表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心折れた俺の異世界浪漫譚  作者: 黄色い翁
プロローグ
5/43

明日へのプロローグ2 乙女の会話は世界一

5話目です。

次回か次々回で「明日へのプロローグ」が終わる予定です。

その後に幕間の物語を挟んで本編の予定です。

 祝福の儀を執り行う神殿に向け僕らは舗装されたポラリスの街を進む。家の中ではべったりな妹のキーラだけど、一度外に出れば隣を歩く程度になる。

 神殿が近づくにつれて人間は多くなる。祝福の儀は大人への第一歩でもあり、人生の標だ。ならばどんな子供が、どんな祝福を授かるのか気にならないはずはなく、信託を受ける子供達の親兄弟、冒険者や騎士団、教育機関がスカウトの場としても利用するべく集まるのだ。


 時々上がる歓声や励ます声を聞きつつ、人ごみを避けながら僕らは神殿内へと入っていく。


「ねぇ兄さん。キーラ緊張してきた。」


 道中言葉少なかったのは緊張していたからなのか。いつもなら元気いっぱいな彼女もしおらしかった。


「大丈夫だよキーラ。大切な儀式だけどそれが全てじゃないでしょ?父さんも母さんもずっといってたじゃないか。だから心配せずに神託を受けよう?」


「うん!ありがとう。兄さん!考えすぎちゃってたみたい。もう大丈夫だよ!」


 うん。笑顔のキーラは可愛い。僕もどこか緊張していたのだろう。気持ちが楽になった。


「あ!カレン君だ!おはよう」


 僕を呼ぶ声の方を見てみればそこには、ウェーブが掛かった金髪と藍色の瞳、たれ目で唇は薄紅色。スタイルは同年代で見ても成長著しく、今も十分であるが、将来美女が確約されている女の子、許婚のクレアが手を振っていた。

 クレアは幼少の頃から付き合いで、親同士腐れ縁から知り合うことになった。気がつけば僕とクレアは暇さえあればずっと一緒にいるようになっていった。

 昨年あたりからお互いに男女を意識し始め、気がついたら僕は告白していた。クレアは泣いて喜んでくれた。

 その告白はお互いの両親に覗かれており、その日ドンちゃん騒ぎで朝まで親達は飲み明かしていた。


「おはようクレア。信託は終わったのかな?」「グルルルル」


「ふふふ、おはようカレン君!今日もカッコいいな。私はもう終わらせちゃってカレン君達を待っていたんだよ。」「シャァァァァ」


「ありがとうクレア。勿論今日のクレアも可愛いよ。待たせていたみたいでごめんね。それで?祝福は何をもらえたの?」「キエァアアアアアア」


「知りたい?私もびっくりしちゃったんだけど、『聖女』の祝福を授かったの!それに大量の魔力もよ!」「ファアアアア」


「おおお!凄いじゃないか。『聖女』なんて『勇者』と同列の最上級の祝福だよ?!僕の将来のお嫁さんが聖女かぁ。僕もいい祝福もらえるといいな。」「セイジョ?カテナイヨ!?ニイサントラレル!?」


「カレン君ならきっと大丈夫よ。それにどんな祝福でも私が祝福してあげるわ。」「チキショーメェ!」


「ありがとう。大好きだよクレア。・・・・・・ほら。キーラ?さっきから凄いけどクレアに挨拶して?」


「兄さん取られる兄さん取られる兄さん取られる・・・・・・」


 (キーラはクレアが絡むとこうなっちゃうんだよな。気持ちは分ってるんだ。カレン兄が夢で教えてくれたし。だけど兄妹だし、クレアの気持ちを考えるとね。)


 どうやってキーラを現実に戻すか考えていると、クレアが「私に任せて」と一言残しキーラの耳元で何かを呟いた。


――以下乙女達による高速会議――

 

 (キーラちゃん。私分っているつもりよ。だから二人で一緒にカレン君のお嫁さんにしてもらわない?) 

 

 (!!!え?! クレアちゃんはいいの?独り占めできないよ?)

 

 (いいの!キーラちゃんの気持ち凄く分るの。カレン君が告白してくれたでしょ?それまではキーラちゃんのこと凄く警戒してたから。)

 

 (そっかぁ。クレアちゃんの方が逆に辛かったのかな。ごめんね。)


 (ううん。気にしないで!だから今日告白して二人で独占しちゃいましょう。)


 (えぇ!急すぎない!?)


