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心折れた俺の異世界浪漫譚  作者: 黄色い翁
プロローグ
7/43

明日へのプロローグ4 おや?様子が?

7話目です。文字数がどうしても多くなってしまう為、前半後半で分けました。

なので後1話だけ続きます。

それではどうぞお楽しみください。

 「動くでない!背信者!いや、邪教徒め!」


 「兄さん・・・・・・嘘だよね?ラヴィエル様からの寵愛を頂いたよね?」


 「カレン君・・・・・・どうして・・・・・・」 



―――これは・・・・・・流石だねカレン兄は。

 まいったなぁ。きっとカレン兄がいなければこんなことにはならなかったんだろうね。きっとラヴィエル様に嫌われることもなく、あの時魅了されていれば『変わらない日常』を歩めたのかもね。

 眩しい未来がきっとあったんだろうね。

 

 だけど僕は視たじゃないか。キーラに降り注ぐ恐怖の光を。視てしまっただろ。歪んだ嗤いを向ける神の貌を。

 これは『間違って』いる。カレン兄から聞いた話を全て信じる訳じゃない。成人前の子供だけどさ。

 だけど・・・・・・だからこそ!僕はこの世界の真実を知りたい!どんな結末だろうときっと大丈夫。

 僕は一人じゃないから。僕たち二人なら立ち向かえる。前を見るんだ。



 「!?動くなといっている!立ち上がるんじゃない!」


 僕は司祭の言葉を無視して立ち上がる。

 自らの想いを胸に。決意は魂に変える。

 僕は愛しい二人に視線を送る。


 「キーラ、クレア。ごm「口をひらくなぁ!」黙れっ!!!」


 警戒の温度が一気に上がる。それでも僕はやめない。


 「キーラ、クレア。ごめんね。僕はラヴィエル様に愛してもらえなかったみたい。伝えたい言葉や想いはいっぱいあるんだけど・・・・・・ごめんね。」


 二人は信じられないという顔で首を振る。


 「い、いや・・・・・・嘘だよね。兄さん。ずっとラヴィエル様が兄さんのこと――」


 「カレン君私もさっきからラヴィエル様の神託が止まらないの!なんで!嘘よ!」


 「っ!!!」

 二人は顔を覆い泣き崩れてしまった。最愛の人を泣かせてしまった痛みが、悲しみが僕の心に爪を立てる。

 そこに包囲している人たちが道を空け奥から一人の男性が近づいてくる。


 「君が騒ぎの元凶の邪教徒か?聖女を二人も泣かせるなんて罪な奴だね。」


 そこには僕と同じ黒髪黒目の少年が立っていた。腰には一振りの剣を佩いており、豪奢な衣服と鎧を身につけている。

 目鼻立ちは整っており爽やかな印象を受けるが、僕を映す瞳は濁っていた。


 「僕は『勇者』の祝福を授かりし女神の代行者。暁光輝(あかつきこうき)だ。こちらだと、コウキ・アカツキって言った方がいいかな?

 あー。君の名前は言わなくてもいいよ。知りたくもない。こんな可愛い女の子達を泣かせるだけでなく、ラヴィエル様の愛すら受け取らないクズなんてね。

 ほら大丈夫かい?僕の聖女達?」


 あ゛?あいつが勇者だと?おいその醜く濁った目で彼女達を視るんじゃない!


 「ラヴィエル様から神託が僕にも届いているよ?彼女、泣きながら「愚かで哀れな邪教徒を始末しなさい」って言っているんだ。その頼みを叶えてあげなきゃ男じゃないでしょ?」


 前言撤回だ。歪んだキザ野郎じゃないか!クレアを視るんじゃねぇ!!

 っ!落ち着け。落ち着くんだ。

 カレン兄は予測していたじゃないか最悪の状況を。だけど言うほど最悪じゃない。彼女達が()()敵対していない。今後はわからないけど現段階なら本当の最悪ではないね。


 さあ考えろ。思考を止めるな。

 まずは逃げること。カレン兄!いきなり逃走だよ!

 魔力は・・・・・・ある。限界手前まで使う!形振り構ってられない!武器はなし。

 そして逃げ道は―――あった!勝手口。

 「キーラ!クレア!」これでさようならになっちゃうかもしれない。

 「――どうか幸せになってね。」

 くそっ。まだ泣いちゃだめだ。我慢しろ、生き延びるんだ。


 見守っててねカレン兄。鍛錬の成果を!『やっちまえカレン坊!全力全開だ!』


 魔力を身体に巡回させる。速く、正確に。

 想像するんだ。結果を。

 紡げ。言の葉を。まだ短縮も無詠唱もできない。けれど大丈夫。僕ならやれる!

