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異世界召喚

 俺はどこにでもいる普通の高校生だ。運動も勉強も真ん中くらいで、身長も真ん中くらいの170cmだ。でも顔はそこそこイケていると思う.....それくらい思わせてくれ。ここまでの俺なら普通に友達がいると思うであろう。だが現実は違った。俺には友達と呼べる人は2人しかいない。なぜかって.....俺は()にいうオタクというヤツなのだ。オタクなら1度は(あこが)れたことはあるだろう。異世界召喚ってヤツを。だがリアルでは絶対にない。それを分かっていても、夢みてしまうものなのだ。俺は神様に祈ったことがあるくらいなのだ。そしてなんとその祈りが神様に届いたのだ。


「クスッ、クスッ」


 俺は感極(かんきわ)まって泣いてしまった。仕方ないよね?だって夢に見た異世界召喚だよ?


「急にエッチしたり、叫んだり、泣いたり、ソラは忙しいね」


 微笑(ほほえ)む美少女。シャエル=ルシアーネスその人だ。ここが異世界召喚だと分かったらやることは決まっている。それは情報収集だ。丁度近くにいるシャルに俺はこの世界について聞いた。


 シャル(いわ)くこの世界は4つの種族に分かれているらしい。


 一種族目は人間族。人間は中級魔法までしか使えないが、その分人口が多く集団での戦いを得意とする。


 二種族目は亜人(あじん)族。亜人は魔法は使えないが、高い筋力と守りを持っている。だがそれも無意味に近い。なぜなら魔法の方が速く攻撃でき、且つ強力だからだ。よって、最弱の種族だという。


 三種族目はエルフ族。エルフは魔法適正が人間の五倍近くあり、高いMP、魔力を持ち、様々な上級魔法を(あやつ)るのだという。


 そして最後の種族は魔人族。魔人は魔法適正がエルフの二倍あり、さらに強靭(きょうじん)な肉体、そして魔人族固有の再生(さいせい)があるらしい。再生とはその名の通り自分のキズを自然に治すことができる。回復速度には個人差があるらしいが、とにかく魔人族はチート級に強いのだ。そんな魔人族が自分達の領土(りょうど)を広げるために、初めに亜人族を(ほろ)ぼし、次に人間族、エルフ族も滅ぼし、いわゆる世界征服をしようとしているらしい。考えるだけで恐ろしい話である。


「それでいつ魔人族は攻めてくるの?」

「うーんとね、あと三ヵ月後に亜人族を攻めに行くらしいけど詳しくはわからないの。ごめんね」


 まぁ、すぐにってことではないらしいからまずは安心かな。いや全然安心なんて出来ないだろ!?俺が半パニック状態(じょうたい)におちいっているとき、ガチャ、俺の背後(はいご)からドアが開いた。


「ただいまー」

「おかえりミラ、いいクエストは見つかった?」

「・・・」

「どうしたのミラ?そんなに固まっちゃって」


 ミラという子はものすごい形相(ぎょうそう)で俺を見ている。俺まだ何もしてないよな?


「誰よ、この男」


 なぜかこの子は怒り口調でめっちゃ威圧(いあつ)してくるのだが......可愛い。身長はシャルと同じくらいで、肩までの綺麗な赤髪(あかがみ)、大きくルビーのように赤く輝く瞳。シャルに劣らず美少女だ。


「ソラは私達のパーティーだよ!」

 

パーティーに入った覚えはないのだが......


「こんな見るからに取り柄のないような男は要らないのだけど!」

 

あれー?なんで俺は罵倒(ばとう)されてるのかな?


「そんなことないよ! ソラはソラは......」


 ......なんかあるでしょ!俺のこの爽やかな容姿とかさぁー!


「ほら無いのじゃない。まず顔からパッとしないのよね」

 

ぐはぁっ!俺の唯一の長所を罵倒するとはぁ......俺に絶対言ってはいけないことを言ってしまったな!


