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(異)世界は掌の上で  作者: 倫理観
~創造神(仮)の研修期~
1/23

0 / 転職先は異世界で!?

よろしくお願いします!


0話を1500文字程度書き足しました。


 

 地球という丸い惑星に群がり、密集する人間も。

 狭苦しい社会の中で群れる人間も。

 空を切り取り、陽を妨げ、誰かが望まなくても集まる高層ビルも。

 それに群がり、足の踏み場が無くなるほど集まる忙しない人間も。

 底の無い社会に溺れ、徐々に心をすり減らすだけの毎日に突如終わりが来るとしたら。

 非現実(フィクション)が現実になったとしたら。


 善良なる魂ソウルに神の救済を。

 善良なる魂ソウルに神の祝福を。


 淵を歩く彼らに、どうか神よ、未来(チャンス)を与えよ。


 さあ、未来を切り拓いて、その手で創って。

 非現実(フィクション)など存在しない現実を今ここに。




 この世界の常識を、覆してみようではないか。


 ………………………………………………………







「誰か助けて!妹が人質に!」


「うるせえクソガキ!それ以上叫んだらすぐにでもこいつの首を切ってやるぞ!?」


 女子高生が泣きくずれ、汚れた服を着た男が女の子の首元にナイフを近づけて怒鳴り散らしている。


「なに、これ事件なの?」


「やばくね?警察が来たら面倒だからどっか行っておこうぜ」


「ドラマか何かの撮影じゃない?」


 ヒソヒソと小声で話し傍観する女性のグループ、ダボダボの服を着た髪を染めた不良たち、状況が理解できていないのか、スマホを片手に必死に打ち込む大人。


「おい、何してるんだ、その子を離せ!」


 このアニメの主人公、出太刀(いでたち) (せい)は、持っていたカバンを投げ捨てる。


「お前みたいな、正義感のあるやつが大っ嫌いなんだよ!」


 男は女の子を聖に突き飛ばし、聖は慌てて女の子を受け止めた。


「うおっ!」


 戸惑っている聖に、男がナイフを突き出して一直線に走る。

 聖は女の子を横によけて、男をつき倒した。


「おおお、すげえな兄ちゃん」


 周りにいた大人たちが一斉に男を取り押さえた。

 女子高生が駆け寄ってくる。


「ありがとうございます!私の妹を!」


「た、助かってよかった…」


 力尽きて倒れた聖の胸元に、ナイフが刺さっていた。


 そして、目の前が真っ白に………



 ふと時計に目をやると、家を出るつもりだった7時20分をとうに過ぎている。

 時計の装飾の木彫りの鳥が嘲笑っているようだった。

 お前、まーた遅刻するぞ?


「あ、やっべ。ついつい見ちゃった!」


 鏡の前に立ち、慌てた顔で黒髪をセットする。

 急いで玄関に行き、靴を履いて外に出た。




 先導(せんどう) 世界(せかい)、23歳。

 都内の大学を卒業し、某有名企業に就職。

 就職から4ヶ月、仕事にもそろそろ慣れてきて、頭角を現し始める、と思います。

 漫画みたいにいきなり出世しないかなあ……。


 あ、じゃあ何、なんで走ってるかって?

 大好きな新作アニメの異世界転生モノを録画したものをついつい見てしまって、遅刻しそうになりました。

 なんてことを上司に言ってしまったら、しかめっ面と説教を受けるので絶対に言わない。


 実を言うと、これで5回目。

 成果を出し始めてきたから多少緩和されていたが、そろそろホントにやる気がないと思われてしまう。

 なんで遅刻しそうなのに自己紹介しながら走ってるかって?

