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ドラグーンゲート  作者: かわせみ
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第二話 異なる世界

「う…うーん…う!?うええ…」


 目を覚ました宗一郎は身体を浮かせられ、渦によってかき回されたからか強烈な吐き気に襲われていた。


「ここは…?あれ!?」


 あたりを見回すと、そこは先程の原っぱだった。だが違う。石柱が真新しいものになっていた。そしてなにより…


「お、俺だけ?」


 宗一郎だけが原っぱに取り残されていた。

 身を起こし、あたりの様子を伺う宗一郎。だが、周りには自分しかいない。


「うーむ…あの強烈な光の後の記憶があやふやなんだよなあ…」


 携帯を取り出し、連絡を試みるが電源が入らない。


「あれ?壊れたか…?まあ仕方ない。なら一旦山降りるか。家からあいつらに連絡取ってみよう」


 そうして下山を始めようとした時、ふと気付いた。


 石柱の上に手記が置いたままである。


 手にとった瞬間、記憶がつながる。


「あ…あの時…!俺、光に引きずり込まれた!で、四葉が俺を助けようとしてたけど届かなくて…最後はあいつらの身体も浮いて…」


 その時、宗一郎の正面の茂みから何かが飛び出してきた。


 赤い眼光、黒みの強い茶色の体毛、そして四本足で立っている。ちょっと眼がヤバい犬といえばそれまでだがそうではなかった。かなり大きい。セントバーナードくらいあるのではなかろうか。


 それがよだれを垂らし、牙をむき出しにして宗一郎を睨んでいた。


 宗一郎は直感的にいくつか選択肢が浮かんだがどれも無意味だった。


 選択肢1.逃げる…明らかに自分よりデカい上に野生の動物?だ。奇襲してこなかったあたりから考えても自分の脚では追いつかれてごちそうさま。


 選択肢2.戦う…無理。ごちそうさま。


 選択肢3.誰か助けてくれる…もはや希望的観測過ぎて草すら生えない。ごちそうさま。


 腹を決めた宗一郎。1と3が無理な以上、最後の意地で立ち向かおうとしたその時。


 ビュッ!! ドッ!!


 風切り音と何かが強烈に刺さる音がした。


 呻くセントバーナードもどき。


 見れば身体に深々と矢が刺さっている


 また背後から風切り音が鳴る。


 矢が2本刺さったところでよろけながら茂みに戻って行く。


 やっと状況を理解した宗一郎は、まさかの選択肢3成立に歓喜する。が、そんな間もなく矢の主が駆け寄り、彼の腕を強引に引っ張って全力で走る。


「お、おい…」


「いいから。黙って。付いてきて。」


 引っ張っている人物は深々とフードを被っているが声質は女性のようだった。


 しばらく走り、山を下りきったあたりでようやく止まった。


 そして、女性はフードを脱ぎ去り、中から現れた鮮やかな長い金髪が月明かりに照らされた。


「キミ。何考えてんの?あんなひらけた所のど真ん中でボーッと突っ立ってるなんて。」


 エメラルドグリーンの瞳に鋭く睨まれる宗一郎。


「い、いや俺にもなにがなんだか…」


 状況の理解が追いつかないなか、違和感に気づく。


 金髪。エメラルドグリーンの瞳。そして民族衣装のような花飾りのついた革製の服。


 どう考えても日本人ではない。なのに何故か言葉が通じる


 まてまて、今時日本語しか話せない外国人だっているだろう。と自分に言い聞かせるが、それだけでは説明のつかない大きな弓をどう解釈するか思案にふけっていたが、先に聞かれた。


