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“ Be Barn-z` ”  作者: 友行亮二
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【1-8】

【1-8】アクシデント

それから数日間は格別に何もなく、日常は過ぎた。颯介と明文の登下校は今まで通り、一緒だった。でも何か、ぎこちない2人だった。何も話さないで歩く颯介と明文を、小紅は不思議そうに見ていた。


颯介は何となく分かっていた。

明文へのイジメは起こらないではなく、起こせなかったのだった。

総てを事前に知っているかのように、明文は回避をしていた。

例えれば、自分の上履きや靴はカバンに袋に入れて常時持参し、教科書、ノート等は自分の机の中には置かずに同様にした。不思議なことにそれらは、授業が始まる時にはちゃんと揃っているのだった。

また、階段で明文とすれ違う際に、靴を踏もうとした吉岡グループの一人は明文が素早く避けて、自らバランス崩して階段から転げ落ち、その失態で足を挫いてしまった。この一件があってから、明文への嫌がらせは嘘のように沈静化したのだった。

颯介はその時、教室にいた。

教室を出てすぐに階段があり、何かがあって騒いでいる様子が伝わってきた。

暫くして、片足を痛そうに庇いながら、吉岡グループの一人が教室に入ってきた。

続いて入ってきた仲谷達女子は云った。

「明文にあんな事、するからだよ!!」

 「ほ~ンと、自業自得!バッカみたいー」

云われている男子は、「ウルサイ!」と言い返して、チラッと吉岡に目をやった。

自分の席にいて本を読んでいた吉岡が男子と目を合わせることはなかった。

「でも、明文カッコよかった…確か、避けて、片足で立って、そのまま、階段の上まで飛び上がったんだよ!!」そう言ったのは仲谷だった。少し考えて、

「飛んだっていうより、何か浮いた感じ、フワッと・・・」

「そうそう、そんな感じー!」

「なんか、一瞬、空中に止まって見えたッ!」

傍で見た子供達は口々に云った。

そんな騒ぎの中、明文が教室に戻ってきた。

「あ~、メイ(明文の渾)どこへ行ってたの?」

そう声を掛けたのは仲谷だ。

「・・・トイレ・・・」

明文は少しはにかむ様にそう答えた。

クラスの中に安堵にも似た笑いが上がった。颯介は、なぜか“ほっ”としたのだった。


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