こいつのせいでいつも遅刻する
やあ!こんにちは!!
正直いうと今絶賛バイトに遅刻しそうだからあまり時間がないんだけど、だけれども投稿しちゃうー!!
はい!てことでバイトに確実に遅れてしまうのでバイバイ!!初めて予約投稿してみるわwww
みなさんは本編をお楽しみください!
俺はバイトしてくるから!!
やあ!俺は藤崎 渉!!なんの取り柄もない、ただの高校生さ!!みんなからは「ワタルン」とか自分でも口にしたくもない様な名前で呼ばれているよ!!
……ふう。まあ、自己紹介はこんな感じでいいか。ちなみに俺はただいま絶賛遅刻中だ。
なぜかって?……ふっ……それはな……
「あああああああああああ‼︎徹夜して今日からできるモテ方とか調べなければよかった‼︎」
そう‼︎俺はとてつもなくモテたい願望が強い年頃の男の子だからさ‼︎
現在時刻は8時半。そして今いる場所が学校よりも家が近いときた。はい、遅刻―。
しかしそんな状況でも俺はモテる努力を怠らない‼︎長年の研究の末、ようやくたどり着いたこの格好いい走り方‼︎どうよ‼︎そこの女子高生方‼︎
「え?なんだかあの人の走り方キモくない?」
「うん、わかるけどモテたくて必死な顔をしているからそっとしてあげましょ」
キモい走りをしてしまい申し訳ございませんでした‼︎しかも俺の魂胆丸見えかよ‼︎初見の女子高生にバレるとか俺、一体どんな顔をして……
「うわー……なんだこのドヤ顔、キモいなー。誰だよ」
咄嗟に見えた服屋のショーウィンドウに反射する誰から見てもキモいと思える様な顔面が目の前に浮かび上がって正直、ドン引きしてしまう。
「……って、これ俺じゃねーか‼︎」
うわーまじかよ。一瞬、自分でもわからなかったぞ。こんなキモい顔していたのか……
「って……やばい‼︎遅刻だ‼︎」
自分で自分の顔に絶望している暇なんて俺にはないんだ‼︎
だって、遅刻したらあいつが……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おい、遅いぞ渉。今何分だと思っているんだ。とっくに遅刻だ」
「ぜえ……はあ……そ、そう言われてもよお、しょうがないじゃないか徹夜していたんだし」
「お前は高校生としての自覚はないのか?そもそも平日に徹夜なんてするんじゃない!」
「はいはい、すみませんでした宮園生徒会長」
校門に遅刻ギリギリ……いや、アウトだけども、到着した俺を叱りつけるのは俺の幼馴染でこの森長第一高等学校の生徒会長である宮園 菫だ。
容姿端麗。成績優秀。スポーツ万能。およそ馬鹿な全能神が間違ってこいつに全ステ振りしてしまったとしか考えられないほどのチートスペックの彼女は生徒会長としていつも遅刻して来る生徒達を叱咤激励している。
そんな完璧少女である彼女を俺はあまり好きじゃない。
なぜなら……
「もうそんな真面目なキャラやめろよ。見てるこっちが恥ずかしくなる」
「え?い、いやしかし……」
「ほら、今誰もいないし」
「……そ、そうね。ふう……んー!疲れたー‼︎早く家に帰ってネトゲしたい‼︎」
まるで別人の様に変わった彼女は解放されたかの様に大きく背伸びをすると今さっきまできっちりと止めていた第一ボタンを外して胸元のリボンを外す。それと同時に彼女の腰まで届く黒の長髪が太陽光に反射して艶やかに光る。
そしてギラリとガラスのように鋭かった眼光は跡形もなく、濁り切った活力のない双眸へと変貌を遂げた。
そう、これが彼女の本性。実際には完璧少女だけども残念美女が彼女の素なのだ。ちなみに重度のネトゲプレイヤーでもある。つまりはオタクの沼にはまっているわけだ。
俺は皮を被った彼女よりも今ののびのびとしている彼女の方が好みだったりする。
ただし彼女をここまでリラックスさせる時に一つ注意点がある。それは……
「ふわー……なんだか眠くなってきた……ねえ、二度寝としゃれこまないかい?」