 確かに、どうかしてる。

 でも、心の中で自己紹介をすると、異世界転生モノの主人公気分になれて心が落ち着くんだ。

 口に出して言うより全然良いと思う、流石に自己紹介しながら走ってる人見かけたら近寄りたくなくなる。


 走りながらイヤホンをつけて、今日もあのラジオ番組をチェック。

 どんな用事があっても、会社に遅刻しそうでも、3年間欠かさず行ってきたのでやらないと悪い意味でソワソワしてしまう。


「最近こんな悪質な悪戯が増えていますからねー、迷惑ですよ。はい、という事なんですけども、伊達さん、この事についてはどう思われますか?」


 いつも、進行の金田の雑な感想から伊達へと話が振られる。

 聴き始めるのが遅れたな、何の話題だ?


「この悪戯、私も遭遇した事がありましてね、ダイヤが狂ってしまったんですから、通勤通学をする人々には全く迷惑極まりないですね。私が遭遇した時の犯人は、不良の中学生3人がやっていたんですよこれ。そうそう、最近この手の悪戯が多くてね。その多くが10代による犯行だって言うじゃないですか。いくら少年法で守られているとは言え、何でもしていいなんて甘い考えが広がりつつあるんじゃないでしょうか?」


 伊達はいつも話題から脱線して炎上スレスレの発言をする。

 それを楽しんでいると言えば、まぁその通りだ。


 ダイヤが云々ってことは……交通機関関係の話題か?


「そうなんですね、本当に緊急時でもなければ普通押されるものではないのですがね。わざわざ電車を止める必要のない用途で非常停止ボタンを押す方もいらっしゃる訳ですから、どのような対策が成されるか注目ですね。」


「都心の駅では、非常停止ボタンに近づいただけで周囲から睨まれるようなシチュエーションもあるらしいですよ。通勤ラッシュですと特にね。このような国民の生活に深く関わる事ですし、こうも一つの社会現象のようになってしまっては……悪い傾向ですよね。いざという時に正しい判断が出来る人間も減りますよこれじゃ。」


「おっと、お時間のようです。では次はリスナーさんからの……」


 お決まりのBGMが流れる。


 え、ここで終わり!?

 お時間ですじゃねーよ、もっと何か言ってくれよ……尺の問題か?





 駅につき、階段を駆け下りる。

 空を飛ぶスキルか何かで飛んで行けたら、気持ちいいだろうな。

 腕時計を見て、安堵した。

 良かった、なんとか間に合ったみたいだ。


 ホームの方から叫んでいる声が聞こえる。

 なんだ?

 人混みをかき分けて進むと、線路上に女の子が脚を手で押さえて横たわっているのが見えた。


「おいおい、転落したのか?」


「うっそだろ、あいつのせいで電車が止まったら最悪だわ」


「誰か助けに行かないの?ほら、こういう時大の男が動かないとさぁ~」


 周囲から声がする。

 なんだ、この状況。

 なんで、ザワザワしているだけで誰も助けに行かないんだ?

 非常停止ボタンとか押されたのか……いや、押されていればアナウンスがなるはずだ。


 〈電車が、到着します。安全のため、線より後ろまで下がってください〉


 ふとラジオの事を思い出した。


 みんな、押そうと思っても押せないんだ……。

 そもそも混乱してて、正常な判断が出来なくなってるし、同調圧力のせいか誰も下に降りて助けに行かない。

 これだけ沢山人がいるのに、誰も…。


 俺も、か?

 いや、それだけは嫌だ。


 助けないと!……でも、遠い!

 そうだ、非常停止ボタンなら近くにあるはずだ。

 早くしないと、人が死ぬ!

 人混みのせいで身動きがとれねぇ!