「黙って聞いてれば言いたい放題言いやがって! 俺にだってな良いところは沢山あるんだからな!」


 女の子に怒鳴るとかサイテーだ。だが俺を罵倒した天罰(てんばつ)だ。はっはっはー。


「何をぬかしているのかしら? 貴方の良いところがあると言うのなら教えて欲しいわ」


 めちゃくちゃ見下しやがって。まてよ俺の良いところってなんだ?俺がイケメンと言っても更にメンタルを壊されるだけだし......


「・・・・・・」

「ほら無いのじゃない」


 いやこれは異世界召喚なのだ。なら俺に凄い力とか宿っているはずだ!


「聞いて驚くなよ俺には誰も見たことのない特殊能力(スペシャルアビリティ)があるんだからな!」


 あ、やっちまった。でも本当に俺に力がやどってるかもしれないよな。


「どういう力かしら?」


 くぅ、いきなり王手をかけてきやがって

どうする......あ、そうだ。


「ギルドに行けば分かるさ」


 そう、ギルドに行き俺の力を確かめるのだ。


「ギルド? なぜギルドに行くのかしら? 貴方のステカを見れば分かるでしょ?」

「ステカ?」

「貴方もしかしてステカを知らないの?」


 なんだステカって?いや、まて。ここで俺のオタク力を見せる時が来たようだな。恐らくステカとはステータスカードのことだろ。いや絶対そうだ。


「勿論知ってるよ、ステータスカードだろ?」

「なんだ知ってるじゃない。でも、なんで誇ったような顔をしているのかしら」

「ねぇー私の事を忘れてるでしょー?」

 

シャルは腰に手を当てむぅーと膨れてる。こ、これは!?ご馳走様でした!


「忘れてなんてないわ」

「じゃあ私がソラとお話するね。じゃあーソラのステカを見せてくれる?」


 どうしよー持ってるわけ無いじゃん。ねぇ俺、異世界人ですよ?


「無くしちゃった」


 俺は舌をペロっと出してポカンと頭を叩いた。


「はぁーーー無くしたぁぁっーー?」

「物は無くす為にあるものだ」

「なに馬鹿(ばか)な事言ってるのよ」

「じゃー再発行するしかないねー。多分ギルドに行けば出来ると思うけど」

「再発行ってできるのか!? それじゃあ早くギルドに行こう!」


 いやー安心したぜ。これで俺の眠っている力が解放(かいほう)されるわけか。


「じゃあこれから一緒にギルドに行きましょうか」

 

シャルは満面(まんめん)の笑みで言った。シャルは可愛いし、優しいし、ナイスボディだし、本物の天使だな。それに比べてミラは、顔は可愛いが、性格はツンツンだ。デレの要素が一つも見つからない。はぁー、デレが無いとか、萌え要素なさすぎだろ。残念ながら俺は顔だけで判断する男じゃないんでね。ミラ、君とは付き合えない。どーだ!心の中で振ってやったぜ!


「待ってよシャル、こんな馬鹿にそこまでする意味はあるのかしら」

「え、当たり前でしょ。パーティーなんだから」

「ちょっと待って、私はまだ認めてないのだけどこんな男」


認めないだが認めるだが知らんが、俺はまだパーティーに入るとは言ってないんだぞ。まずは俺の許可を取ってからにしてもらいたいものだよ。


「ふふっ、まだって事はいつかは認めるのね」

「なんでそうなるのよ!」

「それでミラちゃんはどうすればソラを認めるのー」

「そ、そうね、その特殊能力(スペシャルアビリティ)が本当にあるのなら認めてあげなくもないけど」


 こ、これは!?前言撤回させてもらう。ミラには、ミラには......デレがあった!その証拠に、顔をほんのり赤くし、そっぽを向くこの感じ!まさにテンプレどうりのツンデレだ!これで何の(わだかま)りもなく異世界ライフを送れそうだ!


「よし! それじゃあギルドに行きますか!」


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