明日へのプロローグ1 遺伝ってすばらしい
4話目です。本日は2話投稿します。
現地入りしましたがもう少しプロローグとして続きます。説明は程々に進めていきます。
ですが段々に始まりは終わりに近づき、新たな物語へと続いていきます。
2020/08/09:お客の容姿等の一部訂正
熱さ、寒さ、痛み、悲しみ、苦しみ、今支配している全てといっても過言ではない。
身体中を見回しても無事な箇所はなく擦過傷、裂傷、火傷と酷い有様だ。
少しずつ眠くなり暗くなってきたのに流れ出る血液が痛みで、焼け爛れた皮膚が熱で、意識を失うことを許してはくれない。
そして何より胸が心がそれら全てを否定し『生きろ』と叫んでいる。
それは怒りゆえの咆哮か。是である。
それは喪失への絶望か。是である。
それは無念による絶叫か。是である。
それはこの原因への憎悪か。是であり否である。
この心の声、いやもう一人の僕の叫びが熱となり、痛みや眠さを凌駕していく。
彼は幼い頃から僕の中にいた。彼は親友であり、兄であり、父であった。その彼が『生きろ』と『消えるな』と泣きながらに叫んでくれているなら僕はまだ意識を手放すわけにはいかないだろう。
しかし己の灯火がそう長くないことは疑いようもない。
最後に伝えなくては。自分の気持ちを。想いを。『彼』に伝えなくてはならない。託さなければならない。時間は残されていない。
ならば、魂をくべようじゃないか。託す為に。僕に出来ることを今するんだ。
だけど・・・・・・どうしてこんな事になったんだろうなぁ・・・大丈夫。まだ寝ないよ。
でも、すこ、し、、、、ねむいかなぁ・・・
僕の名はカレン。ザイル帝国の北に位置する辺境防塞都市ポラリスで育った。
ポラリスの外には大森林が存在しており、そこから溢れるモンスターを塞き止める役割をこの街は担っている。そのため街は大きくなり高い外壁と整備された街中、モンスターを倒す為の冒険者達や騎士団が共に生活している。
だからだろうか。街は常にいろんな人達の活気に溢れ、危険と隣り合わせだけど皆元気に過ごしている。
僕の家族は父さんと母さん。そして妹の四人で生活している。
数年前に教えてもらったが僕は二人の実子ではない。薄々気がついていたし『彼』がいたから驚くことはなかった。
元々僕は冒険者夫婦の子供だった。ポラリスにはクエストで訪れたらしい。
お父さんはそのとき受注したクエストで深手を負って死んでしまった。お母さんは生んで間もない僕を今の両親に預け、お父さんの遺品を回収に大森林へ向かい、回収は出来たけど同じようにモンスターにやられてしまったとのこと。
お母さんの今際の際に立ち会った両親に当時生まれて間もない赤子の僕と遺品の写真を預け、そのまま息を引き取ったと教えてくれた。
僕の見た目はお母さん譲りらしい。黒目黒髪の切れ目。身長はお父さん譲りで高身長だけど全体的に線が細い。それが僕だ。
でも・・・・・・お父さんみたいに光り輝くスキンヘッド、剛毛なところは引き継がなくて良かったと思う。お母さん、本当にありがとう。
妹のキーラは僕と同じ年齢で、今年で14になる。赤髪のロングストレートと琥珀色の瞳。ぱっちりとした目元にスレンダーな体型。お父さんとお母さんのいいとこ取りな可愛い僕の妹だ。
最近はお互いに成長したからか恥ずかしがって会話は少ないけれど仲はいいと思う。
『彼』曰く、「会話が少ないのは思春期だししょうがない。だけどな?俺から見ても二人は異常なほどに仲が良すぎる思うぞ。」などどこを見ているのかイマイチ分からない事をいう。
一緒にお風呂入ったり、一緒の布団で寝ることのどこが「異常なほど」なのだろう。全く持って謎だ。
父さんと母さんは僕を引き取ってから冒険者を引退し、街にある商業地区でちょっと変わった宿屋兼自宅として暮らしている。
そして家族には秘密にしているもう一つの家族がいる。それは幼少の頃から夢の中に出てくる『彼』についてだ。『彼』は僕と同じカレンと言うらしい。詳しいことを聞いても話してくれない。
それでもずっと一緒だったからだろうか。常に見守ってくれていて、夢の中で僕の愚痴や鍛錬についてだったり、許婚についてだったり相談に乗って手助けをしてくれていた。いつの間にか『彼』が僕の中で親友であり兄であり、時には父の様な存在になっていった。
ある日僕は夢の中で、
「僕は思うんだ。カレン兄がいてくれてよかったって。カレン兄との約束で他の人には話していないけどね?カレン兄は僕の家族だと思ってるよ!」
って伝えたときの嬉しそうな恥ずかしそうな顔は忘れられない。
『あぁ。詳しく話せないのは心苦しい。だけどそれ以上に俺はお前の家族だ。いつだって助けてやるよ』
いい家族に恵まれたと思う。ずっと大切にしたい。
それが僕の日常だった。
