幕間 ―名前を変更しますか?―
祝20話目。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。
あとがきでお会いしましょう。
邪神。それは今から250年ほど前にファタルを脅かした存在である。彼らは五柱おり、魔王を生み出し世界を破壊せんと暴虐の限りを尽くしたという。
それを阻止したのは創造神を始めとする神々により異世界から召喚された五人の少年少女だった。
世界を救う旅に出た彼らはやがて英雄となり、魔王を消滅させ、邪神達も封印することに成功したのだ。
やがて勇者と呼ばれた彼らは国を興し、神聖国家ガレリアと名乗り神々の教えを説いていったのだ。
―――これが僕の知っている、この世界の人たちが知っている常識であった。
常識のはずだ。
しかし・・・・・・目の前で繰り広げられる光景が僕を混乱させていた。
目の前にいるは邪神とされている五柱である。
なのになんだろう。この光景は。
紅い白金髪の美女がお酒?を煽りお腹を抱え笑っている。。
まるでどこまでも続く透き通った青空のような髪色のショートカットの少女が黙々とお菓子を頬張る。
黒より黒いはずなのに、夜空に浮かぶ星星の様な輝きを持つ美女が微笑む。
彼女達の中心にいるのは、見事な土下座をして泣いているツルツル頭の男性であった。
本来もう一人純白金色ストレートの女性、リリエル様がいたんだけど、「私が危ない!ちょっと行ってくる!」と言い残し消えてしまった。
さて目の前の四人。四柱と言った方が正しいかもね。
紅い白金色のツーサイドアップの超美少女、フォリエル様。彼女は鍛冶と闘争の女神だそうで、見た目とは違い男らしいサバサバとした神様だ。
お次は蒼穹色で髪の短い「違う。ウルフカット。」・・・・・・はい。ウルフカットが似合うこれまた美少女、豊穣と衰退の女神ディリエル様。
三人目は漆黒なのに夜空のように輝くサイドポニーの高級娼「うふふ。・・・・・・ナイスバディと言ってね?」・・・・・・ナイスバディな御妃様のような女性、破滅の女神ルルエル様。
そして・・・・・・最後。終始ルルエル様に土下座をしている禿頭の男性、創造神ファタル様である。
何故僕がここにいるのか。手短に説明すると、僕はカレン兄を救う為に神魔法を使った。勿論代償はあって、それは僕の魂の所有権。
半分は力の行使に使う燃料として、残り半分はあの時僕らを助ける為に介入してくれたリリエル様に譲渡するという条件で〈セイクリッド・エノク〉を発動したんだ。
本来は消滅するところをリリエル様に助けられたことになったわけで、凄くカッコいいけど疲労が隠せていない男の人に連れてこられた場所が冥界門の正面。
リリエル様にご挨拶していただいて他を見たらこれである。
本当に彼らは神様なのか不安になるほど人間くさい。
「フハハ。カレンよ、本当に我らは神なんだぞ?」
「あなた?誰が喋っていいといったのかしら?―――「ヒィッ」ウフフ。カレン?夫の言ってることは本当なのよ?私達はこの下半身の神のミスで神の座というところから引きずり落とされたのよ?」
すごく美人な人が笑顔で怒るとこんなに怖いんだ・・・・・・クレアとかは・・・・・・うーんすごく素直で優しいから想像できないや。キーラは・・・・・・うん。噴火って言葉が当てはまるね。
「あらあら。女の子が怒る時はね?凄く哀しいのよ?泣けなくなるくらいに辛いの。だからあの二人を大切にしていたカレンはいい子よ。・・・・・・こんな夫と違ってね。」
やっぱり僕の声が聞こえてる。
「当たり前。私達、神だから。」
言葉少なげに的確に説明するはディリエル様。お人形みたいに可愛い。あっ・・・・・・
「うん。知ってる。」
あ、ご存知だったようで。
「まぁまぁ!そろそろこいつに現状を話したほうがいいんじゃないか?」
ケラケラと笑っていた美少女フォリエル様が本題を投げてくれた。
「おう。知ってるぜありがとな!」
なんとさっぱりしたお方だろう。男「あん?」―――失礼しました。カッコいい女性だね。
「ウフフ。そうね。この役立たずは置いて説明しましょうね。それよりも今貴方はリリちゃんの所有物みたいになっているのは理解しているかしら?それと今後のために名前を変えましょうね。」
ファタル様は泣いているが土下座は崩さない。何があったんだろう。
さておき、リリちゃん・・・・・・リリエル様のことかな?それは理解してる。そういう約束だったからね。
だけど・・・・・・名前を変える?のは何故?
