俺の能力って最強だよね?
「キャーー、やめてください」
少し遠くからそんな声がきこえる。これっていきなりトラブル発生?ダメだそんなフラグを立てちゃ。
「ねぇミラ、女の子の叫び声が聞こえたよね?」
「うん、早く行ってみよう」
二人の少女は俺を置いて走って行ってしまった。怖
いなー、行きたくないなーなどとぼやきながら俺は少女達を追いかけた。
うわ!あれって魔人族じゃね?そこには大きな体に鋭い牙、鋭い爪に鋭い目。ヤバすぎるだろあれ、めちゃくちゃ鋭いんだが!
「女の子を離しなさい!」
「あぁ?」
「その汚らわしい手でその子を触らないでって言っているの」
ちょ、なにやってんすかミラさん。そんな挑発しなくたっていいでしょうがー。
「そんなに俺と遊んで欲しいのか、良いだろうたっぷり遊んでやるよ」
うわー、この悪役魔人族さん凄いほどベタすぎだろ。このセリフ何回も聞いたことがある気がするわー。
「貴方と相手をするのは私じゃないわ! そこにいる男出てきなさい。」
「ちょミラ、なんでソラを呼ぶのよ!」
えーとなんで俺はご指名を受けているのかな?絶対に戦いとかまだありえないのだけど。だって俺まだ魔
法の使い方分からないし、そもそも魔人族とか勝てるわけないし。
「えーとあのーどなたかご存知ありませんが、どうか許してもらえないでしょうか?」
俺は頭をペコペコしながら、魔人族の顔を伺った。
魔人は鋭い牙をあらわにして口角をあげていた。どうしようーこれ許してもらえないパターンだわ。
「兄ちゃんよー、一度受けた喧嘩は絶対買うってのが俺様のモットーなんだよ」
「貴方後悔するわよ。この男は誰も見たことのない能力を持っているのだから」
「誰も見たことのない能力だぁー? クックッ おもしれーじゃねーか」
クソー!もうどうにでもなれ!
「そうだぜあんた、俺は最強の能力を持っている。逃げ出すなら今だけだぜ」
「そうかなら遠慮なくいかせてもらうぜ」
『すべてを焼き尽くせ! ファイアニクス』
魔人族が魔法を唱え、俺の前には大きな火の玉が飛んできた。あ、死んだ。俺はそう思いつ目を閉じ、無意識に両手を体の前に出した。その瞬間.....
誰しもがこの少年は死んだと思ったであろう。だが少年は無傷で立っていた。
「な、今のはなんだ!」
「ソ、ソラいまなにをしたの?」
「・・・」
ど、ど、どういうこと?確かに俺は火の玉に焼き尽くされたんじゃ......?
「クッ、何かの間違えだ! これでどうだ」
『すべてを焼き尽くせ! ファイアニクスー!』
俺はまた無意識に両手を前に出した。さっきのはなんだったんだ?俺の中でなにもまとまっていないが、今度は目を開けて魔人族の魔法を受けてみた。こ、これは!?魔人族の魔法が俺の手の中に吸収されていくかのように吸い込まれていく。それと同時に俺はだんだんと意識が遠くなっていくのが分かった.....なんだったんだ?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「......ここは、どこだ?」
俺は目を覚ますと、どこかのベットにいた。なんだかもの凄く体がだるい。
「あ、目を覚ましたのね」
「シャルか。俺はどうして......」
「ソラには魔人族の魔法が何故か効かず、魔法が消えたと思ったら急に倒れちゃって」
そうか思い出した。確か俺は魔法をこの手で消したのか?いや違うな、消しただけなら俺が倒れる理由にならない。じゃあどうして......いや待てそれより。
「あの魔人族はどうなったんだ?」
「魔人族なら自分の全力の魔法を撃って、MPを全部使ったから逃げていったよ」
「そうか、じゃあお前らは無事なんだな?」
「うん、ソラのおかげだよ。ありがとう」
「えーとそれでなんであいつは端で拗ねてんだ?」
「それはね.....」
ミラは俺を売ったことでシャルに一時間もの説教を受けたらしい。ふんだざまーみろ。
「それでここはどこ?」
「ギルドの二階の宿舎だよ」
ギルドの二階に宿舎か......絶対に休めないだろうな。
「もう立てる?」
「ちょっときついがなんとかいけるよ」
