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錬金術師の無双劇  作者: ツッチー
6/17

1ー6

「グッ……結構染みるな」


僕は先程から血の流れでていた肩を止血していた。


とは言っても簡単なもので、肩の辺りを自分の服を少し破り縛る。


そして急ごしらえではあるが薬草を丸薬に加工して飲み込んだ。


勿論、傷口はしっかりと洗った。


「…さて、そろそろ行くか」


止血してから三十分程たちようやくまともに動けるようになった。


丸薬はポーションと比べて即効性は無いが素材が薬草だけで済むのが一番のポイントだ。


そうでも無かったら丸薬なんて使われる事すらしないだろう。


効果が微妙すぎるからな。


そしてさらに三十分程歩きようやく街道に出ることが出来た。


ここまで来れば一安心だろう。


魔物は何故か知らないが街道を避けるからだ。


そして街が見えてきて出る時に担当していた兵士と再び会った。


見た目は盗賊並に悪いが根は優しくお節介だ。


これは短い付き合いの中でも分かった。


「おい小僧、この傷どうした」

「これですか?これはヴィザーズウルフに出会った時にちょっと……」

「ヴィザーズウルフ!?お前よく生きてたな」

「まぁ何とかですね」


僕は苦笑いしながら言葉を返した。


そして兵士さんは僕の話を聞くと配給用のポーションを一つ渡してくれた。


それを拒む理由もないので貰っておいた。


一口飲むだけで肩の痛みが引いてきた。


やはり丸薬とは違う、効果の効きが早い。


まぁ折れた腕の骨まではどうにもならないようだが。


だが完全に治る、とまでは行かなかったが痛みは無くなった。


僕はポーションをくれた兵士に礼を言って冒険者ギルドに向かった。


冒険者ギルドに入ると視線が僕に集まった。


夕方頃だからだろうか、依頼の終わった人が多くギルド内に置かれている酒場には様々な役職の冒険者がいる。


その視線が全て僕に集まっているのだ。


「リンさんー、早く来てくださいー」


シェーラが大きく手を振ってこっち早く来いと催促しているのを見て周りの冒険者はより殺気立った。


僕はその中をビクビクしながら歩いて行った。


「リンさん、その肩を治療しますので着いてきて下さい」

「……はい」


僕はそれに従い二階に上がった。


しばらくしてから一階から激しい、悲痛な声が上がった気がするが僕は何も聞かないことにした。


▶◀▶◀▶◀▶◀▶◀▶◀▶◀▶▶◀▶◀▶◀▶◀


「じゃあそこに座ってくれる?」

「はい」


僕はシェーラさんの言葉に素直に従った。


シェーラさんは常備されている医療箱を開けると中から回復薬《中》を出した。


それを肩に直接掛けられ地味に痛いが我慢できない程ではなかった。


そして折れた腕も痛みが完全に引いた。


骨折なら回復薬《中》で効くのか。


そして包帯に残りの液体を染み込ませるようにして僕が応急処置で巻いた布切れの代わりに真っ白な包帯が肩に巻かれた。


「───よしっ、これで大丈夫なはず。しばらくは激しく肩を動かさないでね」

「は、はい。ありがとうございます」

「そんなに恐縮しないで、担当の冒険者の傷を治すのは私たちの仕事でもあるから」


そうは言ってくれるが僕の心の中は申し訳なさで一杯だった。


少し項垂れていると顔に程よい弾力といい匂いが鼻腔を刺激してきた。


「モガ!?」

「ほら暴れないで、最初は皆失敗して成長していくんだから今の内に悲しんで起きなさい。胸ならいくらでも貸して上げるんだから」


全く違うことを心配してくれているシェーラさんの胸が僕を優しく包んでくれた。


男性ならば誰もが顔を埋めたいと思われる深淵の深みへと僕の顔はダイブしていた。


更に受付嬢の制服のためよりそこが強調されていた。


何とか息が出来るようにするのが精々だった。


この状態のまま何秒経っただろうか。


自分では数分にも感じれたが本当に数秒だったのかもしれない。


少しだけ名残惜しいと思いながらもそれは顔に出さない様に努めた。


「フゥ…大丈夫?」

「ふぁ、ふぁい」


大丈夫ではあるが大丈夫では無い。


自分の息子がフルになっているため少しばかり前屈みにならなければならなかったがすぐに治めさせた。