「聡い子ねぇ。素敵なご両親に育ててもらいましたね。名前を変えるのは、貴方の魂の所有者が貴方ではないからよ?わかる?」
・・・・・・あーそうか。所有権を放棄してリリエル様に渡ったからか。本来は恐らく半分が僕のモノだったけどカレン兄と魔法に使ったから・・・・・・
「本当に素敵な子ね。そうよその通りよ。よって貴方に名前を与えないとリリちゃんもまずいことになっちゃうの。それ以上にあの子の本体が今凄く危険だから席を外しているんだけどね?
まあ理由はさておき、これから貴方に名前を与えます。ほら、あなた。仕事よ。」
リリエル様が危ない?カレン兄は知っているのかな?お嫁さんが危ないって・・・・・・
「はい。ルルエル様の仰るとおりに彼の者に名前を授けさせていただきます。」
ファタル様!?目の色が無いよ!大丈夫なんですか!?
「フハハ!なぁに気にすることはないぞ!我のこ「・・・・・・ウフフ。」―――はい。ご心配無用でございます。貴方様は今後「カル」となります。どうぞお忘れなきようお気をつけください。」
カル。カル・・・・・・うん!いい響き!カレン兄と名前が変わったことに寂しさがあるけど、でもこれもいい名前だ!
「お?決まったみたいだな!よろしくなカル!」
「カル。よろしく。」
「ウフフ。よかったわねカルちゃん。」
「フハハハハ!そうだろう?いい名前だろう!だって我が決めた名だからな!」
「ディリちゃん?権能使っていいわよ♪」
「らじゃ」
「Noオオオオオオオオオオオオオオオ」
ありがとうございます。カルとしてよろしく?お願いします。
「おう。んじゃここからは俺がさくっと説明するぜ。どうして俺達がここにいるか―――はそのうち分かる。なぜお前がここに呼ばれたかもそのうちな。
重要なことはこれからのお前の仕事内容だ。」
「え。後々なんですか?・・・・・・分かりました。僕に仕事?ですか?」
「ああそうだ。お前はカレンと別離したわけなんだが、お前の魂がカレンにも流れている。故にだ!
お前はそのつながりを辿ってカレンを観察するんだ。」
「脳筋。説明足りない。カル、リリエルの下僕。本来仕事手伝う。おk?」
「姉様!私脳筋じゃありません!っといけね。まぁ本来はリリエルの仕事の手伝いなんだが、今あいつ本体の方に出払っているだろ?おかげでカレンを観測できないんだ。だから観測する為にお前の力が必要ってことだな。わかったか?」
なるほど。リリエル様は襲われそうになっていて、本体に帰還していると。
観測する意味が分からないんだけど・・・・・・
「あ?だって将来の旦那だからな。」
「私達の婿。」
は?
「だから・・・・・・私達の将来の旦那なんだってば///」
「父」
カレン兄いいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
僕は初めてカレン兄に嫉妬したよ!
フォリエル様!?なんでそんな可愛くなっちゃったの!?
ディリエル様はすっ飛ばしすぎぃぃぃ!?
「うふふ私の新しい夫かしら?」
ルルエル様ぁぁぁっぁぁ!?
おいファタル様!それでいいのか!?あんたのお嫁さんやばいよ!?
「おおカルよ・・・・・・お主の優しさが染みるぞ。嫁と言ってもだなビジネスパートナー的なやつでな?創世当初から一切閨を共にしたことがないのだよ。子供達は我とルルの神気を混ぜ合わせて出来ただけだからな。だから下界に下りて色んな女性と関係をだな―――」
こいつはもっと駄目なやつじゃないかああああああああああああ!
神様達の夜の事情は知らないけれどさ!夫婦なら話し合おうよ!関係を持ってくれないからって・・・・・・は?下界!?
