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(異)世界は掌の上で  作者: 倫理観
~創造神(仮)の研修期~
18/23

17 / 頂点の衝突


 空にのしかかった黒雲から、霧状の黒い雨が降る中。

 荒れ果てた地に、悲痛と後悔の叫び声が血しぶきと共にあげられる。

 その音を遮るものも無く、反響させるものも無い。


 この男の進撃は留まるところを知らない。

 乱れた髪や着物に返り血が被さり、真っ赤に染まった鬼の如く不動の状態で一点を見つめていた。

 手に持った刀から、血が滴っている。


 その男に対するは、本物の鬼。

 自身の腕周りの3倍はある金砕棒を玩具でも持つかのように軽々と持ち上げ、ただならぬオーラを纏うその鬼もまた、対する男を獲物でも見るように見ていた。


 この間合いになってから、早くも2時間が経つ。

 こうした緊張状態が続き、周囲から妨害のような攻撃を受けるが、両者はその間合いを一寸たりとも崩すことなく、妨害者を殺戮していた。


 この間合いが一瞬でも崩れた時こそが、本当の殺し合いの始まりである。

 両者共々、この世界における現在の全生態系の頂点に君臨する猛者であることは断言できよう。


[生物情報]

 ――――――――――――――――――

 総合評価SSS+

 名前 龍真

 種族 人類

 系統 バランス系

 形態 大人

 固有スキル 名前がありません

 Lv 165/10000

 生存時間 

 ステータス HP:94000

 STR:13710

 DEX:11000

 DEF:8400

 AGI:13000

 INT:12900

 MND:9000

 LUK:8600

 CHA:12000

 後天性スキル: 無し

 出身地 名前がありません

 ――――――――――――――――――


[生物情報]

 ――――――――――――――――――

 総合評価SSS

 名前 覇王

 種族 鬼神

 系統 戦闘系

 形態 第二形態

 固有スキル 

 Lv 191/10000

 生存時間 

 ステータス HP:172000

 STR:20250

 DEX:13700

 DEF:13000

 AGI:11500

 INT:10800

 MND:10000

 LUK:14080

 CHA:20000

 後天性スキル: 名前がありません

 出身地 名前がありません

 ――――――――――――――――――


 両者の背後から、新たな妨害者が迫る。

 直前まで相手を見続け、間合いを変えずに背後から迫る者を同時に倒した。

 龍真の方に、もう一体隠れていた何者かが飛び出した。


 不意を取られた龍真は狼狽えたが、突撃した者は剥かれた林檎の皮のように斬られる。


 そしてついに、均衡は砕かれた。


 覇王の表情が急変し、ここぞとばかりに金砕棒を振り下ろす。

 咄嗟に刀で受けたが、単純な力は覇王が遥かに上回っていた。


「くッ!」


 地面に叩きつけられ、すぐに体勢を戻そうとしたが、体の半分が地面に埋まっていた。

 覇王は咆哮をあげて、再度金砕棒を振り下ろす。


 地面にヒビが入ったが、仕留めた感触は無かった。


「流石に強いな。今会敵したのが惜しい」


 龍真は横に避けて、数メートル下がっていた。

 肘を付き、刀を地面に立てる。

 荒くなっている息を落ち着かせて言った。


「こうも早くに最強クラスの相手と戦うことになるとは、全く勘弁してほしいのう」


 創造神とその権限を持つもの以外ステータスを見ることは出来ないが、両者は明らかな実力の差に気付いていた。


 STR[攻撃力]に、戦術の工夫では埋められない大きな差があったのだ。




 それでも尚、戦いを止めることはなく。

 今度は龍真から仕掛けた。


 速度で勝っていたことにいち早く気付いた龍真は、深い一撃を与えることよりも連撃を与えることに集中する。

 覇王の振り下ろす金砕棒は徐々に龍真を捉えきれなくなっていった。


「ちょこまかと……!」


 顔面に傷が入った。

 繰り返された連撃によって、出血とまではいかない外傷が幾つもあった。


 無傷の龍真だったが、その心は生まれて最大の恐怖に支配されていた。

 一撃でもまともに受ければ、一瞬で覆される戦局。

 それなりの威力で放った攻撃が、ほとんど効いていない。


 当の本人たちは知りもしないが、この世界には固有スキルや後天性スキルなどという概念が存在する。

 覇王はそれをどちらも持っており、自身はそれを当然のように使えることを分かっているが、龍真は戦いにおいて一度も固有スキルを発動したことが無かった。

 後天性スキルに至っては持ってすらいない。




 決定的な隙を見せない覇王の突破口を探る。

 その表情は曇りの色を見せていた。

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