 

 街の人達ごめん。ちょっと痛いけど我慢して。


 『祖は紅き奔流 万物破壊せし万象の理よ 我に従い列と為せ――』


 「兄さん!?!?」「カレン君!!!///」


 「くそっ!あいつなんで!」


 狼狽える彼らを無視し言葉を紡ぐ。


 『発現せよ―――』 


 勇者―コウキ・アカツキ―は慌てて抜剣し阻止する為に接近するが。

 

 間に合わないよ。

 いけ。僕にできる唯一の中級魔法

 『――フレアブラスト』


 閃光。

 刹那、猛烈な衝撃を包囲していた人間達を襲う。遅れて熱が彼らを飲み込んだ。

 「「キャーー!!」」


 悲鳴が聞こえる。「ごめんね。さようなら。」


 身体は倦怠感を訴えるがそれに耳を傾ける事は許されない。急いで出口へ走り出す。

 『よくやった。お前の心の痛みはわかるが一先ず逃げろ!』


 カレン兄の言葉に頷きながら外へでる。急いで武器を取りに行かないと。武器は自室にある。僕が邪教徒認定されて間もない今なら回収できる筈だ。そのまま街中を駆ける。カレン兄の様に上手く使えないけれど『気』を滾らせ身体を強化し最速で自宅へと奔る。


 僕は勢いそのままに自宅であり宿屋の玄関をくぐる。


 「待ちなさいカレン!!!」

 「っ!!!」


 そこには武装した()()()()()()が待ち受けていた。


 「理由は聞くなカレン。お前が・・・・・・お前が。邪教徒だというのは既に知っている。」


 「カレン。大人しく捕まって。お願い。」


 僕は――いつから流れているのか分からない涙が視界の邪魔をする。ここで捕まればこの世界の真実にたどり着くことは出来ないだろう。だけど、大好きな人達を傷つけてまですることなの?

 途端に判らなくなってきた。カレン兄も沈黙を保ったままだ。彼もまた葛藤し苦しんでいるのは想像に難くない。

 未来を思案する。牢獄暮らしか、処刑か。キーラだけ残して父さんも母さんも処刑って未来もある。


 『カレン坊・・・・・・すまなかった。見立てが甘かった。だから、もう「僕は!」っ!?』


 「僕は行くよ父さん。母さん。今まで育て、てくれっ、、、て、、ありっ、、がとうっ!」

 「「――っ!」」


 もう耐えられなかった。限界を超えた哀しみは涙は止められず、告げた感謝は今生の別れを意味していた。

 だってそうだろう。いくらこの街が特殊でも人間達のほうが圧倒的に多いんだ。

 僕は今日、この日をもってこの街と、大切で大好きな家族と、キーラにクレアとお別れになる。

 無理だった。目を背けたかった。待ち構える父さんと母さんを見てしまったら、嫌でも理解させられる。

 だからカレン兄は諦めようとした。だけども、それ(諦める事)を僕の矜持が許さない。彼のように優しく、強くありたいから受け止めるんだ。

 

 だけど涙だけは止まってくれなかった。


 「パパ・・・・・・!」

 「分かっているっ!カレン!不甲斐ない親でごめんな。さっきから頭の中でラヴィエル様がお怒りなんだ。だから・・・・・・俺達を攻撃しろ!」


 「嫌だっ!父さんと母さんに怪我させたくないっ!もう嫌なんだよ!大切な、愛している人達を傷つけるなんて、、、、もう嫌なんだよぉ!キーラもクレアもきっと痛かったはずだ!だかr「カレン!!!!」」


 父さんの怒声は僕を萎縮させた。そして近づいて、「っ!!」抱きしめてくれた。母さんも近づいて抱きついてくる。


 どんなに苦しいんだろうか。想像を絶する。カレン兄は魅了だと言っていた。それに対抗している心の強さに、僕を息子だと愛してくれる両親の愛の強さに胸が苦しくなる。


 「いいか。カレンよく聞くんだ。逃げろ。大森林へ逃げるんだ。きっとお前の両親が助けてくれる。」

 「ええ。そうね。きっとあの二人なら導いてくれるわ。カレン。大好きよ、愛しているわ。」

 「お前は俺達の大切な、心が優しく、強い自慢の息子だ。愛しているぞ。」


 「なんで・・・」


 「何もいうな。ほらママ、刀をカレンに。俺からはこれをもっていけ。」


 二人の温もりが離れていく。心を虚無と寂寥が同時に襲う。

 父さんは僕たち家族の集合写真が入ったロケットを。母さんからは冒険者時代に使っていた愛刀を手渡された。


 「最初から・・・」

 「これ以上何もいうな。お前が一番辛いんだ。だから・・・・・・やれ!」

 

 「ごめんなさいっ!―――」

 全てを込める。自分の想いを。僕たちの想いを。


 『「ありがとうっ!」』


 抜刀。奔る剣先は二人を捉えない。振り抜ききった先。手の内を変え、返す刀は鎬。そのままの力で父さんに撃ち込む。


 止まるな。止まったら二度と攻撃できなくなる。二人の想いを背負うんだ。無駄にしないっ!


