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(異)世界は掌の上で  作者: 倫理観
~創造神(仮)の研修期~
17/23

16 / 始動した人類


 ―異世界創造記3日目 7h41M―


 目を開けると、太陽の日差しが飛び込んできた。

 目は痛くない。


 徐々に視界がはっきりとして、空が広がった。

 大自然の真ん中で、呆然と空を眺めていた。

 空だけを見られる日が来たのは、いつぶりだろう。


 何か、夢を見ていたんだよな。

 俺にとって、何か特別な夢だった気がする。

 夢ってものはすぐに忘れてしまうな。

 ……思い出があったかすら思い出せない俺だから、当たり前と言えば当たり前だろうが。

 絶対的に必要な知識や言語だけを残して、”その他のもの”はコンピューターのように全て消し去って生きてきた。


 風化した思い出は、音も立てずに崩れて無くなっていく。



 テルが横で寝息を立てている。

 もうしばらく、寝かせておこう。

 テルが起きる前に、俺に何か出来ることは……。


「あ、そうだ」


 そういえば、シロノさんが人間を創るだとか言っていたな。

 もう終わってたりするのか?

 人間が創られていれば、生物情報の方に変化があるはずだ。


[メニュー]

 ――――――――――――――――――

 進捗状況 経過時間:7h46M

 3日目

 歴史情報 2MP「龍真 Lv121」

 1MP「スライム Lv37」

 1MP「タイタン Lv29」

 生物情報 9999件以上の生物反応

 ――――――――――――――――――


 目的に応じてメニューや詳細なんかが簡略化されるのには何か理由があるのか?

 ってか龍真って何だよ、レベル高すぎないか。

 化け物か何かだろう。

 でも最大レベルが10000なんだし、そこまで危機感持つ必要は無さそうだな。


 生物情報を開くと、モンスターの種類であろう名前が無数に現れた。

 世界は遠目からそれを全体として見て、一つの項目に目を止めた。


 ”人類”


 確かに人物名を一つずつ並べていったのでは探しにくいよな。


 項目をタップすると、そこから更に詳細が現れる。


[生物情報 人類]

 ――――――――――――――――――

 平均総合評価 C

 生存個体数 24177

 生存エリア 名前がありません

 最強個体 龍真

 固有スキル範囲 全て

 ――――――――――――――――――


「コイツ人間かよ!?」


 やけにレベル高いなって思ったらまさかの。

 平均総合評価はCか……そもそもこれ何段階評価なんだよ。

 生存個体数は24177か。

 え、てことはもうこの世界に24177人の人間がいるってことか!


 つまり、俺は今約2.5万人を背負ってるってことか?

 な、なんか急に重くなってきたな……。

 責任に押し潰されちまう。


 垂れてきた鼻水をスッと引っ込めて、ティッシュで鼻をかんだ。

 小さく丸めて、ハッとした。


「ゴミ箱が無い」


 流石に自分で創った世界に鼻をかんだ後のティッシュはポイ捨て出来ない。

 ゴミ箱を創造したらしたでお荷物だし、だからといって創造してティッシュを捨てたゴミ箱をぶっ壊したところで何の解決にもならない。

 この行き場のないティッシュをどうするか。


 くしゃくしゃになったティッシュを人形でも動かすように口を作って動かす。


「やぁ、僕はティッシュくん。ティッシュさ。ゴミ箱が無いけど、僕はどこに行けばいいの?」


 裏声でティッシュくんの声を作った。


「そうだなあ……」


 ティッシュを思い切り握りしめて、ポケットに突っ込んだ。


 よし、ちょっと様子でも見て回るか。

 集落でも出来ていれば面白いな。

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