 (これは勢いよ。私も一緒に立ち会ってカレン君のお嫁さんにしてもらいましょう。)


 (クレアちゃんありがとう。大好き♪)


 (私もキーラちゃんが大好きよ。)


――以上乙女達による高速会議――


 途端、「クレアちゃん!おはよう!聖女おめでとう。それからありがと!後でよろしくね?」


 はい?僕には一体なにやらであるが、何かあったらしい。でもまぁ元気になってくれたのなら良かったと思うことにする。


「キーラちゃんありがとう。任せて!私も手助けするわ!」


  「「フフフフフフ」」


 怖い。怖すぎるよ二人の笑顔。何を一体話していたんだろう。


 『まぁ想像通りだろうな。カレン坊、今夜が勝負かもな。男見せろよ?』


 (あれ?カレン兄がこんな日中に話しかけてくるなんて珍しいね。ていうか何ニヤニヤしているんだよ!僕には解るんだからね?それよりも何かあったの?)


 『まぁな。とりあえず周り見てみろ。皆砂糖を口から吐きそうなくらい胸焼けしているぞ』


 言われたとおりに見渡せば、皆温かい目をしているのに本当に胸焼けした表情をしていた。中には泣いている人までいる。

 言動を振り返ったら確かに恥ずかしくなる会話をしていたと気がついた。でも周知の事実だし別にいいよね?


 『さて。俺は一旦下がるぞ。そろそろ神託とやら受けらるんじゃないか?』


 (そうだね。それじゃあ行って来るよ)



 僕は暗い笑みを浮かべるキーラとクレアの二人に声を掛けるべく近寄った。


「クレア。僕達はそろそろ神託受けてこようと思うよ。キーラそろそろ行こうか。」


「うん。カレン君行ってらっしゃい。私はここで待っているから、後で教えてね?」


「そうだね。兄さん行こう行こう!」



 僕らは神託を受けるべく神殿内を進み、司祭様に案内され神託の間に到着した。


「これより祝福の儀を始める。神託を受ける者よ、こちらへ。」


 司祭様に指定された場所にキーラが先に進むようだ。

 「兄さん、キーラから受けるね?そこで見守っていてね?」


 「うん。行っておいで。ちゃんと見てるから。」



 キーラは女神様の石像が安置されている壇上に向かっていき、跪き、手を組み祈りの姿勢になる。

 それを見た司祭様が祝詞を唱え始める。


 「我ら見守りし女神ラヴィリスよ、彼の者に祝福を与え給え―――」


 祝詞が終わると壇上に光が降り注いだ。僕はそれに神聖さを感じると共に、本能が魂が()()()()()()と本能が警鐘を鳴らしていた。

 今更止められる筈もなく、キーラの神託が終わろうとしている。僕も『あれ』を受けなければいけないのかと思うと怖気が止まらない。


 『――坊、おい!カレン坊!落ち着け。大丈夫だ。()()なら大丈夫。怖がることはない。ほら、キーラが終わったぞ。しっかりしろよ!』


 (あぁ。ありがとうカレン兄。落ち着いてきたよ。それよりあれは・・・っていなくなっちゃったよ)


 だけど十分に落ち着けた。キーラに声掛けなきゃと思ったら歓声が沸いた。


 「兄さん!キーラやったよ!キーラも『聖女』だったー!一緒に魔力も貰えたよ!」


 「おめでとう!キーラ!凄いじゃないか!」


 どうやら祝福と同時に魔力も授かれるらしい。

 それよりも何という事でしょう。僕の妹は『聖女』。許婚も『聖女』。兄として許婚としてこれほどに嬉しいことはない。彼女達の将来はラヴィリス教の聖女としても、冒険者でやっていくにしても、帝国首都でもどこでも活躍を確約されている祝福だった。

 

 「兄さんも行ってきてよ!兄さんがどんな祝福でもキーラとクレアちゃんは受け止めるよ!」


 なんと温かい妹だろうか。

 キーラの応援を受け僕も神託を受けるべく壇上へ進み、跪き両手を組んで祈りの姿勢となる。

 司祭様が同じように祝詞を唱え始めた。

 すると少しずつ音が遠くなり、段々と何も聞こえなくなった。

 






 




 無音。先程までは外野の声、キーラの声が聞こえていたのに何も聞こえない。

 誰かの視線を正面から感じる。僕は顔を上げながら、目を開けると白かった。その白は暖かさを感じさせず、寒さを感じさせる白だ。

 目線を上げていけば、人の足が見える。人の足である。しかし足だけであるのにこの世の者でないという事を理解させられる。目線を外さなければ、目を瞑らなければと本能が訴えるが、眼前の神聖さがそれを許さない。

 次第に僕は呼吸を忘れ、身体の震えが魂からのものだと理解する。皆、()()を視たのか?解らない。僕は・・・ワカラナイ。


 すると頭上から何かが聞こえる。『貴方は・・・そう。駄目ね。これでどうかしら?』

 

