表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の夜明けは最愛のキミと  作者: れる
第一章 帝覚
1/205

prologue

 落ちて落ちて落ちて落ちて。


 赤い夕陽を背景に、白いものは落ちていく。


 ――辛かった。ただ単に、辛かった。耐え切れなくなって自らで体を投げ落としたのなら、この悲しみも幾分かマシだったのだろう。


 ちょっと待ってよと叫んでも、心に焼き付いていた筈のそれはいとも簡単に剥がれて消えていく。


 それが消える恐怖が二、三秒に一度来て、その度に白いものは身震いをし、心に溜まった膿のようなものを吐き出す。


 だが、それをいくら吐き出したところで、彼女の気持ちは晴れない。


 大量の。というより大きな薄い雲を抜け、白い少女は落ちていった。呆然と体を風になるがままにし、彼女は目を瞑った。


 ただ自分という存在が消えるというだけのことが、これ程までに怖いものなのか。


 絶望にも似た感情に、彼女は落ちながらも嗚咽感を催す。沢山の仲間達。“彼”。何もかもを失った気分はいかがですか、ともう一人の自分は囁く。


 ――最悪。これ以上はないですね。


 自問自答。それを繰り返すが、それをしたところで何かが解決する訳では無い。


 彼女は全てを諦めた。

 思えば、短い人生だった。生み出され、その意味すら見い出せずに死んでいく。それが自分の運命なのだと気付き。


 風に体を任せた。

 手を風の靡くままに放り投げ、足も同様に放り投げる。


 たなびく髪が時折目に入るので、目を瞑った。


 いつまで経っても、体を打ち付けるような衝撃がやってこない。もしかしたらもう死んでいるのかもしれない。


 待ちきれなくなって目を開けた時、壁はもう目の前にあって――。


「もうす――」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。次話から本編が始まりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