「こら、押すんじゃないよ」


 そう横から言われて、カッとなって怒鳴った。


「人の命がかかってんだぞテメェ!静観してないで行動を起こせよ!」


 視線が集まる。


 何なんだよ、コレ……。


 放心状態になって、カバンを落とした。


「通して下さい、駅員ですって!」


 事態に気づいた駅員が遠くから向かってきてはいたが、人混みに阻まれて進めないでいた。


 世界は立ち止まって、ホームから落ちた女の子を見ていた。

 冷や汗が、頬を伝う。

 周囲のざわめきが途絶え始め、自分の息遣いだけが音になった。

 助ければいいのに、一歩が出ない。

 俺は、俺は……。



『バカ野郎!ここで命張らなきゃ、どこで張るってんだよ!』



 はっとして、あたりを探した。

 俺が好きな異世界転生作品の中で、主人公が放った台詞だ。



『やってみなきゃ分かんないことも沢山あるって、やってみて初めて知ったよ』



 主人公が、そこに立っていた。

 ポケットに突っ込んでいた手を出して、髪を触っている。



『やったな。これが君の、最初の一歩だ』



 不意に、現実に引き戻された。

 心臓の鼓動が、こんなにもはっきりと感じられたのはいつぶりだろうか。

 俺は今、生きている。

 それを俺自信に証明したい。


 人々を跳ね除けながら、女の子の元へ向かう。


「あ、きみ!」


 静止するよう手を出された気がしたが、体が勝手に動いていた。


 俺が初めて、自分が大好きなモノに出会えた時だ。

 これからは、俺は、ただフィクションの世界の主人公を見ている夢を見るだけのやつにはならない。

 俺が主人公になってみせるんだ。

 これが、俺の最初の一歩なんだ!


 ホームから降りて、女の子に駆け寄った。


「大丈夫?立てる?」


 女の子は苦しそうに首を縦に振った。


 体を支えて、脇まで連れていった。


「誰か、手を貸してくれませんか!」


 世界が呼びかけても、誰一人目を合わせようとしなかった。


「あなた!オーバーオールのあなたです、お願いします!」


 驚いてこっちを見た男性と目が合った。


「わ、私かね?」


「はい、この子をお願いします!」


 非常停止のアナウンスが大音量で流れたが、それはもう電車の音にかき消されるほど電車が迫った時だった。

 そう急に止まることは出来ない。


 ホームがいっそう騒がしくなった。


「おい、早くしろ!電車が来てるぞ!」


 野次が飛ぶ中、女の子をホームへと上げた。

 良かった、みすみす見捨てずに、助けられたんだ…。

 電車はすぐそこまで迫っていた。


 頭の中が真っ白になった世界の脳は、無意識下で世界の耳にイヤホンをして、音を遮った。

 電車が迫ってきているというのに、不思議と心は穏やかだ。

 俺はここで死ぬのか、それとも、ここで死にたいのか?

 手を伸ばせば届きそうだ。


 徳は積んだよ。

 俺の来世に期待しよう。

 出来れば、異世界転生とかしてみたいなー。

 別に強くなくたって、ハーレムでなくたって。

 理想の世界に、俺も行ってみたい。

 そう思えば、ここで逝くのも幾らか怖くない。



 ああ、俺は生きているよ。

 やっと、自身が持てた。



 短かったけど、悪くない人生ではあったな。




 体に衝撃が走ったと同時に、視界が真っ白になった。









 奇妙な感覚だ。

 無重力空間に放り出されたような、解放された気分。


「ここが、あの世か?」


 目の前に光が現れた。

 眩しい、目が潰れそうだ。


 光の中から、色とりどりの宝石で装飾された美しい服を纏った女性が現れた。

 穢れを感じさせない白く透き通った肌に、彼女の目は翡翠の色と輝きを放つ。

 長く伸ばされた艶やかな髪を結んで、きょとんとしている世界を見た。


「え、なに、どうなっちゃったの俺、ここ天国か!?」


 自分の体をあちこち触って、確かめる。


「どうか取り乱さないで、私を見てください」


 美しい女性の声に、世界はスイッチを切ったように静かになった。


「私は女神シロノといいます。あなたは先導 世界さん、で合っていますね?」


 問いに無言で頷いた。

 確かに、女神って言われても疑いようがないほどの美貌だ。


「まず第一として、世界さん、あなたは死んでしまったのです」


 やっぱり、俺は死んだのか。

「私は、あなたの願いを何でも一つだけ叶えることが出来ます。本当は死者の願いを叶えるなどということはしませんが、あなたの勇気ある行動に、感動したのです」


「あ、それはありがとうございます」


 突然の褒め言葉に、照れくさそうに頭を掻いた。


「何でも一つだけ、良いのですよ。現世に生き返るというのも可能です」


 生き返る事が出来る…?


