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7 悪役令嬢脱却への道 5

「フォーロマン様、お許し頂けるのであればわたくしと」


1年合同の授業中、ペアを組むよう指示があった。

一人の少女が駆け寄ってくる。いつも組んでいる子だ。記憶にはあるが、名前は憶えていない。


「ミナ・ニーニエです」


こちらの意図を察して自己紹介してくれた。なんて空気の読める子。


「そうでしたわ、ニーニエ様。申し訳ないのですけれど、他の方と組んでいただけるかしら」


「な、なにか不手際がございましたか!?」


申し出に少女が一気に青ざめた。侯爵令嬢の不興を買ったと思ったようだ。

取り巻きというほどの付き合いはなくとも、おそらくコネのために親から適度にご機嫌を取っておけ、とでも言われているのだろう。今までつき合わせて大変申し訳なかった。ニーニエさん、ちゃんと名前は憶えておきます。お父様にも伝えておきます。


「そうではないのよ。ただ、ある方とお約束をしているの」


そうよね、リィンさん、と呼びかけて周囲が騒然とした。今の今まで所在なげにたたずんでいた本人すらも、声をかけられたことに驚きを隠せないでいる。

教師ですらぽかんとしていた。

大人が見て見ぬふりをするなと言いたいところだけれど、学院の教師はほとんどが平民だ。その権限が与えられているとはいえ、大っぴらに注意はしにくいのだろう。その態度がますます一部の生徒を調子づかせているというのに。

とはいえ正直に言うならば、自分だって攻略対象であるリィンには近づきたくない。だが、本来なら貴賤の差なく実力主義の学校にいって活躍するはずが、ある意味私のせいでこの学院に留まることになってしまったのだ。

ならば、せめて少しでもその生活が平穏なものになるよう、協力すべきではないか。悩んだ結果、そう結論付けた。

とはいっても、少しの間だけ。侯爵令嬢の庇護にあると誤解されれば、手を出す者もいなくなるはず。そうなるまでの間、できるだけ声をかけ続けよう。

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