「ところでキミ…その服は?どこの国から来たの…?」


 宗一郎が着ていたのはなんの変哲もない、Tシャツにジーンズだったが、彼女は不思議そうに眺めていた。


「ていうか、そんな格好でよくあの山に入れたわね。幼獣とはいえレッサーファング相手じゃその装備ではまず5秒保たないわね。超人的な身体能力があるなら話は違うけど…」


 宗一郎を上から下までジロジロ見回すとため息ついて一言。


「大して取り柄もなさそうな貧相な身体だものね。そんなのないわよね」


 この娘。美人ではあるがトゲがあった。美人の放つ強烈なトゲは健全な一般男子、宗一郎のハートに傷をつける事など造作もなかった。


 一旦心の傷をしまい、問いかける宗一郎。


「な、なあ多分…多分なんだけどここって日本じゃないよね?」


 首をかしげる娘。


「ニホン…?そこがキミの国?なら残念ながら違うわ。ここは東方の国「ルーブ王国」よ」


 耳を疑った。ここが日本ではない。国内に外国があるなんて話はもちろん聞いたことがない。


「待て待て。船も飛行機も使わずに外国へ行くなんてあり得ない」


「ヒコウキ…?っていうのは何かの乗り物?でも、事実は事実よ。ここは多分キミの国ではない」


 その言葉に現実を突きつけられた宗一郎はがっくりうなだれた。


 そんな様子を不憫に思ったのか優しげに語りかける少女。


「うーん。とりあえず私の村へ来る?といっても田舎村だから特に面白みもないんだけど。でも、こんなとこいたらレッサーファングどころか今度は野盗に襲われるわよ」


「ここはお言葉に甘えるか…わかった。頼むよ。えっと…」


「私はリース」


「リースか。俺は赤井 宗一郎だ。」


「名前まで変なの…」


 ここに来てようやくその一言共に初めてリースが笑ってくれたのでここまでの心のダメージをチャラにしてしまう男の子な宗一郎であった。


 リースの村へ向かう道中、宗一郎は色々聞いた。


 彼女は普段狩りをしている山で突然まばゆい光を見つけた。


 駆けつけると同い年くらいの男がいた。しかも目の前にはレッサーファング。


 どう考えても緊急事態と判断し矢を放った事。


 レッサーファングの幼獣はこの時期山を徘徊し、狩りの練習をするという事。


 その後獲物を親へ届け、成長して行くという事だ。


 そして彼が一番驚愕し、戦慄したのはとにかく早く山から降りないとレッサーファングの成獣が報復に来ることだった。


 そんな話を聞いてるうちにあることを思い出した。

 泰三の話である。


「(てっきり先にあいつら帰ったもんだと思ってたが…ここまで強烈な出来事が続くと真実味を帯びてくるな…まさか別の世界に来てしまったのか…?普通に俺の知ってる世界じゃ犬の目は光らないしな)」


 その思考に至ると一気に不安が吹き出て来る。


「(もし仮にマジで異世界だとしたら!?アイツらの身体も浮いてたの見たぞ…まさかあいつらもこの世界に…?)」


 絞るように問いかける


「なあ…リース…」


「なに?」


「その…俺の他に似たようなカッコしたやつ、居なかった?男一人に女二人」


「お友達?残念ながら宗一郎だけよ。見かけたのは」


 深くため息をつく宗一郎。


「ああ。友達なんだ。あいつらも自慢じゃないが俺のように戦闘なんてできっこないんだ…もしさっきのレッサーファングみたいなのに出会ったら…」


 暗くなる宗一郎に対し元気づけようと言葉を探すリース。言動の割に意外と他者を思いやることができる良い子である。


「…そういう事なら村に相談出来そうな人がいるわ。長老様。どちらにせよ紹介するつもりだったし。宗一郎みたいな人、もし出会うことがあればその人を長老の元へ連れて来なさいって言い伝えがあるの」


 首をかしげる宗一郎。


「俺みたいな?」


 頷くリース。


「異国の旅人出会いしとき。長老を訪ねよ。異国の旅人は異大陸の旅人にあらず。我らと異る装束を纏い、我らと異る文明をも持つ者たちなり。いずれ開かれる扉に備えよ…これが言い伝え。ね?まさに宗一郎でしょ?最後の方はよくわかんないけどね」


「なるほど…おおよそ当たってたわけだ。お袋の小言無視してずっとファンタジーモノのRPGやってたお陰かすんなり理解できるぜ。あとは友達は信じるもんだな」


 今度はリースが首をかしげる。


「…?よ、よくわかんないけどとりあえずついたわよ。ここが村の門。長老様の家行く前に一旦私の家ね。弓を降ろしたいし」


 木でできた巨大な門。そして岩が積み上げられた大きな塀。珍しさを噛み締めながらも、これほどの門を用意しなければならないというこの地の危うさにも一抹の不安を覚えながら宗一郎は門をくぐった。











ご覧頂きありがとうございます。

かわせみです。

今回のお話でようやく異世界編始まりました。

離れ離れになった仲間たちと新キャラリースちゃん登場で物語が動き始めました。

次回は長老様登場です!


次回もご覧頂けましたら幸いです。

では!

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