「じゃあ一階に行こうか。そしたらソラのステカを再発行して貰って、あの能力を確かめないとね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ギルド一階 そこは俺の想像していたギルドとほぼ同じだった。まず目に入ったのが入口の前に立つ二つの騎士の銅像。壁には豚や牛などの超リアルなインテリアがある。そしてなによりもこのバカ騒ぎだ。
「おい、それは俺の肉だろーが!」
「なに言ってんだよ、俺のだろーが!」
「ねぇーちゃーん、食いもん持ってきてくれー」
ちょっと怖い人が居るが、割りかし居心地が悪い所ではない。
「おい、見かけねー顔だな兄ちゃん」
「はい、遠い小さな村からきたもので」
「そうかー、分からねぇー事があったら俺に聞きな」
「はい、ありがとうございます」
いやー人は見た目によらないとはこのことだな。あ
そこがギルドのカウンターか。そこにいけば可愛いお姉さんが、じゃなくて俺の能力を確かめるんだった。
「あのーすみません。ステカの再発行をお願いしたいのですがー」
「それでは3000コルをお支払い下さい」
どうしよう。金なんか持ってないんだけど。俺はシャル、ミラに目を向けた。
「はぁ~仕方ないわね。私が払ってあげる」
「もしかして罪滅ぼしのつもりか?俺は死んでたかもしれないのに、それだけで終わるつもりじゃないだろーな?」
「......ッ、分かってるわよ!」
「それではこちらのカードの右下にある魔法陣に血を一滴垂らして下さい」
カウンターのお姉さんはそう言って俺にカードと針を渡してきた。
俺はカードに血を一滴垂らした。そして、一瞬カードが青白く光り輝いた。
「うお、なんだこれ!?」
「なにを驚いているのかしら」
「べ、別に驚いてなんかないんだが!」
「で、どうなのよ見せない」
ミラは俺から強引にステカを取り上げ、その内容を凝視している。
「なに......この特殊能力?」
「なんだ!? 俺にも見せろよ」
俺はミラからステカを取り戻し内容を確かめた。ス
テカにはこう示されていた。
______________________
神崎 天空 16歳 レベル1 人間
体力 20
MP20(吸収可能200)
魔力20
筋力15
守り10
使用可能魔法
ファイアニクス
特殊能力
魔法吸収 吸収魔法取得
______________________
-ファイアニクス-
炎系 中級魔法。大きな火の玉で相手を焼き尽くす
消費MP100~150
「なんだこの魔法吸収と吸収魔法取得って?」
「私も初めて見た......詳細を見てみて」
シャルは困惑しながら言った。ミラは唖然としていて固まっている。俺はあまり状況を掴めてないが、相当凄いことだとは理解できた。
「じゃあ行くぞ」
「うん」
「・・・」
-魔法吸収-
相手の使用魔法を無力化し、その分のMPを吸収する。
-吸収魔法取得-
魔法吸収で無力化した魔法を使用可能にする。
「......嘘 、でしょ......」
「ん? そんなに強いのか? 別にこれくらいできる人はいるんじゃないのか?」
「貴方、本当にバカでしょ! そんな人いるわけないじゃない」
「でも人間族は上級魔法は使えないから、魔法を取得しても使えなくね?」
いくらMPを吸収して増やしたとしても、初級か中級魔法しか使えないんじゃ意味ないよな。まぁ相手の魔法を無力化するのは強いと思うけど.....
「ごめんソラ、説明が足りなかった。人間が上級魔法を使えないのは、上級魔法に必要なMPが足りないからなの。だからMPが沢山あればどの種族でも使えるの。けど亜人はMP0で魔法は使えない。人間は最大MPが低いから上級魔法は使えないの」
「ってことは、俺はMPを増やすことが出来るから上級魔法が使えるのか?」
「ハッキリとは分からないけど多分使えると思う」
もしかして俺......最強だったりしちゃうの?だって
この世界の人間は誰も使えない上級魔法が使えるんだろ?まさか俺、異世界で俺TUEEE主人公みたいに、無双したり出来ちゃうのかな......あ、そうだ言ってみたいセリフ第三位。
「この世界で人類最強に俺はなる!!」
「ソラ......頑張って!」
あのーシャルさん?そんな感動しないで。
パクってる俺心が痛むから......
......あと俺は決して中二病ではないからな!
本当だからな!
「......中二病」
誰かがそう呟いたが気づいた者はいなかった。