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小さな写真集

今も何処かで雨が降っている

作者: 空乃 千尋

蝉が鳴いている


必死で愛を叫んでいるのだと語る人

短い生を謳歌しているのだと語る人

ときに美しく語られる蝉達の振る舞いは

何を思ってのものなのかを私は知らない

何かを思うことすらあるのかも知る由はない


大音声が響き渡ると


ときに喧しいと怒り出す人もいれば

しみじみと夏だなぁと零す人もいて

十人十色では足りない位の人々が溢れているから

すれ違わざるを得ないときはどうしてもある

互いに理解することも可能なのか怪しい


喧騒の沁みついた街を行く


昼間に響き渡っていた蝉の音が遠く薄れ

一層涼し気に響くのは蜩の声

この日の夕空は重く沈んでいくようで

黒々とした雲がずしりと覆い被さり

赤らんだ陽光が漏れ出していた


美しいと思う心がここにある


暗雲の渦中を過ごす人を他所に

土砂降りに飲まれそうになる人を他所に

そこから遠く離れた今ここで

目の前に広がる光景に耽ることは

きっと薄情なことなのだろう


今も何処かで雨が降っている


挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[一言] 写真イメージにぴったりとくるような そんな素敵な言葉たちだと思います ですので、 そうした作品世界からくる言葉であることは 理解した上で、 それでも、この雨が 少しでも晴れ間となるように、…
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