ここで女性に痴態を見せる訳にもいかないからだ。


よくよく見ればシェーラも少しだけ頬が赤く染まっている。


今更恥ずかしさが込み上げていきたのかもしれない。


そんな状態に見舞われながらも真面目な話にシフトチェンジした。


「それじゃあ真面目な話をするよ。正直な話薬草に関してはどうにでもなる。それよりリンさん、貴方が怪我をすること自体が問題なんです」

「ぼ、僕がですか?」

「はい、貴方がです」


そう言われても僕にはピンとくる物が何も無かった。


自分のステータスも平凡な物だと思うしレベルも全然上がってない、ステータス的にはほぼ全裸の様な状態で魔物と戦って怪我をしたのだからこれは当たり前なのだろう。


そんな僕にシェーラさんは何処に置いていたのか、フリップを見してくれた。


そこには初期レベル、いわゆるレベル一の冒険者の平均値が表示されていた。


「……嘘だろおい」


僕がこの言葉を口にしたのは平均値が僕を上回っている訳でも下回っている訳でも無く、ほぼ同格だからだ。


生産職は本来冒険者の様な高いステータスを保有することが出来ない。


戦闘が本職ではないからだ。


トップレベルの冒険者で生産職の冒険者も数人いるのだが全員エルフやドワーフなどと言った長命な種族だけである。


そして自分の職業は見るからに生産職だ。


だと言うのにステータスは戦闘職の冒険者とほぼ同じ。


剣士とかよりも魔術師寄りのステータスだ。


「それでも何か問題があるんですか?」


そして冒険者のステータスの平均値を見ても何が問題か良くわかならかった。


「そうだね、少し言葉を間違えたかな。リンさんが怪我をすることは勿論問題でもある。でも何故怪我だけで済んだのかが一番疑問なんだよね」

「そ、それは──」

「うん、大体分かりますよ。本来だったら使ってはいけない技ですものね。私みたいな人じゃなきゃ『裏切り者』、なんて言われてますよ」


僕はその言葉を聞いて顔から血の気が引いた。


僕の使った技、魔力を直接操作し身体や武器に纏わせる技術は主に魔族が使用している。


昔は人も使っていたのだが、既にその技は伝承されていく中で魔力の使用効率が悪いと言うことで淘汰されていったのだ。


そして現在使えるのは魔族のみ。


人が使えるとなると魔族と繋がっていると見なされてしまうのだ。


背中に冷や汗が流れるのを感じながら罪を犯し裁判の結果を待っている人の様に身体がガチガチに固まった。


「大丈夫、もし何かがあっても私が守ってあげるから」

「あっ─────はい」


先程のようなふざけた感じの抱擁ではなく、包み込むような、暖かく安心出来る抱擁だった。


いつか本当に惚れそうで怖くなったのはここだけの話である。





==================

名前:リン 職業:錬金術師 Lv.10


攻撃:34 《14up》

俊敏:23 《14up》

防御:19 《14up》

魔力:26 《7up》

魔耐:28 《7up》


スキル

『錬金術』

・識別

・略式

・合成

・錬成

ストック

《》

《》

《》

《》

・魔力武装《New》


『火魔法』

・火生成

・火玉

・火矢

火壁(ファイアーウォール)《New》


『土魔法』

・土生成

・石礫

・土壁

洞窟(トンネル)


『水魔法』

・水生成

・水玉

・水毒

水玉爆弾(スプラッシュボム)


『風魔法』

・風生成

・突風

・風矢

・????


=====================


『魔力武装』

武器や自分に魔力を纏わせ一時的に能力を向上させる事が出来る。また、属性を持つ魔力を纏わせることも出来その属性が持つ特徴を顕現させる事が出来る。

消費魔力 10秒事に5~10


『火壁』

火で作れる即席の壁。それ以上でもそれ以下でもない。

消費魔力 10~90


『洞窟』

壁や地面に穴を開けることが可能。ただし、掘り抜く長さによって消費魔力は上昇する。

消費魔力 1m事に2


『水玉爆弾』

水玉を作り衝撃が加わるとクレーターが出来るほどの威力を発揮する対多用の攻撃魔法。威力は魔力を調整する事によって増減可能。

消費魔力 2~999

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