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時の扉と茨の鎖

 【時の扉】を開ける鍵は手の中にある。

 でも、その鍵は【茨の鎖】で繋がれていた。

 鎖はぼくの体に巻き付き、自由を奪う。未来と引き換えに入手するものは『過去の記録』、つまりは”情報”だ。

 ここに来る前、管理責任者である担当教員から鍵を預かる際にこう告げられた。


「文化祭の準備のために以前の企画書を参照するとは研究熱心だね。ただまあ、保管庫は新生徒会が組織された後、最初に数年前のファイルを準備室から移動したきりなんだ。あまり整理されているとは言えないぞ」


 申し訳なさそうな先生の声。だが、ぼくはその言葉にひとつの希望を見出した。

 彼女は手の届く範囲でしか情報を精査していない。

 それを怠慢と責めるのは流石に厳しいだろう。なぜなら先輩は副会長の身分でありながら、その役割以上の仕事と職責を背負わされているからだ。

 すべてはこの学校の生徒たちのためである。

 そして、ぼくはただひとりの友達のために彼女を裏切るのだ。

 もはや後戻りは出来ない。地獄へと通じる道を自らの善意で突き進むのは自分の意志だ。


「仕方がないさ。こうまでしなければ、あの人には勝てない……」


 自嘲気味につぶやいた後、鍵穴にキーを差し込む。

 シリンダーを回し、ロックが解除されたのを確かめ、静かにドアを開いた。

 視界に雑然とファイルが収められた、たくさんの書架が映る。

 求めるものはただひとつ。ぼくらが生まれる、ずっとずっと前の記録。原初の物語だ……。

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