「そんなことが出来るんですか?」


「はい、時間も少ないので、早急に、お願いします。」


 答えは決まっていた。

 馬鹿げているが、本気なんだ。


「異世界に転生したいです。お願いします!」


 ハキハキと言ったはずだったが、女神シロノは首を傾げた。


「…………え?」


「え、異世界に転生したいのですが…。」


 まずい、ちょっと図々しかったか?


「あの、異世界は存在しません…ごめんなさい」


 そ、存在してすらない!?

 俺の夢が、崩れてゆく…。


「い、異世界への転生は、俺だけでなく、たくさんの人が夢見ているんです。」


 ショックのあまり涙目になりながら、体操座りをした。


「異世界が存在しないというのであれば……俺が、異世界転生を夢見る彼らの夢を叶えてやることは出来ますか!?」


 怒涛の勢いに、女神シロノは引き気味でいた。


「それはつまり、あなたが異世界を創造したいと…?」


 女神シロノの両肩に手を乗せ、目を見開いた。


「そ、そうです!夢の対象が存在しないなら、俺が作りたいんです!」


 引かれていることは分かっている。

 だが、そんなことは重要ではないし気にもしない。

 俺が求めているのは、出来るか出来ないかの答えだ。

 この願いを全く予想していなかったのか、女神シロノは戸惑っている。


 咳払いして、世界に向き直った。


「その願いは、叶えられます」


「ほ、ホントですか!」


「ただし、誓ってください」


「……何をですか?」


 真剣な眼差しが、胸にささった。

 女神シロノの言葉を一言一句逃さず聞いた。

 要約すれば、こうだ。


 一度創造を始めたら、責任を持って全うする。

 異世界の出来事に干渉し過ぎない、つまり歴史を変えかねない出来事の渦中に居ないこと。

 思い通りにいかないからといって、その世界に生きている者たちを都合よく振り回してはならない。

 争いの種になるものを不用意に振り撒かないこと。

 異世界転生者を召喚しすぎないこと。


 最後の項目は正直アツい、でも慎重にしないと。

 ワクワクで踊りだしそうだ。


「どうされました?いきなり……」


 いつの間にかステップを踏んでいる。


 あ、踊りだしそうなんじゃなくてもう踊ってた。


「あ~いや、何でもないです」


 女神シロノは苦虫を噛み潰したような顔をして見ている。


「何か、他にも?」


「いえ、ちょっと心配になってきまして……」


 いや、キャンセルされるのは困る!


「いやいやいや待ってください!俺の異世界にかける情熱は大地を焼き尽くすほどに強いので、どうか任せてください!」


「あなたの情熱で大地を焼かないでください」


「そうですね、ところで俺が創造神になる祝いということで、一緒に焼けるような夜を過ごしませんか?そちらの情熱も凄いですよ」


「殺しますよ?」


 怖っ。


「ごめんなさい。調子乗りました。あまりに美しいもので…。」


 機嫌も取りつつ本音も言っておく、と。


 女神シロノはため息をついて杖を取り出した。


「それでは、ここでしばしお別れとします。創造につきましては、私も経験が無いので実際にやってみるのが一番ですね。どうか、良い世界を創ってくださいね」


 杖を振って、何やら唱えている。


「頑張ります!」


 深くお辞儀をすると、急に睡魔が襲ってきて、その場に倒れこんだ。


「目が覚めれば、あなたは晴れて創造神となります。それでは、私はこれにて…」







 おお、なんだかフワフワする。

 何も無い空間で寝そべって、上か下か分からない何かを眺めていた。

 そんな状況が5分ほど続いて、違和感が何も無いことに気付いた。

 ん、創造神になった、んだよな?