 急に震えが止まり、停止していた僕の呼吸は活動を始めた。

 「はぁ、はぁ、はぁ・・・。ありがとうございます。ラヴィエル様でしょうか?」

 

 未だに頭を上げることは出来ず、頭を垂れながら質問する。


 『ええ、そうよ。私が()()()()()()()()。貴方に祝福を与えましょう。さぁお顔を見せてごらん?』


 なんと甘美な声だろうか。早くそのお姿を拝見したい。全てを捧げラヴィリス様の為に生きたい。ボクハ、ラヴィリスサマの・・・


 熱っ!?心が熱い。ってあれ?僕は何をしていたのだろう?たしか声が聞こえて・・・


 『あらら?フフフ。貴方面白いのね。私の■■に対抗できるなんて生意気だけど気に入ったわ。お名前を教えてくださるかしら?』


 僕はもう頭を上げることはせず、足元だけを見ながら答えた。


 「恐れ入ります女神ラヴィリス様。僕はカレンと申します。」


 『ふーん、カレンね。覚えたわ。よろしい、貴方にはこの祝福を授けましょう。』


 途端に頭の中に祝福の内容、能力が流れ込んでくる。僕は多少の気持ち悪さを感じつつも我慢し続けた。


 『あら。本当に貴方面白いわぁ。それと同時に―』

 

 気がつく事を許さず急に首を掴まれ身体ごと持ち上げられた。そして女神ラヴィリス様を視てしまった。

 そこには絶世の美女が嗤っていた。


 『とても気に入らない。だけど祝福だけは与えてあげる。でも魔力は与えない。この意味を貴方は身を持って知るわ。私に気に入られなかった罪を嘆いて生きなさい。さようなら。』


 僕は反応することも許されず投げ出された。視界はいつの間にか儀式の間の壇上であった。


 












 ―――カレン・ナンジョウ―――

 「っち。あいつは一体何者だったんだ?あのまま邪魔しなかったらカレン坊が危なかった。そして俺の存在が明るみ出るところだったな。

 しかしこの世界をカレン坊越しに視て来たがリリエルが邪神になってるいるとは驚きしかないな。

 リリエルが俺に嘘を・・・?考えたくはないが最悪のパターンとして留めておくか・・・。

 おそらくカレン坊の魔力では祝福は使えない。魔力を与えるとはなんだ?能力値は自己鍛錬と実戦で上げていくのではないのか?そうでなければ今までの鍛錬は無駄ではないか。聖女となり魔力を貰ったという大切な人達。知るべきことが多すぎる。その為にはそろそろ真実を話すべきだろうな。

 この先どう転んでも俺はこいつを、カレンを守ってやらんとな。」














 ―――転生の女神ラヴィエル―――

 『フフフフフ。あの子本当に面白いわ。私の神気に魂で気がつき、魅了に耐え、改竄したあいつの因子を無理やりに流し込んだのに我慢して・・・本当に素敵な子。書き換える為の魔力は流さなかったから変質はしないけれど・・・彼の魔力量じゃどの道祝福は使い切れない。

 なにより顔も私好み♪貴方の苦しむ様を私に見せて。そして泣いて懇願しに来なさいな。必ず私のものにしてあげる。』

第5話いかがでしたか?あとがきコーナーです!ドーモ、ドクシャ=サン。黄色い翁でございます。


いやぁ乙女の会話ってガチでこんな感じじゃない?まぁ私は乙女なんてものではございませんがね。

各サブタイトルの小見出しは遊びです。ええ。遊びですよ!

処女作故、内容が重くなりがち、テンポ悪しなので少しでも軽くなればと思いまして遊んでおります。

あとがき?あとがきは世紀末よ。無法地帯よ。少しでも楽しんでもらえたら幸いです。


さてよくわからない神様出てきましたね。どうでしたか?ちゃんとSAN値削れましたか?

まぁS/Cするなら10or3d6+10くらいかな

ちなみに割と好きなキャラです。どう彼女を表現していこうか迷っております。


今後はまえがきにも記載しましたとおりでございます。以前にも記載しましたが、一応この物語のゴールは決めております。しかし間をどうするかは未定。


こんな内容を詰めてほしい!S/Cをもっとくれ!とか、あとがきちゃんと書け!とかありましたら感想受け付けておりますのでよろしくお願いします。

いうて豆腐をこえる茶碗蒸しメンタルなのでクレームは勘弁してください。なんでもしますからぁ!



長くなりしたがここまで読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる!面白かった!と思っていただけたら、是非評価とブックマークおねがいします。


それではまた会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