【1-10】
【1-10】許されざる者たち
翌日の放課後だった。
颯介は同じ班の明文と一緒に教室の掃除をしていた。
明文達の様子を、小紅は廊下の空いた扉の間から、ジッと眺めていた。
颯介は、いつも一緒に下校する為に待っている小紅に明るく声を掛けた。
「小紅、もう少し待ってて、すぐ終わるから!!」
この頃は、登下校を一緒にすることもあって、一人っ子の颯介は小紅を妹のように感じていた。
それを聞いて小紅はコクリと頷き、お下げ髪が可愛く揺れた。
教室を出て帰ろうとしていた仲谷が小紅に声を掛けた。
「あらっツ、小紅ちゃんどうしたの?」
掃除をしている颯介と明文を見て察したのか、「お兄ちゃんたちが、掃除終えるの待ってるんだ~」と云った。
小紅は、コクリと頷いた。
仲谷、何かを思いついたのか、
「じゃあ、私と帰ろう!小紅ちゃん送って行ってあげる!!ねえ、明文いいでしょう?」
傍で聞いていた颯介も、意外だと思う返答を明文は返した。
「良いよ、あの四辻の神社で待っていて・・・」
その神社は境内の中に砂場やブランコがあり、颯介も下校時に明文と小紅と一緒に何度か立ち寄ったことがあった。
「わかった~後でね、待ってるから…じゃあ小紅ちゃん行こう~」そう云うと仲谷は小紅の手を取って、あっという間に行ってしまった。
「サッサと終わらそう~ゼッ!」
颯介は掃除当番の、みんなににそう云って声を掛けた。ふと、教室の窓より校門を出て行く仲谷と小紅の姿が目に入った。そして、2人の様子を校門で見送る、吉岡のグループ
4名の姿も・・・。何か嫌な予感がした。
『早く掃除を終えて、小紅に追いつかないと
‼』掃除をする手は自然に早まった。