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45 不穏な気配 4

「よいしょっと」


令嬢らしからぬ言葉で、私は抱えていた沢山の本を机に置く。

すべてが民族学エスノロジーの本だ。図書館から個々の民族文化について詳しく書かれているものを手当たり次第に持ってきていた。

その横に紙を広げる。

さすがにナイフを持ち歩くわけにはいかないので、紋様を写し取ったのだ。

同じものがないか、片っ端から見ていくつもりだった。

というのも、この紋様、何度見ても、ひっかかる。

何かがある。

ただ、その「何か」の正体が分からない。


「遅くなりまして、申し訳ございません」


そこに、待ち合わせていたリィンがやってくる。

あちこちを旅したことがある彼なら何か知っているかもしれないと思い、声をかけていた。


「リィン、待っていたわ」


私の言葉に彼がほほ笑む。

彼は、机の前まで来ると私の持つ紙を見て首をかしげた。


「あの、なぜ僕の一族の紋が描かれているのですか?」


「えっ……?」


その言葉に、耳を疑う。だが同時に、ようやく違和感の正体に気がついた。

私は、すでにこの紋様を目にしていたのだ。

祖父の部屋ではなく、かつてあの聖夜の晩、リィンの着ていた衣装の刺繍として。

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