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(異)世界は掌の上で  作者: 倫理観
~創造神(仮)の研修期~
5/23

4 / 夢の創造


 とりあえずカルヴェリオンには状況を理解してもらえたな。


「次は……」


 光だな。

 太陽って創って大丈夫か?

 距離が分からないから創った途端にこの世界が火の海になりかねない。

 一度創ってしまったら破壊も出来ないから取り返しのつかないことになる。

 向こうの世界と同じように出来ないものか。


「あ、そっか!」


 だからイメージで創造出来るようになってるのか。

 何となくでもその通りになるから明確な理論や数式を並べる必要なんてないんだ。

 そう言えば、異世界作品の異世界も、向こうの世界と似てる部分もあるけど違う部分もある。


 それって作者の都合が良いように物語を作れるからだよな。

 物理法則も環境も異世界だから違って当然のハズなのに、何故か現実にある中途半端な知識を使って説明しようとするから、どこかの掲示板で叩かれてる作品もあった。

 異世界だから、という理由でいいと俺は思うんだがな。


 自分のいた世界が普通だと思ってたものだから、ついついその普通に合わせなければならないと無意識のうちにそうしようとしていた。

 ただ太陽という熱と光を発する物体が空にあるだけでいい。

 当たり前じゃない世界が、これから普通になるわけだ。

 俺が創らなきゃ、全部無なわけだし。



「現れよ、太陽」


 太陽のイメージを空に向けて放ったはずだったが、特に変化はない。

 流石に太陽はムリなのか。

 スーツに付いた埃を払っていると、視界がモノクロ写真のように白と黒だけになった。


 !?


 何度か暗転するうちに、影が伸びはじめた。


「おっ」


 モノクロの世界が色付いてゆく。

 太陽を探して空を見上げた。

 雲も星も、遮るものは何一つない、夜中だ。

 真っ暗な夜空を仰いで、星のイメージを頭の中に描いた。


[メニュー]

 ――――――――――――――――――

 進捗状況 経過時間:58M

 1日目

 歴史情報 1MP「太陽が創造されました」

 21SP「光を創造、影が後追いで創造されました」

 1SP「星を999以上創造しました」

 生物情報 龍1

 天地創造 タップすると詳細を開くことができます

 生物創造 タップすると詳細を開くことができます


 オプション タップするとオプション画面に移ります

 ――――――――――――――――――


 目を開けると、そこには言葉を失うほど、この世とは思えない光景が広がっていた。

 強く輝く一等星、空白を無くすように散らばる他の小さな星々が、光のなかった世界に光を与えた。

 都会での一人暮らし、月5万の賃貸から見上げる切り取られた世界とは真逆の、夢を実現させる世界。

 どこまでも続く銀河は、世界が歩む道を指し示しているように。


 この胸の熱さは、なんだ。

 これから始まる異世界での生活への不安か?

 あの時死んでしまったことへの後悔か?

 違うといえば、嘘になる。


 不安だ。

 俺には、この世界の全てを導いていく義務がある。

 きっと楽しいことだけじゃないんだろう。

 目の前の現実に苦悩することも、時には涙が零れる場面に直面するかもしれない。


 でも、数え切れないほどの可能性と命を創り出す力が俺に与えられたんだ。

 幼き頃の俺が見た、憧れの世界を、俺が自分の手で創ってやる。


 過去の俺に言葉をかけるなら、敢えてこんな言葉をかけよう。


「どんな夢も叶う。揶揄されることも、その事で悩むこともあるだろう。でもお前が夢を大切に持ち続けるなら、俺が未来で、お前の夢を叶えてやる」


 未来のこの世界に生きるモノの全ての希望や夢が、今俺に託されている。

 異世界転生者だけじゃない、モンスターたちだっている。

 いつか理想の世界が実現して、みんなで笑える日が来たなら。

 その時は、祝杯をあげようじゃないか。


「この世界の未来に」


 創造したビールを、口に流し込んだ。

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