 心も体もフワフワしているらしい。


 何かアクションを起こしてみない事には始まらないか。

「異世界よ、現れろ」

 呟いてはみたが、何も起こらない。

 そんな適当には創れないよな。


 頭の中で景色を思い浮かべてみよう。

 緩やかな丘で、草や木が広がり、花が咲き乱れる。

 何も無い空間に視線を送った。

 すると、思い浮かべた景色が目の前に広がってゆく。

「なんだこれは!?」


 何も無い空間から、緑の丘に足を踏み入れてみた。

 お…草を踏んでいる感覚がする!

 しかしやけに静かだ。

 そうか、風がないから木の葉が音を立てないんだ。

 風で揺れる木の葉のイメージを、また辺りに送ってみた。

 草がなびき、木の葉が音を立て始めた。


「す、すごい」


 異世界の創造神って、環境そのものから創るのか。

 神にでもなった気分だ。

 あ、神でした。


 でも、何からしていいかよく分かんないな。

 ただめちゃくちゃに創りまくればいいってものでもないだろうに。

 マニュアルとかないだろうか。

 そう思った瞬間、目の前に文字が現れた。


「お?」


[メニュー]


 進捗状況 経過時間:10M

 1日目

 歴史情報 10MP「異世界が創造されました」

 3MP「丘、木、草、花が創造されました。」

 1MP「風が創造されました。」

 生物情報 現在この世界に生物は存在しません

 天地創造 タップすると詳細を開くことができます

 生物創造 タップすると詳細を開くことができます


 オプション タップするとオプション画面に移ります


「うぉおおお!」


 ロールプレイングゲームばりのメニュー画面だけど、何か規模が色々違う!

 このMは時間でいうと一分で、Pは…過去のことを表しているっぽいな。

 こんなリアルタイムで通知来るとか嬉しいな。

 他にも色々出来そうだけど、まずは…


「モンスターでしょ!」


 生物創造の項目をタップすると、無数のモンスターの絵が一面に現れた。

 なんだこれはあ……というか普通に現実の虫とか動物が出てくるものかと思ったけど、生物の好みまで俺寄りにファンタジーになってる。


 これじゃあ流石に探しにくいな。

 ジャンル選択をタップした。

 文字が大量に並んでいる。

 ジャンル別にしてもこれだけあるのか…。

 上から見ていくうちに、探していたものが見つかった。


 あった!


 ドラゴン。


 興奮しながらタップして、出てくる設定画面か何かを待ちきれないとばかりにテキトーに連打した。

 最後に確認をタップすると、横から地響きがした。


 まさか、ドラゴンをこの目で!?

 勢いよく振り向くと、大きな黒色の卵があった。


「ほえー、卵から創造するとか出来るのか。」


 これはこれで面白い。


 ところで、異世界転生者を召喚できるって言ってたけど、どこから現れるんだろう?

 メニュー画面を開いて、オプションをタップした。

 異世界転生者スポーン地点…現在地より左へ1メートル。

 左へ1メートル?


 花が元気に咲いている。

 まあ、転生したばかりの人は穏やかな所からスタートさせるべきだよな。

 穏やか…。


 さっき創造した龍の卵を見た。

 穏やかに佇んでいる。

 いや、孵ったらヤバくね!?

 どんなドラゴンを創造したかまでは覚えてないけど、レベル1の初心者にラスボス相手にさせるくらい酷い状況になってる!

 あの卵黒色しててなんか物々しいし!


 でも今更変えるのも何だかなあ…。

 ウッキウキで転生した人が3秒後には丸焦げになるようなハードモードの詰み状態というのも…。


「それは後でいいか!」


 無理やり自分を納得させ、メニュー画面をそっと閉じた。

 これから始まる俺の創造神ライフに、健闘を祈ろう!

 久々に高笑いして、両手をあげた。




 これは、何の変哲もないサラリーマンの俺が、異世界の創造神として、夢を創る物語である。

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