「兄さん。兄さんってば!起きて~!起きないとキーラが食べるよ?それも全部。ナニとは言わないけど・・・ジュルリ」
「わかったよ起きるから!目が怖いから。ね?笑ってるキーラが一番可愛いよ」
「(もうちょっとだったのに・・・)ありがと兄さん♪さぁ起きて!今日はキーラ達の祝福の儀なんだよ!」
えーと。そうだった。今日は祝福の儀だったっけ。
祝福の儀。全世界の人達は皆14を迎える年に神殿で女神様から神託を受け、祝福を授かる。その祝福は人生の標となりその人の未来を決める儀式だ。
だけど祝福が全てではなく、最も向いている職業を教えてくれるってだけだ。父さんは『付与術師』母さんは『剣客』。だけど今は宿屋の主人と料理人。
「何が起こるかわからないから人生は楽しいんだ」って二人はよく教えてくれる。
だけど上流階級になると祝福が第一だって宿に来た額に一本角の冒険者が言っていた。
最近だと数年前に隣国の貴族の子息が『宿屋』の祝福を貰ったが、それに当主は大激怒。身分剥奪して放逐したとかなんだとか。
そのときカレン兄は『もったいねぇ。祝福の内容は分らないが宿屋経営したら税収以外からの利益になって資金力が上がったんじゃねぇの?』とぼやいていた。
その祝福を与えられる日が来たのだ。僕はキーラに手を引かれながら食卓につき母さんお手製の朝食を頂く。
「お兄ちゃんもキーラもおはよう。いつも仲がいいわねぇ。今日は祝福の儀でしょう?朝食食べたら神殿にいってらっしゃいな。」
「うん!ママおはよう!兄さんがお寝坊さんだからいけないの!キーラの祝福なんだろうなぁ。兄さんのお嫁さんとか?キャー!///」
「馬鹿なこと言ってないでさっさと行こう?僕も早く祝福が気になるんだからさ。あれ?父さんは?いつもの?」
戯れ合いつつも姿が見えない父さんを探す。
「そうなの。パパはいつものよ。カッコいいから仕方ないんだけどねぇ、女性のお客さんの相手をしているわよ。まぁ何かあったら・・・・・・ね?フフフ」
父さんは男の僕から見てもカッコいい。赤髪を後ろに流し、赤い目の虹彩をもつ切れ目に優しさと温かさを備えている。背は高く体格は細すぎず、太すぎず。執事という言葉に尽きる。常に受付と食堂のホール業務をこなしている。
だからかな・・・・・・この宿屋、女性客が大半なんだよね。
母さんは、榛色の髪の毛を後頭部で一つにまとめており、琥珀色の瞳と常に微笑みを忘れない素敵なお姉さんって感じ。普段は厨房にいるんだけど、男性ファンがついているみたい。だけど父さんはそれを許さず、ある日色目を使った男性客に豹変し、付与術全開で叩き出していた。そりゃあ女性ファンが増えましたよ。
とまぁおかげで母さんの嫉妬が凄い。笑っているのに周囲の空気が揺らいでいるのが視認できるくらいに凄い。こうなった母さんは僕ら兄妹は震えるしかない。だって怖すぎるんだもの。
「ママ?昨日パパが蝙蝠羽でエッチなお客さんに言ってたよ?「お嬢様、私は過去も現在も未来もずっと嫁一筋ですので申し訳ございません」って!」
ナイスだよキーラ!ほら!見えるかい。母さんの周りがお花畑になったよ。
「キャー///もぅ!パパったら!ほんと素敵ぃ!今晩ご奉仕してあげなきゃ♪」
この温度差には僕も妹も馴れない。というか生生しいのでやめていただきたい。
ほら。キーラが真っ赤になってるよ。
「さてそろそろ準備して行ってくるよ。キーラ行こうか!行ってきます。」
僕はキーラの手を引いて神殿に向かう為に家を出た。
はいはい!あとがきです!黄色い翁です!
いかがでしたか?フラグ回収が早いって?いやいや。縁、心、気持ちを表現していくに当たって悩みましたが冒頭のようになりました。
ハーレムは今のところ予定してません。
もしかしたら2、3ほどになるかも?予定は未定!
設定を投稿するか検討中です。
なので現状サクッと書き出します。
・カレン(南條華蓮)主人公 リリエルの夫
ニート→絶望→自殺→転生→共存共生
[祝福]気の獲得者、リリエルの伴侶 ??? ??? ??? ???
[スキル]
―説明―
元アラサー男子。普通の人間。魂が強く美しい(リリエル談)
・リリエル メインヒロイン カレンの嫁
カレンと仲良くなる→神様特権で既成事実→祝福使って覗き中
[祝福]カレン(南條華蓮)の伴侶 非公開
[スキル]非公開
―説明―
輪廻転生の権能を司る女神様。美人。美乳。ヤ■■■
とりあえずはこんな感じでしょうか?
いやぁ神様とかと相対する描写ってどうしてもSAN値削りたくなるんですよねぇ!
ということでここまで読んでくださりありがとうございました!
もし、続きが気になる!面白い!と思っていただけましたら、評価とブックマークをよろしくおねがいします。
それではまた会いましょう。