じゃないんか?未成年は酒なんか飲んじゃダメなんだぞ」
「博打もビールも風俗もいまや18からだぞヒビキ」
「世の中腐ってやがる」
と文句言いながらも自由を楽しんでいた。
スーパーに着いた二人は色々と買い漁ったがひときわビックリしたのは水が最低180円からだった、なんなら烏龍茶が150円なのに水は180円。恐るべし中華。
あとは白身魚のフライが二枚で350円なのに豚カツらしい揚げ物が500円、鳥の唐揚げが500円。話に聞いていた通り魚が庶民の味方のようだ。
スーパーで大体の物を済ませ、雑貨屋によりタオルや下着とTシャツを購入。
ヒビキがGTの文字が入ったロゴ入りを探して怒られていた。
部屋へ戻った二人は残金を確認する。
とりあえずの生活品で一万、食料と飲料水とビールで一万。
残金は二人で25万
「じゃ初の貸家物件万歳」
プシュッと勢いよくでてきた泡を喉に流し込む。二人は味なんか関係なく、今の解放感がより上手い味のビールに仕立て上げた。
「今日が金曜日だから土日は必要な物を揃えるか明日とりあえずic端末を買おう、それが終わったら冷蔵庫とフライパンと鍋と電子レンジだな」
二人はともにくだらない会話をしつつ
眠りに就いた。
翌朝遅めに起きた二人はic端末手に入れるべく家電製品店へ来ていた。
端末機の前へ行くと二人でげんなりした。最低価格6万2千円。
「なぁ毎月役所へ出向いたら良いんじゃね?」
とヒビキ。
「バカ、日当2500円で昼間もべつな仕事するようになんだぞ、それに上海の役所の場所がわかんねーよ」
GTが言う。
二人は別の家電屋を目指し外にでると路地にジャンク屋を発見。
「おい入って見ようぜ…GT」
胡散臭い看板のタンタンと言うジャンク屋。
「いらっさーい」
メガネアフロの店員が声をあげる。
「兄さん動くiC端末ある?」
「あるよー!まだバリバリ」
と言って端末コーナーへと連れて行く。
メガネアフロの説明だと、型遅れだが全機能活用できる端末が3万で五台ほど、緊急ニュースや配信に対応してないがその他の機能が使える端末が2万で3台。
「動かなかったらメガネ、カチわりに戻って来るけど大丈夫?」
メガネアフロは
「物騒だね兄さん、登録うちの店でやってきなよ心配なら」
GTはヒビキに3万のを2台買おうと言った。
「任せる」
「じゃメガネ、これを2台」
金を支払い端末を耳にかざす。
画面が立ち上がり、口座、住所登録があり雑居ビルの新居を登録。口座はすでにあるものが自動登録されていた。
ヒビキは端末をマジマジ見ていた。
「便利なもんだ」
店内をさらに物色して2万の大きめ冷蔵庫発見。
「それは冷凍きかないんだがね、大きさは良いよね」
とメガネアフロ。
「おいメガネ、この冷蔵庫配達するんなら買うぞ」
「えーこっから800mあるんすけど」
「情熱を燃やせ、夕方6時着で」
うむを言わさずGTは購入した。
外にでた二人は残金チェックで残金17万になっていた、残りは布団とソファーにテーブルだった。とりあえず腹がへって市場の前にある飲食店を覗いて見た、平均値は1500円と決して安くない。
次は路地裏の飲食街。地元民で溢れていた。
肉まん300円や点心500円、上海ヤキソバ500円とリーズナブルな屋台。
これならとヤキソバの屋台前で食べる事にまぁ普通の感想程度の味だが不味くなくソウルフードだろう。
食べてる時に通りの端で酒樽を解体してる店主がいた。
「おっちゃんその酒樽いらんの?引き取るよ」
「坊主これは中が多少匂ってんだそれでも良いなら持ってきな」
ヒビキは酒樽の匂いを嗅ぐ、少し濃厚なシェリーの香りがする。
GTに許可をとりテーブルにすることにした。上にパネルでもつけりゃ後々は広がる。
家具屋
布団が思ったより高く二人は寝れる大きめのソファーを2つ購入した。
残金11万。
ここでGTは1度様子を見ようと言った。
新居へソファーを台車で運び部屋を整える、ヒビキは酒樽を取りに行きGTは冷蔵庫を待っていた。
「すいません、タンタンです」
「今開けるから待ってくれ」
ドアを開けると汗だくのメガネアフロがいた。
「その熱意に感謝して電子レンジってあるか」
メガネアフロは目を泳がせ後日店に来てみてくれと言って帰った。良い奴だなとGTは思った。
ヒビキが入れ替わりで帰ってきた。
殺風景な部屋のど真ん中に酒樽のテーブル、それをハの字でソファーを設置してキッチンの横に冷蔵庫を置いた、部屋っぽくなっている。
冷蔵庫に飲み物を詰め込んで夕飯を買いにスーパーへ向かう。
惣菜コーナーで鳥肉のサラダを2つとギョーザと買い忘れたフライパンを購入して帰る。
二人でギョーザの垂れがないことに気付いたがそれもまた調味料とか謎の発言をしながらビールを飲んで楽しくやり過ごした。