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(異)世界は掌の上で  作者: 倫理観
~創造神(仮)の研修期~
4/23

3 / マイ ワールド


 手の震えが止まらない。

 さっきまで可愛げのある小動物のようなドラゴンが、何千年も生き抜いてきた風格の漂う黒龍へと姿を変えたのだ。

 生まれたのが数分前ということを忘れそうだ。


「つよっそ……」


 ステータスかくに…ん!?


[生物情報]

 ――――――――――――――――――

 総合評価SSS

 名前 カルヴェリオン

 種族 飛龍

 系統 知力系

 形態 第二形態

 固有スキル メテオレイン

 Lv 1/10000

 生存時間 

 ステータス HP:36880

 STR:6800

 DEX:6780

 DEF:4270

 AGI:3660

 INT:8630

 MND:8500

 LUK:5110

 CHA:9700

 後天性スキル:無し

 出身地 名前がありません

 ―――――――――――――――――――


 ぜんっぜん可愛くねえ……ステータス跳ね上がってるし。

 進化とかすると一気に上がるものだなあ…。

 ん?


 カルヴェリオンが顔をこちらに近づけてきている。


「あ、どうもこんにちは」


 そう言うと、噴煙をさらにあげられた。


 え、大丈夫だよな?

 異世界転生に憧れて死んだのに、異世界でも死ぬなんて勘弁してくれよ。


 予備動作の後に、頭を噛まれた。


「お?」


 カルヴェリオンも困惑しているのか、何度か噛みなおしているが、全て通り抜けてしまっている。


「おいおい。俺が噛めないのかな?ははは」


 カルヴェリオンは噛むのを諦めて、世界を鋭い目で見た。

 低い声で唸るように言った。


「なんだお前は、生きているのか死んでいるのか。それとも私がおかしくなってしまったのか」


 こいつ喋るの!?


「え……大体あってるけど、お前まず自分が何者か分かってるか?」


「先に名乗るのが筋だろうが……私はカルヴェリオンという者だ」


 教えて貰ってもないのに名前設定したのしっかり反映されてる。


「頷いてないで答えろ」


「俺は先導 世界。この世界の創造神だ。はい、よろしく」


 手を差し出したが、カルヴェリオンは無言で辺りを見た。


 何を言ってるのか分からないって感じだな。


「ま、ちょっとついて来なさい」


 トンネルの方へと走る世界を、カルヴェリオンは飛んで追いかけた。


「乗れ、翼が無くては飛べぬ」


 世界はその言葉を無視して、無言で飛び続ける。

 カルヴェリオンはそれを呆然と眺めてため息をついた。


 世界の端に着くと、そこから先は無が広がっていた。


「む?この先には何も無いようだが……何かあるのか?」


「その無から世界を創るのが俺だ」


 まてよ、この世界ってずっと水平に続くのか?

 地球みたいに球体にしたいんだけどな…。

 そうすれば、誰も端っこにいなくて済むのだが。


「何をボーッとしている」


 天地創造欄を開いて、探した。

 とは言え、このまま地球のようなバカでかい星を一から作ってたんじゃ土地を完成させるだけで何百年とかかる。

 ん、何百年とかかって当たり前なのか。

 テンプレ的な感じで用意されてないかな。


「あ、あるじゃん」


「何がだ?」


 もちろん、カルヴェリオンには世界が何をしているかさっぱり分からない。

 何も無いところを指で突いているだけの滑稽な光景だ。


「さっきから何をしているのか分からん。早く教えろ」


「まあまあ、何もない空間がこの世界に変わる瞬間を見とけよ」


 ドラゴン一体に見せるくらい、なんて事はないだろう。

 世界の誕生を知る龍…サイコーだな。

 適当にタイプを選んで、確認をタップした。


 読み込みが止まっていた画像が一気に表示されるように、世界が瞬く間に広がった。

 緑がどこまでも続く。

 水平世界も選べたけど、個人的な好みで地球型を選んだ。

 地球よりもかなり小さい世界となるが、これで十分すぎるくらいだろう。


 カルヴェリオンは唖然として見ていた。


「何が起こった?」


「世界を拡張した。先に行ってみろよ」


 世界がそう言うと、先ほどまで何も無かった空間だった場所に、足を踏み入れた。


「これが、お前の力か」


「そうだ。あとお前の名付け親だから、そこんとこもよろしく」


 これで理解してくれんのかね。


「なるほど、お前がこの世界を創りだし、私を創り出したという訳か。どうりで途中でいきなり名前が変わったわけか」


 さすが知力系だけはあるな。


「そうそう。世界は拡張しきったから、後は繁栄させるのが俺の仕事なんだ」


「何故私に見せた?」


「ん?」


「この世界がどう出来たかを、この世界に生きる者達は知るべきか?私はこうして世界の誕生を目の当たりにしてしまったが、それで良かったのか」


 世界はスーツに付いた埃を払った。


「お前が面倒くさそうだから早めに懐柔しようとしてたんだ。これから俺はモンスターを創り出さなきゃいけないから、その邪魔をされないようにな」


 カルヴェリオンは世界樹の方を見て言った。


「そうだな。では私は我が物顔であの場所にいるとしよう」


「ああ、そうしててくれ」


 聞き分けの良いドラゴンだな。

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