彼女の二度寝癖だ。宮園 菫は自分が眠いと思えばいつでもどこでも寝れるという特殊能力を持っているのだ‼︎そう!たとえここが森長第一高等学校の校門前だとしても‼︎
これ本当に面倒臭いんだよ‼︎この二度寝に巻き込まれて俺が何回遅刻したと思っている‼︎
しかも、彼女は教室へと急ぐ俺をがっちりと首に腕を回し、絞め殺さんとする勢いで俺を拘束する。
あ、結構ガチで息が止まる。やばい死ぬ。
「わ、わかった!わかったから!その腕を離してくれ!そろそろ死にそうだから!」
「ほ、本当だな!信じていいんだな!」
「ああ、信じてくれ。そしてそのコブラのような腕を離してくれ!もう息が……」
あ、やばい。意識が飛ぶ。
その瞬間に気道を押し潰していた腕が解放され、一気に体外の空気が流れ込んで来る。それに咳き込みながら彼女を見る。その顔はとてつもなく無邪気で腕が解放された瞬間に逃げようなんて考えていた俺が馬鹿らしくなる。
まあ、逃げたところでこいつの方が足速いからすぐに捕まるんだけどね。
つまり俺が遅刻して校門に菫がいる時点でもう詰み。俺はこいつの飾ったキャラが嫌いだから無意識にリラックスさせようとしてしまう。そして二度寝。
この負の螺旋から抜け出す方法が見つからないから俺は毎度の如く遅刻してしまう。
ぜってーに仕返ししてやるからな!覚悟しておけ‼︎
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺と菫は校門の壁を背にして道路に腰掛け、二度寝を満喫している……はずもなく。
「あ……おはようございます……」
幸い俺より遅く来る生徒はいなかったものの、通りがかりのサラリーマン、熟年期の老夫婦など近所の人に多数目撃されてしまい。「俺は」気まずさのあまり眠ることができない。
しかも、道路で眠れるわけないじゃん!どこに寝転がっても硬いアスファルトだし!
でも二度寝を中断するわけにはいかない。それは隣にいる彼女が原因である。
「スゥ……むにゃむにゃ」
とても気持ち良さそうに寝る彼女は俺の肩をまくら代わりにして頭を置き、なんとも場違いな二度寝をしている。
このまま俺が逃亡してしまったら彼女の頭が硬いアスファルトに激突してしまう。俺は女性が傷つくことはしたくないんでね!だってモテたいもん!
「スゥ……ハッ⁉︎今何時⁉︎」
二度寝から飛び起きるように菫が現在時刻を把握しようとする。
女性に対しては真摯に対応して行こうと決めている俺だから、これまた彼女に親切に教えてあげよう。別に、菫をびっくりさせたいわけじゃないから。別にびっくりした反応が好きだからとかじゃないから‼︎
「今は九時十分。もう一限目始まるぞ」
「ジェジェジェ⁉︎嘘でしょ⁉︎」
なんだよその古い反応。今時の女子高生が「ジェジェジェ」なんて使うか。
急いで緩んだリボンと第一ボタンを留めて脱兎の如く走り出そうとする彼女だが……なぜか立ち上がったまま動かない。なんだか深刻そうな表情を浮かべながら彼女はひたすら校舎の方を見つめている。
「……?どうしたんだ?」
疑問に思い、見上げながら問う。
「……足が痺れて動けない」
「行くぞ」
「ちょっ……ちょっとまっ……痛い!足が痛いから手を無理やり引くのやめて⁉︎」
そんな馬鹿げた理由で深刻そうな顔をするな。心配した俺が馬鹿だった。
チートだけれどもポンコツな彼女の腕を掴み、やや強引に校舎へと連れて行く。
あ、別に乱暴しているわけじゃないからね?ほら、遅刻しちゃうと大変だしー!別に二度寝のためだけに首を絞められた腹いせにやっているわけじゃないんだもん!
今回も閲覧いただきありがとうございます!
さあ、今回は三千文字にしてみましたがどうでしょうか?あまり皆様が読みやすい文字数が把握できていないのでしばらくは三千文字での投稿になると思います。
あ、面白かったら感想とかくれてもいいんだよ?