 そしてそのまま手を返し、鎬で右薙ぎを放つ。

 

 二人は壁へ凭れ掛かったまま気絶していた。

 「はぁっはぁっはぁっ・・・・・・行ってきます。」



 「ママ起きているかい?カレン凄く強かったねぇ。」

 「起きているわよ。あの子ずっと鍛えていたけど、こんなに逞しくなっていたのね。」

 「カレンに手加減の仕方教えなかったの?撃ち込みの時自分から飛んでなかったらとんでもないことになっていたよ?今でも凄く痛いよ?」

 「パパ?我慢して。それは私も同じなのよ?それに一番痛いのはお兄ちゃんなの。」

 「わかってるさ。まだ成人前なのに・・・・・・どうか達者でな。」

 「そうね。どうか無事で。あわよくば、幸せになってね。」

 

 「「いってらっしゃい」」


 






―――時は少し戻って爆破直後の神殿内  ~クレア視点~


 神殿内は滅茶苦茶になっていた。最愛の人、カレンきゅんが放った火属性中級魔法「フレアブラスト」によって。

 今でもあの姿を思い出すと下半身がムズムズしちゃう!


 「クレアちゃん!」

 

 私を呼ぶもう一人の最愛の人。キーラちゃんの声がする。


 「キーラちゃん・・・・・・無事みたいね。」


 どうやら怪我もしていないみたいでよかったぁ。


 「うん。だけど兄さんが!しかも中級魔法まで使うなんて・・・信じられないよ。」


 そうなのよね!秘密にしていたなんてちょっと傷つくなぁ。


 「そうね、結界術師のはずなのに。でもねキーラちゃん。詠唱中のカレン君カッコ良かったよね!」

 「えっ!?う、うん・・・・・・決意した男って感じで凄くよかったと思うよ。」


 え?なんで驚いているのかしら?思い出すだけで・・・・・・キャー///


 「だよね!それにカレン君泣いてた。すごく泣いていたよ。涙も我慢して、私達に幸せになってね。なんてさ・・・・・・無理だよ。あんなにカッコいい男の子絶対にいない。

 今もラヴィエル様の声が聞こえるけど、私はカレン君が大好き!だから信じる。カレン君は邪教徒なんかじゃないんだって。」

 「クレアちゃん凄いなぁ。強いね・・・・・・キーラは折れそうだったよ。でも。うん!クレアちゃんの言うとおりだね。兄さんを私も信じる。まだ伝えていない想いだってあるんだから諦められないよ!」


 そうだよキーラちゃん!私達は二人一緒にお嫁さんにしてもらうんだから諦めちゃだめだよ!

 さっきからラヴィエル様が捕獲か始末しろって五月蝿い。聖女なんてやめてやろうかしら。

 それにあの勇者コウキとかいう奴。絶対に許さないわ。私達のカレンきゅんに怪我させようとしやがって・・・・・・

 あまつさえ私達をそんな穢れた目で視るな!視ていいのはカレンきゅんだけよ!


 きっと勇者はラヴィエル様からの神託で追跡するでしょうし、連れて行ってもらいましょう。

 そうとなれば私達の旦那様を確保して―――逃避行といきますか!



 「勇者コウキ。お話しが―――」



どうも黄色い翁です。今回は真面目・・・です。それと長めです。

如何でしたか?拙いながらも、大切な人達を傷つける痛み、苦しさを表現したつもりです。

まだまだ構成も表現も至らないなぁと痛感しております。

なにより、呪文詠唱が難しかった。お洒落度が足りないですね。死神代行の漫画読んで勉強します。

そ!し!て!

クレアちゃんの本性がちょろっと出ちゃいましたね!

彼女の今後に期待していてください。


出てきたね。勇者。

翁はクズ勇者が大好きです。

さて、勇者についてです。あくまで多数ある考えの中の一つとして捉えてください。

勇者とは字面受け取れば、勇ましい者。又は勇気がある者。

それからゲーム等で僕らの知っている勇者。

では実際に現地の人の目線で見たときに、『何をもって』勇者とするのでしょうか?

ゲームだと最初から勇者ですよね。勇気を持っている者?勇ましい者?

僕は誰でもにその要素があると思います。


故に勘違いしている勇者キャラ(クズい方面で)が大好きです。

勇者コウキの内外の表現も頑張っていきたいところです。


長くなってすいません。ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

もし続きが気になる!面白かった!と思ってくれましたら、ページ下部の評価とブックマークをよろしくお願いします!


それではまた会いましょう。黄色い翁でした。

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