「あらあら・・・・・・あなた?貴方の言い分は分かるけれど、一切の相談なしで下界が安定したからといって地上の女を孕ませたのはどこのどいつかしらぁ?」
「その節は本当に申し訳ございませんでしたぁ!・・・・・・ってことは我と一緒に閨―――」
「最初からありえないわね。神学校のころから女性にだらしが無いのは有名だったし、配属先が一緒になって絶望もしたわ。だけどディリちゃん、フォリちゃん、リリちゃんが生まれたから一緒にいるの。わかるかしら?しかも一度ならず何度も何度も何度も!本当に最低ね。」
「ごっふぁあぁぁぁ!」
あーそういう経緯ですか。ファタル様って最低ですね。女の敵ですね。同じ男として軽蔑します。
「」
白目を剥いて気絶してしまった・・・・・・少し反省してもらいましょう。
「おー!カル!いいねぇ!」
「ん。カレンと一緒にいただけはある。」
「ウフフ。本当にいいこよねぇ。」
「わかりました。僕はカレン兄の観測やってみます。すぐに出来そうなんですが、どうしたらいいですか?」
「あらあら。力の使い方もなんとなくで理解しているのね?そうしたら、この薄い板に向かって観測してみなさい。」
そういって指定されたのは確かに板だったけど、真っ黒な板。少し薄く感じるんだけど・・・・・・言うとおりにカレン兄の観測を始める。
「ん。捉えました!」
「おう。そのままはっきりと視るんだぞ。そうすれば万事解決だぜ!」
鮮明にカレン兄を捉える。ここは・・・・・・大森林の中?に町・・・・・・これは!?
町中に人の死体が無造作に転がっている。町の中央からカレン兄は出てきた所みたいだけど、服はボロボロで所々出血の痕が見える。
だけど剥き出しになっている肌は綺麗なままでどこかチグハグな感じだ。
それに髪の色と目の色が変わっていた。髪は黒髪なのにルルエル様と同じ星のように煌いている。目は金色に輝き人間とは思えない。
カレン兄・・・・・・一体何があったの!?
キーラとクレアはどうしちゃったの?!
「落ち着けカル。大丈夫だ。クレアも生きているし、キーラはポラリスでお前の両親と生活しているぞ。」
「カル。集中。」
「あら?あらあら!なんてかっこよくなっちゃって!あ~ん私と同じ髪の色とかドストライクなんだけどぉ!リリちゃんに本気で相談しなきゃ駄目ねぇ・・・・・・ちょっと行ってくるぅ!」
「ほう。選択しよったか。ルルのことは・・・・・・まあよかろう。うむ、よい神気だ。」
思い思いに口にだしてくるが、フォリエル様ありがとう。大丈夫です。
僕が視ている視界がそのまま黒い板に反映され全員で盛り上がってる。
「これは・・・・・・」
「あーまあ深く気にするな。っとなんかカレンこっち見てないか?」
「ん。何か叫んだ。あ、頭抱えた。かわ。」
『おい。見捨てるなんて非常な神様だよなぁ!元勇者御一行様方ぁ!?』
カレン兄!?
「くっはっはっはははっははは!あやつめ。リリエルを助けると叫ぶだけでは飽き足らず、やつらに喧嘩を吹っかけるか!いい!すばらしいぞ!見せてみるがい。」
ファタル様が涙を浮かべ本気で笑っている。この人禿頭だけどすごくカッコいいんだよね。
「カルよ。あまり褒めるでないぞ。当たり前のことだからなぁ!」
うん・・・・・・褒めるのは適度にしておくよ。
そうこうしているうちに、カレン兄の前に光の柱が降り注ぎ、その中から五人の男女が現れた。
僕は息が止まる。あいつが、あいつがいる!全ての元凶。ラヴィエルがそこにいた。
ってことは彼らは・・・・・・カレン兄、どうか無茶だけはやめてね。
僕はこのときファタル様の一言が聞こえていなかった。
「さあ見守ろうぞ。新たな神の産声である。」
はいどうも黄色い翁でございます。
幕間が短いといったな。・・・・・・あれは嘘だ。
いやぁ長くなってしまいました。
ギャグではないけど、軽めで行こうとしたら文字数の多さに翁びっくり。
カットカットです。
それでも普段と変わらない文字数になってしまったんです。反省。
冥界の門のど真ん中で行われている茶番シリーズ。
名前もカルと変更しました。というか本来はカルとカレンで分けていたのですが、一つにまとめたという経緯がございました。
翁としては本来の名前に戻った感じがしてスッとしております。
さて次回からは本編に戻りまして物語りは進んでいきます。
どうかお楽しみください。
最後にここまでお読みくださりありがとうございます。
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それではまた会いましょう。黄色い翁でした。