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つれづれな詩たち

琥珀色の雨粒

作者: 風蘭

靴先を濡らす雨音に

どこか遠いピアノの音が重なる

気まぐれに零れ落ちる雨音と

切れ切れの音色

胸の奥でまだ切れ切れの言葉

千切って捨てたままの感情がこびりついて離れないから

時間を積み重ねて

深い時を眠らせて

そうしたらこの感情も琥珀のように透明になるかな

思い出の色彩はどこか遠く

色褪せきれない切れ切れの色彩が瞼にちらつく


踏み出す先はどこ

行き着く先はどこ

降り込められたままの雨に

全部洗い流されればいい


いつか踊った円舞曲(ワルツ)

いつか奏でた小夜曲(セレナーデ)

刻まれたステップをまだ覚えているのに

重なった指先も遠いまま

靴先を濡らす雨音に

どこか遠い記憶が重なる

気まぐれに踏み出したステップに

千切って捨てたはずの感情が胸の奥揺らいでいるから

積み重ねた時間

深い時に眠らせた

それでも心に残る感情の欠片をどうやって手にすればいい

言葉への紡ぎ方を忘れてしまった感情は

心の奥で透明な石になって沈むまで

どれだけの時間が必要なのかな


着込んでしまった時間の重みの分だけ

自由と理由を失って

傘もないまま雨の中に立ち尽くす

どこに行けばいい

何をすればいい

待つことだけを積み重ねて

このまま物言わぬ石になりそうで

光の気配さえない雲に手を伸ばす

琥珀色の雨に打たれて

涙の気配を溶かし込む

この手に何も残らなくても

私は果てることのない道を行くと決めたから


濡れたままの袖を払って

顔を上げる

言葉にすることのない心を抱えたまま

この願いが私の行く道に染み込むまで

祈るように紡ぎ続ける

いつか抱いた感情が透明な石になるまで

この頬を濡らす涙が雨に変わるまで

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