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STEP:7 確信

姉さんの過去を聞いてから、もう3日が経った。

色々な見方が変わっていた。


声キモの放送を聞いても、「レイプがいい」と聞く度に「その相手がどうなるか考えた事あるか?」

と、レスを書きたくなる。


そんな思いをしない為にも、声キモを聞く事も少なくなった。

あれ以来、姉さんはスカイプにログインしてこなくなった。

しかし、ログインしてきたからと言って何を話せばいいのかも分からない。


母さんも同じ様な事があったのだろうか...

姉さんは生きている。

けど、その心の傷は相当深い。

それを耐えられなければ、自殺する事もあるだろう...

そう思った。


どうにかして、気分を変えたかった。

アニメを見ても、映画を見ても、姉さんの事が頭から離れなかった。


テレビを消して、部屋に戻ってくると先生がオンラインになっていた。

藁にもすがる思いで、先生に話しかける。


「先生、今、時間ありますか?」どうにか話してくれる事を願った。


「おいす。久しぶりだな。どうした?」先生はいつも通りにレスをくれる。

「ちょっと、相談事があるんです」そう打つとすぐに

「ちょっと待て。準備するから」と返してくれた。

数分経つと、先生からかけてきてくれた。


「悪いな。今度、嫁と旅行に行くんだよ。その予約を取ってたんだ」

「忙しいところ、すいません。どこに行くんですか?」

「無問題。ナイアガラの滝を見に行くんだ。まぁ、暇だから」

「奥様と仲が良くて素敵です」

「で?相談って?今回はプレゼント企画は無いぞ」

「いや、大丈夫ですw その...」

「なんかマジな相談っぽいな。モリタボらしくない。どうした?」

「実は、最近... その、女の子とスカイプで話しをしたんです」

「お!モリタボ!ネゲットだな。うんうん、それで?」

「いや、その...その人はあんまり自分の過去を話したがらない人で」

「そんなの入れちまえばOKじゃね? まぁ、なんだ勢いも大事だ」

「いや...その。この前、遂に過去を教えてくれたんです」

「そしたら、旦那がヤクザで子持ちで、借金1億あったとか?」

「いや、それならいいんですけど...」

「いいのかよw」

「レイプされた事があるそうなんです。それを聞いてしまって...」

「気まずいから、一方的に切ったわけだな」

「向こうが、です。自分からは何も言えなくて...」

「放っておけばいんじゃね?」

「いや。そんな事できないです。もうずっと、その事ばかり考えてて」

「モリタボもレイプしたいって事?」

「違いますよ。その...」

「惚れてるわけだな。まぁ、そうだな...その時に何を言っても仕方無かったんじゃね?それよりも、相手がそれを言いたくなかったのは嫌われたくないとかだったんだろ?」

「なんで、分かるんですか?」

「普通に分かるだろw 女ってのは襲われたとかそういうの気にする奴もいるからな。汚れちゃったみたいな感じ?」

「そういうものなんですね...」

「それをモリタボに言い辛かったって事は、モリタボに嫌われたくなかったって事だ。これはフラグ立ってるな」

「そうですか?でも、次に何を話したらいいのか...」

「なるほど...ネゲットに夢中で放送してる暇も無かったわけだな」

「え?」

「まぁ、あれだ。モリタボも惚れてるわけだし、嫌いになったわけじゃないんだろ?」

「はい」

「惚れてんのかよw こっちが恥ずかしいわ。ここは変に謝ったりしないで、今まで通り普通に話せばいんじゃね?」

「そういうものですか?」

「変に謝られても、困るだろ。その話題に触れない様に普通に話せばいい。モリタボの気持ちを素直にぶつけるってのもありだがな」

「色々、考え過ぎなんですかね...?」

「まぁ、そうだな。その内、そういうのもモリタボみたいに話せる様になるだろ」

「だと、いいんですけど...」

「人間は忘れていく生き物って言うしな。メンタルケアも彼氏の務めさ」

「いや、彼氏とかないですよ」

「はいはい。ないないって事でw しかし、これは美人の予感」

「そうなんですか?」

「美人薄命というか、美人には何か過去が付き物だろう。人によっては見境無い場合もあるだろうが、ブスよりは美人を襲うと思う。少なくとも俺ならそうする」

「なるほど...」

「まぁ、モリタボの様子だとそれも気にならないくらい惚れてるみたいだけどな。余程ベクトルが合ったのか?」

「え。ええ、まぁ...そうです」

「まぁ、頑張れ。そんなわけで、仕事行く前に風呂入りたいから」

「この後、仕事だったんですか?言って下さいよ。すいません」

「無問題。困った時はお互い様って言うしな。じゃあ、見当を祈る。またな」

「ありがとうございました」


スカイプを切って、背もたれに寄りかかり溜め息を付いた。


普通にか...


そう呟いて、また溜め息をついた。


こうなると、色々考える。

今まで、何を話していたのか...

普通に話すって、何を話せばいいのか...

つくづく、過去を聞いてしまった事を後悔する。

しかし、姉さんを好きでいる以上はいずれ知る事になったのかも知れない。


この時、自分で「姉さんを好きでいる以上」と思った事に赤面した。


そして、確信した。

姉さんを好き。だから、こんなにも悩むんだと言う事を...

だからこそ、また姉さんと話したい。そう思った。


今まで、誰かを好きになるという気持ちなど殆どなかった。

「可愛い」「綺麗」そんな気持ちはあったかも知れない。

でも、そんな気持ちはすぐに忘れてしまう。


合計にして何時間だろうか...その間に色々な事を話した。


それでも、姉さんの内なる部分なんて、自分は少しも分かってないのかも知れない。

けど、あの声と口調。その他にも話してる中に感じる賢さの様なものや、気遣いなど色々なものを

言葉では言い表せない何かで感じてきた。

それがこの想いを芽生えさせてくれた。

そして、この想いは自分の中から沸き上がる様に発生したのではなく。

姉さんがいたから、姉さんがくれた想いなのだ。


話したい...

会いたい...

何より好きだと伝えたい...


そう思った。


だからこそ、俺は...

だからこそ、自分は...

だからこそ今はただ、姉さんのスカイプが上がるのを待つ。

そして、伝える。

この想いを...

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