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“ Be Barn-z` ”  作者: 友行亮二
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【1-3】

【1-3】one week later 一週間後…

颯介は隣席の秦明文はた・あきふみと自然に打ち解けていった。教科書がまだ揃わないため、座席は付けたままだ。颯介は明文に少なからず驚いたのは、その態度だった。この年頃の男の子とは思えない落ち着きさ、余り喜怒哀楽を出さない表情。そうかと言って、決して冷たい印象ではなく、いつも少し微笑んでいるのだ。

授業の受け方にも特徴があって、瞬き一つしない集中力。ノートはかなり大きめのA4サイズの大学のノートに大き目な文字で一行開

け、日本語とローマ字で記入していた。

颯介は一回、明文に聞いた。

「何だか白いとこだらけでスカスカじゃない、ノート?なんか、もったいないなぁ~」

颯介をチラッと横目に見て、

「うん、そうだね。開けているのは、後で付け足す為だよね、調べた事を…」

颯介は妙に納得し、明文はわずかに微笑んだ。

 明文が全ての授業に集中しているのではないことに、颯介はある時、気づいた。

 国語や社会の授業には特別に集中している様だった。算数や理科の授業はどこか退屈そうだ。嫌いなのか、苦手なのか?


 その日の一時間目の授業は算数で、三日前の小テストが返された。出席番号順に教師から手渡されるのが通例になっている。

担任は言った、「今回のテストで、満点は秦明文君一人でしたね…」

クラス中がざわめいた。

誰かが言った、「な~んだ、茂樹じゃないの!」

 それは、吉岡茂樹というクラス委員長の事だ。

担任、「吉岡君は95点、もう一人は同じく仲谷さんでした」

女子の中から、すごい、やっぱり、といった声が聞こえる。

颯介は自分の答案を見た。65点だ。この小テストは“つるかめ算“とか言ってかなり難しかったのだ。

担任、「吉岡君の答えは合っていたけど、中学で習う方程式を使ったのよね。それで減

点しました」

 噂では、吉岡茂樹は都内の私立中高一貫の進学校を目指して、科目別に家庭教師を付けていると聞いていた。

 颯介の席から、右斜め前三列目に座る吉岡の後ろ姿が視線に入った。余程、悔しかったのか、うつむき加減で肩を小刻みに震わせている。肌が色白の為、首筋から耳たぶまで紅潮していた。

颯介は他人事ながら“いつも一番でいるのも楽じゃないナァ”と心の中で呟いた。


それから数日後、体育の授業中のことだった。

その日は気持ちの良い秋晴れの下、男子は校庭でのサッカーになった。

チーム分けはくじ引きで行われ、颯介と明文は違うチームになる。颯介は吉岡と同じチームになった。

“今日の授業は、紅白戦の試合形式で行う”

と、先生は告げた。

試合と聞いた男子達は、一部を除いて概ね興奮気味になった。ここ最近の体育の授業では、トスやパスの仕方、たまにゴールキックやサッカーの基本プレー、ルール説明で授業時間が終了しまうからだ。


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