詩 人食いの家
今宵も家にやってくる
やわらかな肉に
意思という余計なおまけをひっさげて
あわれな獲物がやってくる
ここは深い 森の中
方向分からず 脱出は不可能
迷い人には悩まない
噂をしてれば 「こんにちは」
「ようこそ」 玄関明かりをつけましょう
「ごゆっくり」 お風呂もシャワーも完備ですから
「おやすみなさい」 疲れたのなら客室どうぞ
寝ている間に 道具を準備
下ごしらえは完璧に
さ 始めましょう
悲鳴轟かせ
「この家は一体なんだ!」
嘆きを吸い込んで
「さっきまでここにいたヤツはどこに行ったんだ」
外には一切合切伝わらない
「電話がつながらないぞ!」
貴方達だけの特別性の舞台が開演
「スポットライトを浴びて輝きだす」
※ただし食べ物として
※ただし御馳走として
迷い込んだら出られない
「家の中から逃がさない」
――だって
――この家は人食いハウスだから