第一章 その三 美少女司教の個人授業
目の前に見知らぬ光景が広がっている。
ここはどこだ?
書斎らしいが、召喚されてきた書斎とは別の部屋だ。
そして何と言っても目の前に幼い超美少女が立っている。
その幼い美少女はミーナとはまた違った美少女だ。
ミーナを田舎の学校一の美少女とするならこの娘は国民的トップアイドルのそれだ。
俺ごときでは恐れおおく、月とスッポン、いや宝石と虫けらほどに釣り合わないのが確実にわかる。
髪型は透き通るような長い黒髪のストレート。服装は修道服のような服を身にまとっていて身長も小柄で可愛らしい。
「わしは今日からお主の教育係じゃ。メリウスよ、よろしく頼むぞ」
その美少女が俺に向かって言ってきた。
「はい、ばば様。よろしくお願いします」
俺?がそう発言した。これは俺の意思ではない。声も俺の声じゃない。他の誰かの視点を見ているのか?
俺が今見ている視点の人物は、声からしておそらく若い、俺より年下の少年だろう。
この会話に突っ込みどころが満載で何から突っ込んで良いのやらと困惑している内に会話はどんどん進んでいく。
「お主ももう既に教わっているかもしれんが、まずはこの教会とスキルの起源について話そう。我らがフェイル教の名前の由来は創始者であるフェイル様の名前からきておる。フェイル様は人類で初めてスキルが備わった神に選ばれしお方だった。フェイル様は人類で初めて備わった『覚醒』スキルを用いて多くの人類にスキルをもたらした。フェイル様は布教活動を広め、ここ大神殿がフェイル教の最初の教会じゃった。メリウスよ。お主に備わっているその『覚醒』スキルこそが全てのスキルの始祖なのじゃ」
ばば様と呼ばれる美少女が語ったスキルの起源については既にレイラから聞いていた事より詳しい内容だった。
「ばば様が百五十歳なのに若いままなのもスキルの影響?」
「さすがメリウス。勘が良いのう。そうじゃ、これは『不老』というスキルでな。いつまでも歳を取らないのじゃ。他にもスキルはたくさんある。人を助けるスキル、人をおとしめるスキル……」
驚愕の事実。この美少女の年齢が百五十歳。さすが異世界、いや、さすがスキルだ。
しかもこの少年俺と同じ『覚醒』スキル持ちか。
ここでノックの音と共に別の女性の声が扉の外から聞こえてきた。
「ルーテモーグ司教。帝都からの来客がお見えになりました」
「メリウスよ、急用じゃ。今日はここまでじゃ、すまんのう。スキル『覚醒』はお主には手に余るスキルじゃ。むやみやたらと使って良いスキルではない。そしてそのスキルを持っていることをあまり他人に言わないようにすることじゃ。メリウスよ、ゆめゆめ忘れるでないぞ」
そう言い残し、ばば様、もといルーテモーグ司教は部屋を後にし、ドアが閉じた所で情景は途絶えた。
最後までお読み頂きありがとうございました。拙い文章ですが感想など頂けると幸いです。






